晩菊漬のおにぎりは、秋の味…
秋の味といえば、通称“あきあじ”…秋鮭のことだ。
秋鮭は日本で生まれ、4年を経て日本に帰還する。ちょうど、海の水がひんやりとするこの時期だ。
ところが近年、温暖化で秋鮭の戻りが少ないと言われている。要因は温暖化だけではないが、確かに漁獲解禁の9月は、かつてに比べて暖かく、9月は今や夏だ。
10月になって急に秋めいてきたが、だからといって、鮭が日本沿岸にドッと押し寄せるわけではない。私達関連業者は、毎日、シャケは豊漁か不漁かと気を揉む。力んでもどうにもならず、産地の方々と情報交換の日々である。
とはいえ、すでに鮮魚の売り場には秋鮭が並んでいる。塩鮭の新モノもそろそろ。秋にはあきあじが食べたい。
おにぎりであきあじと合わせるのは、山形県の漬物「晩菊」。
晩秋の菊花に、春から秋までの野菜・山菜を十種加えて漬け込むという。
晩菊はかすかな酸味と苦味が幾重にも重なり合う、深みのある味。
新米を炊いて、鮭と漬物をあえて、おにぎりを握る。やはり秋の味だ。