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シャミセニストが影響を受けた名盤30選 #1 [1-3位]

コロナ禍で生まれた時間を活かしてやりたかったいくつかの構想のうち、一つの企画を実行に移してみたいと思う。
それは自分が影響を受けた音楽を文章で紹介する事だ。
音楽と共に呼吸してきた自分にとって、聴いてきた音楽にリスペクトを表することは、自分が生きた証を残すこととニアイコールでもある。

ちょっと大げさと思われるかもしれませんが、読者さんには気軽に楽しんで貰えたら本望です。
計10回に渡って紹介していきたいと思いますので、ゆったりお付き合い頂けたら幸いです。

1位 Radiohead / Kid A

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松本少年(私の本名)のROCK創世記の最大の衝撃作。

ミレニアムイヤーの2000年にリリースされた作品で、ROCKというジャンルから攻撃性を全て奪い取ってしまったような、ROCKに対するアンチテーゼさえ感じる問題作。

まるで腕の良い整体師に凝り固まった肩甲骨を時間をかけてゆっくりと剥がしてもらうかの様に、私のROCKに対する固定概念(ROCKはディストーションギターが鳴ってなければいけないみたいな)はこのアルバムと共に心地よく崩れ去って行った。

有機的なサウンドを極力排除したような作風は、当然ながら当時ロックファンの間で賛否両論を生み、時代の先を行き過ぎた作品とも言われている。今でも初期のギターロックなレディヘ派と中期からのエレクトロニクスなレディヘ派で分かれたりする。

終始独特の虚無感で支配されているのがこの作品の特徴だが、「Everything in its Right Place」や「The National Anthem」などの前半の曲で、まるで母親の胎内にいるような神聖なる孤独感を感じ、後半の「Treefingers」あたりでさっきまでの"孤独感"がいつの間にか、無限に広がる宇宙が自分という小さな存在を包み込んでくれているような"究極の安心感"に姿を変えてしまう。
そんな、言いようのない快感を覚えるのがこの作品の妙だ。

このアルバムに出逢ってからというもの、「Kid A」は多感な時期の防空壕となり、常備薬にもなった。

個人的に、このアルバムのオススメの聴き方は「雨の日」に聴くこと。
家の中でも、外出中でも。きっとキマリます。


2位 Radiohead / OK Computer

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まるでお坊さんの叩く木魚のような「ポクポク」で始まる2曲目の「Paranoid Android」はオルタナティブ・ロックの金字塔と言っても過言ではない名作で、アコースティックギターが奏でるアルペジオの美しさと、印象的なヘビーなロックリフが狂乱の世界で見事に共存している。

Please, could you stop the noise
I’m trying to get some rest
From all the unborn chicken voices
In my head
お願いだから静かにしてもらえないかな
一息つきたいんだ
頭の中で生まれてもいないヒヨコの鳴き声がする

この歌詞にも象徴されるように、トム・ヨークにの変態性が美しさと狂気を持って昇華されている好例でもある。

情緒不安定な人が聴くとダウナーな状態になってしまう可能性もあるので、お勧めできない一面も正直あるが、本当は何かに落ち込んでいる人にこそ処方したいのがこのアルバムだ。

堕落の底に突き落とされた時に、このアルバムもその世界にまで一緒に降りてきてくれて、己の心にそっと寄り添ってくれる

そんな不思議な感覚がこのアルバムには宿っている。(自分も何度このアルバムに助けられた事か...)

リリースは前述の「Kid A」より前の1997年でまだ初期のギターロック感が程よく残っている。

ちなみに、和楽器奏者ならではのエピソードを披露すると、今テレビやメディアで大活躍の「和楽器バンド」の神永大輔氏(尺八)と衣袋聖志氏(箏)も奇しくもこの作品のファンで、もう10年前とかになるが、我々3人で「Paranoid Android」をカバーしてリリースする企画なんてのもあった。(最終的に企画倒れになってしまいましたが、、、残念!)

ということで、二連続のレディヘ(笑)
緩急をつけるためにも本当は他のアーティストにしたかったのですが、、、、そんな気持ちを差し引いてもこの作品が第二位というのは譲れなかったですね。


3位  MUSE / ABSOLUTION

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思い入れ具合で言ったらこの作品を一位にしても良かったのかな、と思うくらい多大なる影響を受けた作品。

MUSEはRadioheadと同じくUKのバンド。高校の頃に藤沢のTowor Recordの試聴機で彼らのデビュー作「Showbiz」を聴いたのが、MUSEにハマったきっかけ。

この作品「Absolution」がリリースされた2003年9月15日の翌々日だったか、高校を卒業して間も無い18歳だった私は、宛てもない列車の旅に出かけた。(この旅がきっかけでのちにバックパッカーに目覚める)

当然ながらまだスマートフォンも普及していない時代だったため、MDウォークマンにリリースされたばかりのこの作品を録音して、当時一人暮らしをしていた相模大野から列車に飛び乗り、実家の平塚経由で東海道線を乗り継いで、西へ西へと旅路を進めた。

「Absolution」に加え、数枚のお気に入りのMDをバックパックに放り投げて旅に出かけたのだが、1週間強の青春18切符の旅は思いも寄らずこの作品の音世界に支配されたまま終止符を打った。

高校を卒業して、音楽だけで何とかやっていこうという期待と不安に満ち溢れた18歳の青年には名古屋、大阪、京都などの地方都市の全ての景色がこの作品と共に異世界/近未来に見え、未だ見ぬ未来へ鼓動が高まった。

今でも多くのROCKファンに愛されている彼らのキラーチューン「Stockholm Syndrome」は聴いたことが無い人がいれば是非聴いて欲しい。
Beauty = 美しさ と Intensity = 激しさ 
の究極の形 がそこにはある。

余談だが、高校の授業を途中で抜け出し1人お台場のZepp Tokyoに彼らのライブを観に行ったことは青春時代のハイライトだ。

のちにFuji Rockのグリーンステージで彼らのライブを観た時には、高揚感の末、東京への帰り道の車中でとある三味線ヘヴィーリフが天から降ってきて、曲になった。それが拙バンド、The Shamisenists「RUROUNI」だ。

とにかく「Absolution」は今聴いても、リアリティを持って脳髄に響く、美しき轟音であり、3ピースバンドのカッコ良さと可能性を私に教えてくれた手の届かない憧れのアニキみたいな存在である。いや、そんなもんじゃ表せないかな(笑)

まとめ

今回は3位までご紹介させて頂きましたが、JACKは主にUK ROCKから影響を受けたということがわかって頂けたかと思います。

しかし、洋楽邦楽、ジャンル問わず、純粋に影響を受けた音楽を引き続き紹介していきたいと思っておりますので、楽しみにしていてください。

寂空-JACK- 

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