見出し画像

雨漏りとレトロと昭和ガラス。宝くじで遊ぶ提案。

ガタピシの古い家に、連日降りかかる雪。
この頃、雨漏り(元は雪)の音で目覚めることが増えた。
水滴が立てる音の高さには驚くほどだ。ぼつっ、ぼつっ、と静かな朝に主張する。
手帳など紙ものやタブレットなどの機器類を直撃していないか? とまず飛び起きて注視する。

濡れたら困るものは横着して床に置きっぱなしにせず、充電なりを終えたらカバーに入れて安全なところにしまって寝る方がいいのか……。
古い家で考え込む朝。
ちなみに、梅雨の頃にも同じことを悩む。そして雨季が終わると忘れる。今回もこの寒波が過ぎた頃に忘れる気がする。

水滴の落下地点に古い布を敷いた洗面器を置きながら、ふと思い出す。
いつか雑誌で読んだ、「築50年の古民家」というフレーズ。
ええっ、――築50年ってもう古民家扱いなんすか? という衝撃。
じゃあうちなんかもう立派に古民家じゃん……。なんて聞こえがいいんだ、「古民家」。ものは言いようである。

あと、いわゆる「昭和レトロガラス」。
遥けき昭和への憧憬を込めてなのかそんな呼ばれ方をしているらしいガラス、我が家ではバリバリ現役であります。台所も浴室も縁側へ続く引き戸も、桜や流線の柄や、ざらざらっとした質感のガラスで覆われている。
古さとは、それだけでもう意味を持っていくものなんだなあ。

よく言えばレトロ、言ってしまえばガタピシのこの我が家。
当たり前に身近にあるものが、例えばある人はこうも形容する、という意外な面白さではある。
でもなあ。やっぱりただのガタピシだよなあ。雨漏りで困らされる家まで「レトロ」とみなしたら、落語でいう笑い話の「風流」の域である。

ただ、今思ったけど、万が一宝くじがドカンと当たりでもしたら、この家をまるで生まれ変わらせるほどに直すだろうか。
我が家に残る桜の柄などの昭和ガラスを残して活かせたら、雨漏りなどまずしない「レトロ」な古民家を体現できるのかもなあ。

こういう「仮定」の話に0.0001%だけリアリティが増すから、「宝くじを買う」という行為が割と好きである。
あ、買うのは一枚でもいいんですよ。買ったから当たるかもしれない、という前提で膨らます妄想は割と楽しいよ。カフェで買うラテ一杯分ほど遊びとして、いかがでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!