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【SXLP4期レポート#1 Team For live Better】日本におけるベトナム人技能実習生の犯罪を減らすためにスポーツができることはあるのか?

Sports X Leaders Program(以下、SXLP)6期の募集を開始しました。
★募集要項はこちら!

過去のSXLP参加者たちがどのような問いを立て、システム思考を用いて議論やワークをし、最終的なアウトプットをしたのか、ぜひご覧ください。
※本原稿はSXLP4期終了時に執筆していただいた内容です。


【チーム名:Team For live Better】

四つ葉のクローバー【Four Leaves Clover】の音から、社会を良くしていこう!という意味で、チーム名を決めました。私たちは、それぞれ社会のマイノリティを原体験にしている共通項があります。

・メンバー
池山と土屋:海外に住む日本人
宮島:障がい者
和田:トップアスリート

シロツメクサのマイノリティである、四つ葉のクローバーには「幸福(ラッキー)」というポジティブな意味があります。日本の社会でマイノリティは、どこかネガティブな印象があるため、四つ葉のクローバーのように、ポジティブな印象を与えていこう!という想いがあります。
そして、このグループが4人から形成されていることからこのチーム名になりました。

素敵でしょ?

【テーマについて】


そんな私たちは、現在、日本で増加しているベトナム人技能実習生にフォーカスをしました。皆様はベトナム人技能実習生と聞いてどのようなことを想像されますでしょうか。

「最近事件を起こすな」
「地元によく見るし、怖いな」
「低賃金で働いてくれるんでしょ」
「まじめで勤勉」

などなど。

きっとポジティブな印象よりネガティブな印象が先に出てくるのかな?と思います。確かに昨今、ベトナム人技能実習生の事件が多くメディアで取り上げられています。
スポーツに関心のある皆様でしたら、昨年、日本で行われたサッカーWorld Cupの最終予選 日本対ベトナム戦でベトナム人サポーターの声出し問題が物議になりました。

他方、日本の受け入れ企業がベトナム人技能実習生に暴行して書類送検された事件や、NHKで技能実習生の待遇の問題を扱ったドキュメンタリーの放映など技能実習生が被害にあっていることの報道もありました。

私たちメンバーは、このような技能実習制度の現状から、

・なぜベトナム人技能実習生が犯罪を犯してしまうのか?
・日本側、ベトナム側でどこに問題があるのか?
・技能実習制度が悪いのか?
・そもそも日本でマイノリティは優しい社会になっているのか?
・サッカーが人気なベトナムでスポーツを通して解決できないのか?
・もし技能実習生にとってより良い社会になればどんなことが起きるのか?

と考え、テーマを「日本におけるベトナム人技能実習生の犯罪を減らすためにスポーツができることはあるのか?」と設定しました。

ここで一旦、ベトナム人が日本に来日する目的の多くの【技能実習制度(技能実習生)】についてお話します!

技能実習制度の目的・趣旨は、我が国(日本)で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域などへの移転を図り、当該開発途上地域などの経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。

ベトナム人技能実習生は、ベトナムにて“送り出し機関”で日本語や礼儀などを1年から2年間学び、日本の“監理団体”へ派遣されます。その“監理団体”で登録されている受け入れ企業に技能実習生として派遣(1年から最長5年)される制度です。
そして受け入れ企業で学んだ技術を母国ベトナムで還元することが、大きな目的です。

2020年6月末時点での我が国の在留外国人は、288万5904人。在日外国人の出身地をみると上位から1位が中国、2位が韓国、3位がベトナムです。
ベトナム人は、全体の約15%で42万415人となります。そのうち、技能実習生として来日しているのが約半数の49.2%。日本にいるベトナム人の2人に1人が技能実習生と考えられます。今後も技能実習制度を利用して来日されるベトナム人は増加していくといわれています。

【ここからがSXLP! WORK!WORK!!WORK!!!】

日本でのベトナム人技能実習生の犯罪を減らし、彼らにとっても働きやすく住みやすい環境を構築するには、どうしたらよいか。
ここからチームで週2回、水曜日と土曜日の21時30分から24時、長くて夜中2時までSXLPで学んだフレームワークを活用してWORKをしました!

・PEST分析
・ステークホルダー分析
・因果ループ図
・CVCA
・親和図/2×2

各フレームワークを行っていると様々なインサイト(気づき・ヒント)を得られます。そのインサイトをたよりに、よりテーマについての知見を深めていきます。

各チームには、アルムナイと呼ばれるSXLP修了生の運営スタッフがWORKのサポートをしていただけます。
SXLPは多種多様なメンバーが様々な視点から議論することを推奨しています。私たちもアルムナイも対等な立場で議論をすることでWORK自体がとても楽しい時間でした!
楽しすぎて夜中2時になるときも多くありました。はい、そうです。2時になるのはWORKではなく、ただのお喋りで、です。笑

このあたりから私生活でもインサイトやら、ステークホルダーとかパートナーとの会話で言葉にしちゃって、家庭内の関係がぎくしゃくし始めます。爆

フレームワークを活用したWORKをして気づいたこと!

・技能実習制度の制度自体はしっかりとしている。
当初は制度のどこか欠点があると想定しましたが、調べてみるとSOS機能もあったり、賃金も最低賃金は支払う必要があったり、決して違法な賃金で働かせることはなく、技能実習生を守る要素は多くありました。
・技能実習生の1番の関心ごとは「給与」。
純粋に日本で働いてみたいという思いを持ったベトナム人もいますが、日本で稼ぎたい!そのために借金をして送り出し機関に入るベトナム人も多くいます。技能や知見を手に入れるよりも関心ごとは給与になります。
・受け入れ企業は「労働力」としてしか見ていない企業もある。
技能実習生を単なる労働力として見ている企業もあります。ベトナムに帰ってしまうため受け入れ企業が日本語の習得のサポートに力を入れたりせず、成長させる仕組みを準備しない企業もあるようです。

テーマの捉え直し!

技能実習生と受け入れ企業は「給与」と「労働力」というだけの構造になっているのではないかと仮設をたて、

・ベトナム人技能実習生が労働力以外の何かを受け入れ企業に提供ができたら?
・受け入れ企業が給与以外の何かをベトナム人技能実習生に提供ができたら?

より良い社会になるんじゃないかと考え、下記のようにテーマの捉え直し(リフレーミング)をしました!

『ベトナム人技能実習生と受入企業(経営者・日本人雇用者)が、双方に貢献度を感じるには?』

ここで貢献度という抽象的な言葉が出てきたので、抽象的な言葉のより解像度を高めるために実際に監理団体、技能実習生にインタビューをしました。

インタビュー後にフレームワーク:WCAで各関係者間の価値観、行動理由の流れを明示し、インサイトを抽出。

ベトナム人技能実習生のインタビューをもとに、技能実習生が「日本語のコミュニケーションが難しい状態で入社」してから「受け入れ企業からの貢献度を感じて仕事をしている」プロセスをカスタマージャーニーマップというフレームワークを利用し可視化!

アタックするポイントが明確に!

今回、インタビューしたベトナム人技能実習生の方が日本語の能力を上げ、日本人(受け入れ企業)とのコミュニケーションが取れ始めてきた状態までにかかった1年間。
例えば、この1年を9ヶ月に、6ヶ月に、3ヶ月に1日でも短縮させたら双方に貢献度を感じることが早くできる。私たちはこのポイントを問題解決のイノベーティブポイントとしました。
どうやったら問題解決ができるのか、ソリューションを私たちは5分間に100個アイデアをだして、その中で楽しそうなことを実験的に行いました。

お気づきかと思いますが、ここまでスポーツが出てきていません。笑
SXLPは「スポーツの課題」にアプローチもOKですが、私たちみたいに「社会の課題」にどのようにスポーツを活用するか、ももちろんOKです!
スポーツをどう活用するか、スポーツの多面的機能を活かす、それも素晴らしい取り組みだと思います。

【ソリューション】

私たちが考えたソリューションは、下記の2つ。

1.非言語コミュニケーションを取ることのできる「TikTok」

目的:仕事以外で日本人を含んだ同僚と関係を築く
機能:非言語コミュニケーションができる機能
(職場で)仕事以外を楽しめる機能
笑い合える機能
お互いに声をかけたくなる機能
日本語が自然覚えられる機能
必然的にベトナム人と日本人が絡み合う機能

実際にプロトタイプを行ってみた!

■振り返り(行動結果・コミュニケーション)■

【撮影中】
・タイムライン上にある動画の楽曲とテーマに沿って、ゲストハウススタッフとショート動画を撮影
・お互い(ウガンダ人/土屋)が納得するまで、1動画あたり平均7~8テイク撮影
・簡単すぎる動画には“物足りない“と軽くクレームも(笑⇒2本目撮影)
・経験/習慣のない動作を説明するのが難しい
  例:『だるまさんが転んだ』、水泳のクロール
・仕事するための機能(目的に向かって共同作業をする)をTikTokで疑似体験できた

【撮影後】
・動画撮影翌日、これまであまりコミュニケーションのなかったスタッフが自分から挨拶をしてきた
・動画がほしいと言ってきた男性にWhat up で連絡先交換で、アカウント画像が彼女で「これ
 誰?」って会話が生まれた

そして、ここで一旦「非言語的コミュニケーション&仕事外要素は、身体活動を伴う行動が良いのか/身体を動かさなくても良いのか」を検証しないといけないよね、立ち止まります。同じ要素を持っている、芸術(伝言ゲーム)もプロトタイプをします。

その結果、TikTokとほぼ同じ結果が出ましたが唯一、TikTokでは元動画をコピー(同一の目標)するためのトライ&エラーをともに経験したため、成功した時の達成感はより大きいものがあった。褒め合うこともあり、よりポジティブな感情がありました。

2.双方に貢献度を感じることのできる「コミュニケーションツール」

目的:ベトナム人技能実習生と受け入れ企業(経営者・日本人雇用者)が双方に貢献度を感じる
機能:ベトナム人から日本人への貢献:仕事ができるようになる
日本人からベトナム人への貢献:仕事ができる(できない)ことを認めてあげること
ベトナム人が仕事をできるようになる機能
日本人がベトナム人の成功(失敗)を認める機能
その他の機能:ピクトグラムを利用して日本語が苦手な外国人でも理解でわかる機能
受け入れ企業相談しにくいことや、体調崩したときに利用できるアラート機能
日本での思い出(写真や動画)をアプリで残せる写真フォルダの機能

こちらも実際にプロトタイプを行ってみた!

SXLPは時間ぎりぎりまで問いを考え抜くことも大事にしているため、この施策も発表の当日の午前中にプロトタイプを行いました。

■振り返り■

メンバーの池山が、会社のベトナム人アルバイトの仕事後に入力していただきました結果
 今日の体調 ;なかなか良い
 仕事の成果 ;まぁまぁ良くない
 報告連絡相談;特になし

と報告がありました。

こちらからわかったことは、体調や心理的状況が事前に把握していると声掛けやマネージメントがしやすい、記述式の報告連絡相談のハードルが高いと感じました。
ただ、言語でのコミュニケーションでより断然に相手のことを把握できるので、マネージメントはしやすいと感じました。

まとめ(発表)!

【テーマ】

日本におけるベトナム人技能実習生の犯罪を減らすためにスポーツができることはあるのか?

【ソリューション】

・非言語コミュニケーションを取ることのできる「TikTok」
・双方に貢献度を感じることのできる「コミュニケーションツール」

「スポーツの原始的な部分である身体を動かす」という要素を含んだ「TikTok」やone tap sportsやピクトグラムといったスポーツ環境で開発されたツールにヒントを得た「コミュニケーションツール」が日本におけるベトナム人技能実習生の犯罪を減らすためのソリューションになりえる、スポーツがこのテーマに対してできることがある、と信じています。

【メンバー】

池山諒太(いけやまりょうた)
1987年 埼玉県生まれ 大阪府育ち
新卒で広告代理店に入職。お世話になったサッカーコーチの死別をきっかけにによりベトナムでサッカーのコーチでベトナムへ。現在、ベトナムで3A Thumbs Up Vietnamを起業し、スポーツクラブ(サッカー、チアダンス)を経営しています。
パクチーは嫌いです。

宮島大輔(みやじま だいすけ)
1992年 福岡県生まれ 東京都育ち
幼少期からサッカーをしていましたが、18歳の時に事故で脊髄損傷を負い車椅子を使用する生活をするようになりました。
大学院卒業後にはNPO法人日本ブラインドサッカー協会に入職をし、
現在は国内で開催されるブラインドサッカーの大会の運営をしています。
パクチーは好きです。

土屋 雅人( つちや まさと)
1989年 埼玉県生まれ
大学卒業後、国内メーカー営業・海外ボランティア・国際協力事業国内スタッフ・ラグビーワールドカップ2019サモア代表アシスタントリエゾンオフィサーを経て、現在はウガンダ・ケニア・ルワンダの機会の不平等に直面している子供達(例:HIVエイズ遺児や元ストリートチルドレン)を対象としたチャリティサッカープロジェクトを担当。
パクチーは嫌いです。

和田拓(わだ たく)
1988年 神奈川県生まれ
小学校2年からラグビーをはじめ、キヤノンイーグルスでプレーし2018年に引退。
現在は横浜キヤノンイーグルスの運営スタッフとして働いています。
趣味は旅行と映画鑑賞。最近はカメラ(一眼レフ:EOS9000D)にハマってます。
SXLPでベトナムに触れて、ダーカウをやってみるもセンスなし。最近はフルマラソンへの挑戦を決意し練習を始めようとしています。
パクチーは食べられます。

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