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【三猫物語】<その 17> まさに、神さま、佛さま!
さっそく、佛川先生に診てもらう。
「じゃあ、病気の検査もしてみましょうね」と、さすがに先生は冷静である。
「体力も落ちてるから、しばらくは入院したほうがいいですね」
「はあ、すいません、よろしくお願いします」
・・・というわけで、佛川病院へ入院することに。
なにせボロボロな状態なので、まずは汚れを落とすところから。口内炎が酷く、モノを食べるのが無理だから、栄養補給は点滴で。とはいえ、口からモノを食べないと、どんどん弱ってしまうから、口内炎の治療も優先。
年齢は不明だが、先生いわく、「少なくとも、6歳は過ぎてる」そう。左目が完全に白濁しており、見えていない。喧嘩でもしたのだろうか?
「えっと、名前は?」
「あっ、そうですね」
元気になったら、リリースするのか、里親を捜すのか、なにも考えてはいなかった。とりあえず一時的な名前をということで、「とら吉」ということにした。とら猫なので、とら吉。とりあえず、なので、安易だけど、まあいいかと。
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特注のウェットがすこし食べられるように
はじめは、顔中がもうグジャグジャで、ほんとうに大丈夫なのか?という感じだった。そもそも身体の小さい猫だが、肉が落ちてしまって、ガリガリの状態。どのくらい食べていなかったのだろうか?体重は、2,4kg。そして、検査の結果、FIV(猫エイズ)が陽性。いろいろと手当ては、病院におまかせするしかない。
先生も、仏のような人なのだが、その御母堂が、また素晴らしい。なるほど、この母にして、この息子さんか、という感じ。入院初日から、その御母堂が、つきっきりで、看病にあたっていただいた。さすがプロ。われわれとはちがう。
仕事の帰りに、時間のあるときは、相方が佛川病院へ様子を見に行く。御母堂による懸命なケアのおかげで、2日目には、だいぶと汚れが取れ、3日目には、猫らしいカタチになってきた。口内炎も、やや治まったので、すこしずつウェットフードが食べられるように。
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ちょっとはドライフードも食べられるように
自分で食べられるというのは、凄いことだ。顔に精気が宿りはじめ、目に力が入るようになった。片目だけれど、ちゃんとしっかり見えている。
そうやって、約10日間ほど、佛川病院に入院させてもらい、すっかりお世話になった。保護猫に理解のある先生なので、入院費も格安にしていただいた。佛川病院の先生、スタッフさん、そしてなによりも御母堂の献身的なケアのおかげで、「とら吉」は、九死に一生を得た。