クラウドファンディング、開始から50日後の現在地と、今後について
こんにちは、さとしです。
いろんな人が読んでくれているようなので、今回は少し丁寧に、略称などをなるべく使わずに、これまでの活動の経緯をふりかえります。
「世界青年の船」事業とウクライナの接点
この活動は、内閣府が主催する「世界青年の船」という研修の卒業生が有志で取り組んでいるウクライナの人道支援を目的とした活動です。「世界青年の船」とは、日本を含む11か国の青年たちが、船で共同生活をしながら、リーダーシップや異文化理解力などを養う、国際交流事業です。私はこの事業の卒業生ではありませんが、スタッフとして2014〜2020年の航海に参加しました。
この事業にウクライナの青年たちが参加したのは、2017年でした。
クラウドファンディングが始まるまで
ウクライナの友人たちと一緒に船で旅をしてから5年以上が経った2022年2月、ロシア軍による侵攻が始まりました。事業に参加していた友人たちとは、「なにかしたい、なにができるか」は繰り返し議論がありました。当時、一緒に事業に参加していたウクライナの友人たちとZoomをつないでアイデアを出し合ったりしたこともあったけど、なかなかプロジェクト開始に至らず…。
ひとくちに「ウクライナを支援する」と言っても、誰をどんな方法で支援するのか、さまざまな議論がありました。例えば:
武器の購入につながる支援は望ましくないのでは?
ExPYがいるEU圏の国で避難民の支援をする?
国内で勉強会などのチャリティイベントをやってみる?
侵攻開始から3か月、4か月と時間が経ち、なにもできないことにだんだん気持ちも焦り始めました。
支援先は、どこにするか
2022年6月末にようやく活動内容が決まりました。船旅を共にしたウクライナ人のひとりであるパウロが、ウクライナ西部で国内避難民の支援をしており、その活動をバックアップすることになりました。
2022年3月をピークに、ウクライナ国外に避難する人の数は減り、ウクライナ国内で比較的安全な地域に移動する国内避難民が増えていました。戦禍のウクライナに戻る/留まる事情はさまざまですが:
国外に逃げても、言葉が通じない国では仕事が見つかりづらい
家族の一部をウクライナに残して離ればなれで暮らすことがつらい(18-60歳のウクライナ人男性はいま、原則として国外に出られない)
手続きナシで在留できる期間が過ぎてしまった
などが主な理由です。ウクライナの西部では、設備や広さが不十分な場所で、避難者が共同生活するケースが増えました。
パウロが支援していたのも、そんなシェルターのひとつです。約150人が暮らす5階建のシェルターは、それぞれの階にキッチンとトイレがありますが、老朽化した住宅設備の取り替えや、不足している家電製品の新たな設置が必要でした。
目標金額、いくらにしよう
さて、支援先は決まったけど、いつまでにいくら集めよう。30年以上続く事業なので、過去に事業に参加したことがある人は相当な数がいるはず。たくさん協力者が集まる気もします。しかし一方で、ウクライナが「世界青年の船」事業に参加したのは、1回のみ、2017年だけです。事業の長い歴史の中では、比較的新しく参加した国です。ウクライナ人と一緒に船で旅をしたことがある人はごく一部である点を考慮すると、どの程度の人数の人から共感、協力してもらえるかは想像がつきませんでした。
最終的に、金額についてはパウロにシェルターの需要を聞き取ってもらい、5,000ドルに設定。そして、期間は、げんを担いで七夕(7/7)に開始、終了日は国連が定める「世界の停戦と非暴力の日」(9/21)としました。奇しくも期間は77日間という縁起のいい数字になりました。
晴れないモヤモヤ
なるべく大きなインパクトを出したいという想いとは裏腹に、有志の数名で展開できる活動には限りがあるので、こぢんまりした規模のプロジェクトに落ち着きました。困り事のひとつは、法人格がないため、団体としての口座などがなく、広く世間に知られているクラウドファンディングのプラットフォームが使えなかったことです。
そうするとなにが不便か?みなさんがよく見る「目標金額まであといくら」のイラストがタイムリーに公開されたりとか、ワンクリックでクレジットカードの寄付ページが表示されたりとか、そういうサービスが使えないことがちょっとした悩みでした(今でもまぁまぁ悩んでます)。
もうひとつは、「世界青年の船」事業に参加していたロシア人の友人たちにどう寄り添うか、という点です。ウクライナを支援する、というアクションには、どこかしらでロシアへの非難が伴います。でもそれは「ロシア軍による侵攻」に対してであって、ロシアの人たちを無差別に責めるようなトーンにならないように気をつけています。よりシンプルに言えば、このクラウドファンディングで、自分とロシアにいる友人たちとの友情に亀裂が入りませんように、という気持ちです。
開始から50日後の現在地と、当面の目標
金額にしてみると地味ですが、これまでに25万円程度が集まりました。ロシアの友人が寄付をしてくれたり、「世界青年の船」事業に関わりがない人が寄付してくれたりと、嬉しい協力も多数ありました。
これまでの寄付は、3回に分けてウクライナに送金し、現地で活動するパウロが住宅設備や家電を購入し、支援先のシェルターに届けています。これまでの寄付の使い道は下記の通り:
7/7〜7/9に集まった寄付:冷蔵庫をふたつ購入、運搬、設置
7/10〜7/17に集まった寄付:洗濯機とトイレの購入、運搬、設置
7/18〜7/27に集まった寄付:冷蔵庫ふたつを追加で購入、運搬、設置
7/28以降の寄付:あと1万円程度集まったら追加のトイレの購入費用に充てる予定
これからのこと
クラウドファンディングの残り期間は1か月を切りました。1円でも多く集めたい、というよりは、1人でも多くの人に参加してもらいたいという気持ちがあります。最終日の9/21に、「最終的にこんなにたくさんの人が応援してくれた」というメッセージをが伝えられるように、引き続きがんばります。チャリティイベントも随時開催中なので、ぜひご参加ください:
残念ながらロシア軍による侵攻は終わる気配はないし、ウクライナの避難所では間もなく冬支度も始まるし、日本に暮らす1,500人を超える避難民への支援はまだまだ不十分だしで、9/21以降も、引き続きなにか活動を続けたいと思っています。一緒になにかしたい、今後の活動のアイデアがある、そんな方はぜひお気軽にご連絡ください。
寄付は引き続き、PayPayにて受付中です!
PayPay ID: swyforukraine
さとし