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続・オーストラリアにみる都市木造の可能性

「低炭素社会への環境意識」への適合性の高さが都市木造の大きな魅力であり、林業関係者や一部の建築家だけでなく、事業主側から都市木造を建てたいというニーズが生まれる背景だと言えるだろう。今年は「木造化したビルの方が良いテナントがつき、家賃も高く取れる」というコメントも聞かれた。
日本では自然で素朴な表情の木造が多いが、200 Georgeに見られるようなエコロジーとゴージャスさが組み合わさったデザインは、新しい潮流を表しているのかもしれない。

2017年8月、2019年2月のオーストラリア・シドニー、メルボルンの都市木造調査に続き、今回2020年2月も調査を行ってきました。昨年の調査の様子はこちら「オーストラリアにみる都市木造の可能性」。今回はシドニー、メルボルン加えてオーブリーの工場にも。

まずはJALで一晩かけて成田からシドニーへ。相変わらず美しい街です。

現地時間6:50にシドニー空港に到着。ボンダイに荷物を置いて、早速10:00からバランガルーの再開発エリアにあるレンドリース社へ。

昨年までDesignMakeという名前だった木造ビルチームのGeorge Konstandakos氏とTim Butler氏にレンドリース社の都市木造戦略を聴く。2012年にメルボルンでCLTを用いた集合住宅を建ててから、年に一棟程度のペースで集合住宅、図書館、オフィスなどを実現している。

そのあと一年前に来た時には木構造の建て方をしていた地上7階建てのオフィスビルDaramu Houseを見学させてもらう。二階床までがRC造で、その上が木造。International House Sydneyの隣に建つ、外観上似たビルだが、かなりカイゼンがされている。weworkが入居。

Daramu houseのエントランスホール。Daramuとはアボリジニの言葉で木の意味だとか。エントランスホールの壁面はCLTパネルを削り込んで作ったバランガルーの新旧の港湾の地形レリーフ。

画面手前から奥へ伸びる9mスパンの大梁はダクトを含む設備貫通ゾーン。梁成は900程度で幅は600ほど。梁底でわかるように、集成材+LVL+集成材+LVL+集成材の5層サンドイッチになっていて、ダクトを含む大型の設備貫通穴をあけても構造上問題ないように工夫されている。 シュトゥットガルト大学で実験を行ったそうだ。

設備を取り付けるのは木ネジでできるわけで、慣れればかえって容易だろう。

それに直行する床スラブは3mx12m、120mm厚のCLTパネルの両端に500x400ほどの梁を工場で取り付けた大型パネルを載せている。都合、見上げると梁幅が800くらいあるように見える。これがコンクリートだと鬱陶しく見えるかもしれないが、木だと気にならないところが不思議。このプレファブ化でInternational House Sydneyに比べて床の施工スピードは2倍になったとのこと。

階高は3700に抑えられているが、天井を貼らず、梁下で2700の高さをキープしている。

7階建てのビルの直通階段もエレベーターシャフトも木。スプリンクラーはあるにしろ、日本ではありえない。

Daramu HouseからInternational House Sydneyを見る。木造ビルから木造ビルを見る、おそらく世界でもここだけの風景だろう。驚くことばかり。

午後は建築家のアンドリュー・バージェスさんに市営プールの現場を見せてもらう。プロポーザルで勝ち取った、新しい住宅開発地の中にできる市民プール。

鉄骨造でGRCで仕上げた外壁の間に、1mほどの梁成の集成材とCLTを組み合わせたスパン30mを超えるボックス梁を掛け渡したもの。10m強の長さの集成材とCLTを長さ方向にも3本繋ぎながら現場で組み立て、クレーンでリフトして取り付ける。ボックス梁はプールの空間の空調のためのダクトとしても機能しているということ。

梁の間に掛け渡したピロー状のETFEの屋根が透明感があって素晴らしい。

きっと大人気の施設になるだろう。

2日目はAlubryという小さな空港から少しいったところにあるXlamのCLT工場を見学。

何から書いたらいいか分からないくらい興奮した(変なマニア)。

Xlamはもともとニュージーランドの企業で、集成材やCLTなども製造してきたが、現在はオーストラリアのHYNEという会社の兄弟会社になっている。HYNEは一般住宅用などを得意とし、Xlamは非住宅に重きを置くという住み分けと協力がなされているそうだ。今回訪問した工場は2年前にオープンした、オーストラリア最初の本格的な工場で、現在は唯一だそうだ(現在他の企業でもCLT工場をつくろうという話しはあるそうだ)。現在はそこまででないが、3年後くらいには年間4−5万m3ほどのCLTをこの工場で生産する予定だそうだ。ニュージーランドのCLT工場は旧式となり、すでに閉鎖しており、現在ニュージーランドで使用するCLTの90%はここで生産している。

Alburyは内陸の都市であり、なぜこの立地が選ばれたのか不思議な感じがしたが、親会社である製材所がAlubryにほどちかいTumbarumbaにあり、そこからのラミナの共有を考えたのと、ここからシドニー、キャンベラ、メルボルン、さらにはケアンズまで、オーストラリアの人口の80パーセントをカバーできるということで選ばれたそうだ。

この工場では、人工乾燥の終わったラフなラミナを受けいれ、CLTの製造と加工をして、発送をするところまでを行なっている。

製造機械のメーカーはスロベニアのLEDINEK。

興味深いのは、ニュージーランドでは防湿・防虫処理を施した材とすることが義務付けられており、処理済みのラミナからCLTを製造していること。ニュージーランドでは新しい木造形式が普及した時期に十分な設計と施工をしなかったために雨漏りやそこから生じる構造に及ぶ不具合が多発し、社会問題化したそうだ。そのため、屋根や外装に限らず、内壁や中間階の床スラブまで、全て防湿防虫処理した木材をつかうことが義務付けられているとのこと。そういった製品はXlamくらいしか作っていないため、結果としてニュージーランドの市場を寡占しているということ。ヨーロッパのようなスプルスは薬剤をうまく吸い込まないため、見た目や強度に劣るオーストラリア産ラジアタパインの薬剤処理のしやすさのメリットが生じているとのこと。これは似た性質をもつ日本の杉の活用のヒントになるかもしれない。

CLTのパネルサイズは最大で16mX3.5m、厚さは薄いもので20x3=60mm から厚いもので45x7=315mmまで製造できるそうだ。

なお、フンデガー社の加工機に入るサイズは同じで、300mmまでカットできるそうだ。なんとも羨ましい(日本の場合は作れても運べないが)。オーストラリアではこのサイズでも大きな支障なく運べるそうだ。

CLTを製造し、そこからそのままフンデガーの加工機まで連続的に加工できるのはびっくり。多くの工程は自動化されており、大きな工場の割には働いている人数は少ない。

その人影がすくなめの工場の中で、もっとも人が集まって働いていたのは、現しでつかうCLTパネルの木目やラミナの欠けを埋め木したりレジンでパテ埋めする作業。実はCLTパネル生産のスピードのボトルネックがここの手作業になっているらしい。ここをどう効率化するか、現在検討が続けられているそうだ。

パネルの加工が終わると、吊り込みのためのテープや、外壁の防湿シートが工場で貼り付けられ、シートで養生されてトレーラーで出荷されていく。

生産する全てのCLTパネルからはテスト用の100mm角ほどのピース材が保存され、外観、接着の健全さ、などが減圧がまで給水させたあとに乾燥して変形をみたり、破壊試験を行なっているということで、想像以上に品質管理されていた。

最後に見せてもらったのは、これまで使用していなかった地域や樹種でCLTをつくる試験的な作業。実はラミナの主産地は近郊のTumbarumbaだが、ここは先日のブッシュファイヤーで被災し、別の地域のラミナを使用することや、この機会に希望のあった別の樹種からの生産も検討しているとのこと。オーストラリアでも節のあるラジアタパインではなく、ヨーロッパ式のスプルスのCLTを望む声があるそうだ。


工場そのものは鉄骨造ですが、二次構造はCLTで製作されていました。

CLTパネルからつくる階段は好評で、普通のコンクリート造の建築の中の階段だけCLTで発注が来ることも増えているそうです。

最初見たときはCLTを削って階段とかゲテモノだと思いましたが、人気があるとは。何が評価されるか、自分の目もあてにならないなと思いました。

聞くところによれば、アメリカでは現場作業員の日当は10万円ほどだとか。オーストラリアの金額も遠からずだとのこと。アメリカ同様労働者ごとのユニオンが力を持っているため、条件が悪いとすぐに現場がストップするそうだ。

現場作業を減らすための気の使い方は日本の比ではない。日本では最近2万円になったと記事になったレベル。

今日の視察のためにメルボルンから3時間半かけてドライブしてきてくれたXlam社のエンジニア、Nick Hewson氏そのものも非常に面白い方だった。

英国生まれでエンジニアをしている時に、CLT建築の初期の代表作マレイ・グローブに参画し、その後オーストラリアへ。AECONに働いている時には明日現場見学に行く55Southbankプロジェクトにも参加していて、Atelier Projectのメンバーも旧知の仲のようだ。まだまだMassTimberの世界は狭い。

イギリス、オーストラリア、ニュージーランドといった異なるバックグラウンドの大型木造を体験しているのが貴重な人材だろう。

イギリスは先進的だったが、グレンフェル・タワー火災事故以降大きく後退するだろう、
ニュージーランドは雨漏り事件後、耐久性が大きな課題となっていること、
オーストラリアはまだまだイケイケでやっているということで、世界的に先進性を訴えたい「大学」や企業が良いお客さんになっている、
ということだった。

ぜひまたゆっくり議論してみたい。

3日目。メルボルンでは、スタジオ・ムンバイがデザインしたパビリオンがメルボルン動物園に移築されていると知り、行ってみる。何の動物も見ずに直行、直帰。

竹のパビリオンで竹のピンで縫ってロープで締めるジョイントだが、常設化のためか金属のテープも併用されている。オリジナルはどうだったのだろうか。

動物園は小走りに通り抜けただけだが、動物のことを知るというよりは、地球環境教育の場になっているようだ。

次に一年ぶりの再訪ということで、メルボルンの55Southbankプロジェクトの現場へ。施工は鹿島建設の子会社のAtelier Project。

既存の地上6階建てのRC造のオフィスの上に、CLTパネル造のホテルを増築するという破天荒な?プロジェクト。RC造6階(メザニン階を入れると7階)、2階の鉄骨造によるトランジション階、その上に10階のCLT造階で都合18階建。もともと都市計画の変更を見越して構造的に余裕を持たせて既存ビルが作られていたが、RC造だと6階載せられるところ、木造だと10層載せられるということで事業性が評価されてCLT造が採用されたという面白いプロジェクト。

工期が遅れているということで心配したが、木造のためというより別の理由のようで安堵。

とはいえ、初めての高層のCLT建築ということで、施工誤差の見込み方は苦労したそうだ。メーカーKLHは誤差は見込まなくてよいと言っていたそうだが、船便による輸送期間、施工後も長期に渡るということで、無視できない誤差が出たそうだ。この辺りは貴重なフィードバック。

今後も木造ビルの受注が見込まれているようで、期待できる。

オーストラリアでも木造ビルの方が家賃を高くできるケースが出てきているそうで、デベロッパーからの期待も大きいようだ。

ダメ工事で壁の構成が見えていたので撮影。CLT壁の上に、ピンク色の16mmの耐火用の石膏ボード。その上に壁から離してLGSを組み、白っぽい仕上げ用の石膏ボードを。こちらは遮音用。

都市木造建築の屋上の設備設置部分の防水が気になって根掘り葉掘り聞く。

水平に施工したCLTスラブ(昨日見学したXLAMの工場でつくったオーストラリア産ラジアタパインのもので赤い透湿防水シートを施したもの)の上に、鉄骨で小屋を組んで金属屋根防水が施されている。機械の基礎は金属屋根の下に鉄骨でサポートが組まれているそうだ。

金属屋根の下の架台はアルミで組まれていて、金属屋根には載っているだけだとのこと。地震による水平移動を考慮しなくてよいので、これで良いのか。

日本用の納まりを検討したい。

仕上がっている部屋も見せてもらう。高層のホテルということで、スプリンクラーがあっても天井の石膏ボードを貼る必要があり、残念ながら仕上がってしまうと木造だということは分からない。軽量さを活かして階数を稼げたので意味は大きいのだが、やはり本人たちも残念そう。

これから手掛けるオフィス系は木を現して使えるそうで、楽しみです。

Atelier Projectのジェイソン、今日案内していただいた鹿島建設の伊勢野さんと。

ジェイソンとはこの3年、続けて会っている。本当に面白いやつだ。

ヤラ川の夕景。

メルボルンのビルは派手派手なのが多くて好きになれないが、自然は圧倒的に美しい。

4日目。朝メルボルンを出発し、昼過ぎにシドニー空港へ。そこからThe Rocksエリアのホテルにチェックインした後、ショーンと落ち合って郊外のマッコリー大学へ。

ここで彼が働いていたArchitectusの仕事を見学。

まずは昨年も見に来たインキュベーションセンターへ。大きな屋根で守られていて、軒天はクリアだが壁や柱材は強めのコーティングがされているせいか、非常によいコンディションで保たれていた。ちょっと驚き。

次は同じマッコーリー大学医学部の施設へ。ガラスカーテンウォールで覆われた木造ビル。エントランス部の大スパン部分は梁と斜め柱は鉄骨が使われているが、主要部分は木造のラーメン構造のようだ。

これもArchitectusの仕事。

マッコーリー大学は木造ビルをはじめとして、キャンパス改造の真っ最中。ということで仮設のキャンティーンがつくられていた。これもArchitectusの仕事だそうだ。

貨物用コンテナと、テント屋根でできたカジュアルな空間。建具はポリカーボネートのDanpalon。

5日目。昨夜はシドニー宿泊。The Rocksと呼ばれるシドニー発祥のエリア。旧市街から路地越しに下を見ると、そこはサーキュラキーという港湾エリア。大型客船から、日常の通勤通学の足として親しまれているフェリーなども集まる。そして対岸にはオペラハウスが。

カーニバル・スプレンダーという大きな客船が。写真手前から、旧市街の建物、地上を走るバス、客船ターミナル、3階くらいの高さにはタクシー、その後ろに見上げるような高さの客船と屋上に載ったプールの遊具という不思議な光景。

サーキュラーキーに建つfjmt設計の200 George。足元のキャノピーに厚板の木をあしらったり、外部のルーバーに金属に木を組み合わせたり、室内には木製のルーバーをあしらったりと、木木しているビル。ガラスがブロンズ色で、ナチュラルさも感じさせながら、ゴージャスな雰囲気をつくり出している。

「エココンシャスなことは金になる」というムードをつくり出している。

真ん中のゴールドに光っているのが200 Gearge。

最後には番外編として、そして何回来ても飽きないオペラハウスへ。

この立地とそれを活かした人工的なランドスケープは最高。

日本語のバックステージツアーに申し込むと、この回はひとりで貸し切り。プライベートツアーとなってラッキー。

前回の参加したツアーでは見れなかったオペラシアター側を見ることができた。街からオペラハウスにプローチすると、まず入るエントランスは実はステージの裏側。そこから両脇の階段をゆるゆると上がっていって後ろ側の湾を見晴らす側にもうひとつのホワイエがあって、そこで風景を楽しんでから振り返ってホールの二階席に入っていく。

大量のPCパネルが所狭しと並べられているオペラハウスの現場写真。

ご存知のようにほとんど実績のなかったデンマーク人の若手建築家ウツソンがサーリネンの強力なプッシュで38歳でコンペに勝利。その後アラップと共に球形のジオメトリを用いた建設方法に着地。しかしながら政権交代もあり、47歳で辞職。その後90歳で亡くなるまでオーストラリアへ来ることは二度となかったそうだ。

80歳でシドニーと和解し、メンテナンス設計を受けるようになったり、89歳の時には自らが設計したオペラハウスが世界遺産に登録されても。離任以降いちども自分のオペラハウスを見ることもなかった。

離任の理由は3年ほどの工期が最終的には14年に渡ったこと(彼が自分した時点では9年目)、公費が予定の14倍になったこと。いずれの数字も彼の辞任後の最終的な数字だが。

とはいえ、その後のオペラハウスの経済効果を見れば、全く持ってリーズナブルな買い物をしたことになるわけだが。

今日はツアー最終日。午後はBondiビーチでゆっくりと。ここも何度来ても最高。

昨年のまとめのリバイスになるが、オーストラリア都市木造視察を通じて明らかになった木造化の動機は「軽量化」「古材のリユース」「施工性の向上」「現場環境の向上」「室内環境の向上」であり、「仮設性」もそれによって可能になっている。今年新たに聞きとったのは「労働者に安全性」であった。それをひっくるめての「低炭素社会への環境意識」であり、それがビジネスにつながるという意識が大きな原動力となっていることが分かった。「木造化したビルの方が良いテナントがつき、家賃も高く取れる」というコメントもあった。

「軽量化」
軽量化はいくつかのプロジェクトで決定的な役割を果たしていた。55 Southbankでは軽量さを活かし、10層の増築を可能にし、プロジェクト自体の事業的成立の条件となっている。

「古材のリユース」
International House SydneyとDaramu Houseのピロティの斜め柱、Library at the Dockに用いられたハードウッドIronbarkの部材は、地中から回収された杭などの古材がリユースされている。これは港湾地区の歴史性の表現でもあり、歴史の短いオーストラリアでは重要な歴史的記念でもある。
部材の強度が確認できさえすれば、古材であっても新築の中に取り入れられるのは木材の大きな可能性だろう。

「施工性の向上」「現場環境の向上」「労働者に安全性」
今回いくつかの施工現場を見ることができたが、印象的なのは現場の作業環境の良さであった。
一定以上の規模の工事現場の大半はコンクリート造や鉄骨造だ。打設したばかりのコンクリートの匂いや、鉄を現場溶接する匂いなどは自分は嫌いではないが、その匂いや粉塵、工事で発生する騒音は周囲の住民などには悩みのたねであろう。地上11階相当の55 Southbankプロジェクトの現場は驚くほど静か。匂いもない。
オーストラリアにおいても大型木造の工事になれた職人がいるわけではないが、住宅などの木造を手がけていた職人のチームを育て、大型木造の施工チームとしているそうだ。

設備工事なども中大規模木造というと不慣れなためにマージンをとった高めの見積もりが出ることが多いが、実際には木造の方が施工が容易な部分も多く、2回目以降は適正な見積もりとなるそうだ。

「室内環境の向上」
論文などは今回見せてもらう時間はなかったが、CLTなどの木造建築で建設したチャイルドケアセンターでは、子どもたちの心拍数が下がるという調査結果が出たり、スタッフや保護者の精神が安定するといった結果も出ているそうだ。
そこから同様の施設の木造化、木の現しのデザインへの志向が発注者サイドに生まれているという。

「仮設性」
マッカリー大学インキュベーションセンターでは木造の仮設建築への親和性の高さがみれる。
これは軽量であることによる基礎などの簡易化、建材自体の安価さ、移設の可能性、部材の再利用の可能性などが複合してあらわれる。
仮設の建築物をつくるという後ろめたさ?を木造の特性が救ってくれるという言い方もできるだろうか。

そしてそれらを総合してあらわれてくる
「低炭素Au ugh 社会への環境意識」への適合性の高さが都市木造の大きな魅力であり、林業関係者や一部の建築家だけでなく、事業主側から都市木造を建てたいというニーズが生まれる背景だと言えるだろう。今年は「木造化したビルの方が良いテナントがつき、家賃も高く取れる」というコメントも聞かれた。

日本では自然で素朴な表情の木造が多いが、200 Georgeに見られるようなエコロジーとゴージャスさが組み合わさったデザインは、新しい潮流を表しているのかもしれない。

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