開けてびっくり、なぜそこに…
私が、精神科クリニックのデイケアでスタッフとして勤務していた時のことです。
当時、私が担当していたのは青年期の患者さんたちでした。
ある時、生活技能訓練の一貫として本屋に引率しに行った時のことでした。
いつも通り
ある程度の時間設定をして、各自が読みたい本のフロアに行き過ごす時間を設けることにした。
そうすることで、待ち合わせの時間に1人で何をどうするか考えて
待ち合わせの指定場所に集まってきて、みんなで帰る。
これが、生活技能訓練兼散歩のルーティーンでした。
しかし、今日に限って
いなくてはいけないハズのAさんが一人
いつまでたっても戻らない事態が勃発‼
マジか‼
慌ててフロアに残っている同僚に携帯電話で報告をして
1人ヘルプ要因で本屋まで急遽応援に来ていただきました。その後は先にもどってきた利用者さんを引き連れて事業所に戻っていただいた。
その後、私は本屋のトイレなど隅々まで探すも
いない。
まさか、と思い過去にAさんが生活技能訓練で行ったことがあるデパートの
文具売り場に行ったが
いない。
あまりに、歩き疲れて
「もう、これは帰ったらヒヤリハット(報告書)か事故報告書を書くこと間違いなし。そんで朝の朝礼でこれらの報告をして、きっとつるし上げ(公開処刑)に会うんだろうなぁー」
と思いながら寝具売り場をうろうろと巡回。
すると
「どうぞ、寝て試してください」
的な感じで
いかにも眠りを誘うような
ふかふかのベットが目の前にディスプレーされて出てきたのでした。
不謹慎にも
「あー、いっそのこと こっちがこのベットでふて寝したい気分だよなぁー」
思った瞬間
何やら
誰もいないだろうと思われる布団がこんもりとふくらみ
中からがさごそと 動く物体が…
なんと、その正体はAさんでした。
なぜ、そのベットで寝落ちしていたのか?
と聞くと
昨晩は睡眠不足であまり自宅で寝ることができなかったから
とうことで
歩いて、デパートの寝具売り場で仮眠をとっていたのでした。
精神科の利用者さんは服薬している薬の副作用でこのような事が起きます。
こちらが心配していたとは知らずに
寝具売り場のベッドで熟睡していたとは
ある意味
「この人 大した根性しているじゃないか…」
と既に呆れて叱る気力も失せていました。
とりあえず、無事で見つかって何よりだったこので
「それでよしとするか」
と
むしろすがすがしい気持ちで事業所にもどりました。
この一部始終をもどって同僚に話すと
「あっ、この前新人で入って来た〇〇フロアの✖✖さんなんか入ってきた初日から無銭飲食で通報された利用者さんを警察まで迎えに行き、ひたすら謝る業務でしたよ」
と聞き
「上には上がいるもんだわあー」
とびっくりでした。
そう考えたら、精神科でスタッフをしていたら
ある意味、よその事業所で多少の利用者トラブルがあっても
タフな精神力が身につくかもしれない…
と
改めて自分の仕事の大変さに気づかされました。
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