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「サーカスナイト」七尾旅人<あの名曲を歌ってみる>

この歌をはじめて聴いたのは、ユーチューブにあがっている青葉市子のカバーバージョン。冬の夕暮れ、海と空の青暗い風景をバックに、コート&マフラー姿で横向きに立っている青葉さんの姿が、とても印象的な写真。

青葉さんの歌を聴くのも、はじめてだったし、なんの予備知識もなく聴いたので、「う~ん、こりゃぁ、いいねえ!」と唸るばかりだった。

もちろん、とても気になったので、それから、青葉さんの他の歌をいろいろ聴いたり、オリジナルの七尾さんのバージョンを聴いたりした。で、やはり、このバージョンの、この曲が、いちばんだ。

「生き延びたい」という歌詞に象徴されている、いまの世の中の、なんともいえず淡くて半透明な、つかみどころのない、それでいて、逃れようのない切実な生きづらさの感じが、とてもよく表現されている。

わたしのようなジジイからみると、いまどき(ここ20~30年)の流行り歌は、はっきりいってピンとこないものも多い。でも、すこしマイナーなところでは、けっこう洗練されたいいものがあるように思う。けっこういいなあと感じる曲は、「生きづらさ」というキーワードで括れるかもしれない。直接的に歌の文句に書かれていなくても、そこはかとない時代の空気を象徴している気がする。

若い人たちが、どう感じているのか?については、正直いって、まるでわからない。ジジイの印象には、それ相当のバイアスがかかっているはずで、若い人は、ぜんぜん違うふうに感じているのかもしれない。

まあ、やたらと「元気だして頑張ろう!」みたいなうすっぺらい歌にくらべると、「生きづらさ」を表出した歌のほうが、だんぜん好感がもてる。たかが流行り歌、されど流行り歌、である。

あ、誤解のないよう、いいわけをしておくけれども、「みんな頑張ろう!」的なものを、揶揄しているのではない。そういうものにキモチを救われる感じが、かつては自分にもあったと思う。

いわゆる、明るいのがいいか?暗いのがいいか?・・・みたいなの、それはまさに、趣味の問題というか、好みの問題なので、良い/悪いの問題ではない。

とはいえ、“ただ明るい”みたいなのは、やっぱり“ちょっと軽薄”・・・(いや、すみません)・・・な印象は否めないかも、とは。

サーカスナイト
詞・曲:七尾旅人

Oh baby 今夜のキスで
一生分のこと 変えてしまいたいよ
ここは 楽園じゃない
だけど 描ける限りの 夢の中
目の前で 魔法が解けてゆく
焦る気持ちだけが 言葉つなげ
君を抱きしめるたびに
綱の上で揺れる
Circus Night

Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
辿り着きたい ピエロ
Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
生き延びたい ピエロ
Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
Baby 今夜だけ Baby
Oh baby 魔法が解けてゆく

宵闇が 僕らを包んで
天幕(テント) の中みたい
俺は冴えないピエロで
お前はFearless Girl
Circus Night
どんなにそれが絵空事でも
飛ぶしかない夜
君がほしい 口づけてしまいたい
幕があがる Circus Night

Oh baby 今夜のキスで
一生分のこと 変えてしまいたいよ
ここは 楽園じゃない
だけど 描ける限りの 夢の中
目の前で 魔法が解けてゆく
焦る気持ちだけが 言葉つなげ
君を抱きしめるたびに
綱の上で揺れる
Circus Night

Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
辿り着きたい ピエロ
Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
生き延びたい ピエロ
Tight rope dancing
Baby 今夜だけ
Baby 今夜だけ Baby
Oh baby 魔法が解けてゆく

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