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キャリアとデザイン | つながりつながる連続講座 | Vol.2
「つながりつながる連続講座」はSOCIAL WORKERS LAB(以下、SWLAB)が主催する全4回の連続講座です。SWLABの活動で生まれてたつながりが、これからへとつながることで「つながりつながる関係」をつくります。第2回目のゲストは企業の採用支援と新事業創出に取り組む菊池龍之さん(michinaru株式会社 代表取締役)にSWLABディレクターの今津新之助がお話をうかがいました。
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菊池 龍之(きくち たつゆき)
michinaru株式会社 代表取締役
1976年滋賀県生まれ。同志社大学卒業後、日本データビジョンで採用支援事業に従事し、複数の事業立ち上げを経験。2011年株式会社コヨーテ設立。独自の採用メソッドを開発し2千社を越える企業に伝える。2020年「変化を起こす挑戦者を創る」をミッションにmichinaru株式会社を設立。
変化を起こす挑戦者を創る:michinaru株式会社
今津:こんにちは。SWLABディレクターの今津新之助です。今回の講座にも50人くらいの申し込みがありました。盛況ですね。ありがとうございます。学生さんが3割、社会人が7割くらい。今回はmichinaru株式会社代表取締役の菊池龍之さんに「キャリアとデザイン」についてお話いただきたいと思います。
菊池:michiaru株式会社の菊池です。今津さんとは長い付き合いなので、いつも通り「しんちゃん」と呼ばせてもらいます。ところで、しんちゃん、体調は大丈夫?
![ダウンロード (50)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64856116/picture_pc_6c969005ce23f1eae615f6ed531727ef.png?width=1200)
今津:ご心配かけてすみません。生きてますよ。笑
菊池:入院して、集中治療室に入っていたんだよね?
今津)ぼくは喘息もちなんですが、この4月に喘息症状が急に悪くなって集中治療室(ICU)で生死をさまよう経験をしました。今日も呼吸の調子が悪くて、ハフハフしながら司会進行をさせてもらいます。(ハフハフ)
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菊池:打ち合わせのとき。集中治療室での経験をあんなにおもしろく話すひとも珍しいと思いましたよ。笑
今津:打ち合わせのときは体調が良かったんですけどねぇ~。すみません。(ハフハフ)
菊池:今日は「キャリアとデザイン」というテーマをいただいているので、前半はぼくがやってきた採用支援と新事業創造について。後半は視聴者からの質問に答える形で進めていきます。しんちゃん、それでいいですね?
今津:はい。OKです。
菊池:質問はチャットで受け付けます。しんちゃんが無理をしないで進められるようにできればと思っています。ご視聴のみなさんもご寛容にお願いしますね。ぼくとSWLABとのご縁については、1年前に講師をさせてもらったときのログがnoteに公開されています。どうぞご覧ください。
人生、キャリア、仕事のデザインとは
![ダウンロード (54)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64857637/picture_pc_d441ad22ab7bd64dcb5f441bfdf7c0be.png?width=1200)
菊池:ぼくの自己紹介からはじめたいと思います。1976年滋賀県生まれ。大学卒業後に日本データビジョンというベンチャー企業に就職しました。当時は社員9人の会社です。1年後に就活中の学生のシンちゃんがやってきました。シンちゃんとの縁はそこからです。
日本データビジョンは企業の採用支援事業を行う会社です。ここで働こうと思った理由は事業内容に魅力を感じたというよりも、会社が発信していたコピーに惹かれるものを感じたからです。
青年よ、大志をもって会社を使え
学生のぼくは「会社に使われるんじゃなくて、会社を使っていいんだ!」と驚きました。この会社で11年ほど働いて、採用支援事業でキャリアを重ねつつ「会社を使って、いつか、自分でも何かをやろう」と思っていました。そして、2011年に株式会社コヨーテを設立しました。
株式会社コヨーテは、ベンチャー企業や中小企業の採用支援を行う会社です。当時も今も、大手企業には学生さんが何万人もエントリーしてきますが、中小企業にはなかなか集まりません。そうした"採用弱者"と言われる中小企業に対するソリューションはなかったので、それを何とかしたいと考えて会社を立ち上げました。
今津:あの頃、菊池さんは企業の採用担当者を集めて勉強会をしていたことを覚えています。
菊池:企業の垣根をこえて人事・採用担当の人たちと勉強会を開催しました。何を勉強するかと言うと、リクルートさんが提供するような採用の道具の使いこなし方ではなく、採用活動を組み立てるための思考方法やメソッドについてです。人が集まる採用活動のナレッジを共有する場づくりは、最初はお金にならなかったけど、意識の高い人事・採用担当者とつながることができました。
いい会社は「いい採用」をしています。「いい採用」に共通するポイントはなにか。「いい採用」はどんなステップを踏んでいるのか。そこに共通するものが見えてきたので、採用メソッドとして伝えるセミナーやワークショップを開催しました。採用活動に苦戦している地方の企業さんに「こういう考え方や方法もある」と伝えることを株式会社コヨーテで行いました。
今津:新規事業創造プロジェクトをはじめたきっかけは何ですか?
菊池:採用支援と新規事業創造は似ている部分がたくさんあります。2000社を超える企業に採用メソッドを伝えましたが「このメソッドを使って僕は何をしたいのか?」と考えるようになったころ、縁があって事業開発プロジェクトと出会いました。
Why(=なぜ?)を真ん中に置く
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菊池:ぼくは人生を実験のように楽しみたいと思っています。何かを生み出すこと、創り出すことに興味関心があるので新規事業創造プロジェクト「Hatch!」を立ち上げました。このプロジェクトが現在のmichinaru株式会社の前身となるものです。
michinaru株式会社では新規事業創造や採用支援などを行っていますが、いずれも「Why」「How」「What」の考え方を大事にしています。物事を考えるときに「Why(=なぜ?)」を真ん中に置くゴールデンサークルという考え方は、スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションにも使われています。
ぼくらの「Why」について。「なぜ?」という問いを持っていても、卵の殻が破れなかったり、開花できない状況を変えたいと思っています。自ら未知なる扉を開ける挑戦者で溢れる世の中にしたい。そう思って活動をしています。
「How」について。「どうやってすんねん!」ということは、問題をスピーディーに解く力ではなく、本当に解くべき問題を見つける力を育てることが大事ではないかと思って着眼しています
「What」について。「どうやったら身につくねん!」ということ。それは我々の事業のメインになっている人材の発掘と育成と土壌づくり。組織でどうやって育てるか、生み出すかということ。これをテーマに活動をしています。
「なりゆきの未来」と「実現したい未来」の違い
![ダウンロード (55)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64857730/picture_pc_7d7bf3f856deb588a0fd1177c5b6bf4e.png?width=1200)
菊池:ぼく自身が衝撃をうけた考え方を紹介します。「未来には2種類しかないよ」という話です。どちらを選択するのかは自分自身で決めることになりますが、ひとつは「なりゆきの未来」です。これは誰かが作ってくれる未来にのっかること。スライドではエスカレーターを表していますが、上に行くのか、下に行くのか、横に行くのかはわかりません。誰かが作ったものに乗るからです。
もうひとつは「実現したい未来」です。これは自ら意志を持って進めるひとがたどり着く未来です。思った通りの未来になるかはわかりませんが、そこに自分の意志があります。ぼく自身の想いとしては、実現したい未来に向かって進む挑戦者を増やしたいと願っています。
「実現したい未来」に向かう方法とは
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64857773/picture_pc_2c47b106c06f4a275f21c82d40591e36.png?width=1200)
今回は「キャリアとデザイン」がテーマなので、この話もしましょう。「Will」「Must」「Can」の3つはキャリアを考えるうえで重要なキーワードなので皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
学校や会社では宿題や課題や業務などの「Must(=やるべきこと)」が与えられるので、それをこなせるように努力すると思います。新人の頃はなにもできなくても、まずはテレアポから練習して、だんだん喋れるようになって、営業ができるようになっていくなど。できることが増えると「Can(=できること)」の円が大きくなります。やるべきことが与えられて、できる事が増えてくると、自分なりの「Will(=やりがい)」が芽生えてくる。
やるべきこと、できること、やりがいの順に円が大きくなっていくと良いのですが、実際の働き方はどうでしょうか?やらされる仕事は多くなって、できる事も増えるけれど、自分のやりがいは感じられない。そのまま10年、20年、キャリアを過ごすひとは少なくない。そういう働き方に問題意識を持っています。
ぼくは「やりたいこと」からスタートさせたいので新規事業創造に取り組んでいます。自分自身の「これがやりたい」「こういうことが好き / 嫌い」という自分の意識や価値観をベースにしながらキャリアをつくっていのがこれから大事です。
事業創造とはまさにこれです。与えられた課題の解決ではなく、自ら課題を発見して取り組んむこと。そのためにできること、できるひとを増やすこと。Will(=やりたいこと)からエンジンを回そうとするひとを増やすことが、ひいてはキャリア形成や人材育成につながると思っています。
これからは人工知能(AI)がさまざまな場面で活用される時代になり、今ある仕事の6割が代替可能になるとも言われています。僕自身のキャリアをデザインするために大事にしているのは「余人をもって替え難い存在になる」という経営学者の楠木建さんの言葉です。替えがきかない人間になるためにどうするか。常識の枠を超えて創造的な思考(アート)を大事にすること。自分の目と頭を信じること。それがキャリアを考えるうえで大事なエッセンスだと考えています。以上です。
やりたいことがわからないときは?
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今津:菊池さん、ありがとうございました。ここからは視聴しているひとからのコメントと質問を紹介して、菊池さんに応答していただこうと思います。
私はMust(=やるべきこと)とCan(=できること)をこなすばかりで、自分のWill(=やりがい)がわかりません。実現したい未来も見えません。そういう風に思ってしまう自分の場合には、どうしたらいいのでしょうか?
菊池:MustやCanをできる人は、それはそれで素晴らしい能力だと思います。しかし、そこだけをぐるぐる回ってしまうことに違和感をおぼえているとしたら、自分らしいあり方を見つける行動を始めてみてはいかがでしょうか。ちょっとした事でもいいと思います。電車の中で空き缶が転がっているのみて「邪魔だな」「うるさいな」と思うひとは多いでしょう。けど缶を拾ってゴミ箱に捨ててみるひとは稀です。すごく小さいことだけど、缶を捨てることも自ら課題をみつけて解く挑戦だと言えます。そのくらい小さな過去とから、「こうしたほうがいいな」と自分が思うことを行動に移してみてはいかがでしょうか。
課題を解決するよりも、課題を見つけるほうが難しいという話に興味を持ちました。課題を見つける行動力はどうやって身につけるのでしょうか?
菊池:ぼく自身も日々トライしています。自分の目で見て、自分の頭で考えて、疑問を保留しないで、意見を口に出してみること。あと、関心のある現場に足を運んでください。現場をよく見て観察することが必要です。福祉領域の場合には「このひとたちは不幸で可哀想なんだ」という思い込みが目を曇らせて、現実をゆがんで捉えてしまうこともあるでしょう。そういう思い込みを捨てて、現場に足を運んで、よく観察することから始めてみるのはいかがでしょうか。
私は「なりゆきの未来」ではなく「実現したい未来」があります。けど、自信が持てないし、自分には無理かもしれないし、周りの目も気になってしまいます。一歩を踏み出すためにどんな心がけが必要でしょうか?
菊池:周りの目が気になるのは「本当にやりたい事なのか?」という部分が気になります。本当にやりたい事であれば周りの目は関係ないでしょう。だれが、どんなふうになると嬉しいのか。解像度が荒いのかもしれません。現場の人と関わったり、リアルを知ると踏み出しやすくなるのではないでしょうか。
どうすれば自分のキャリアをデザインできるのでしょうか?
菊池:設計図を引くようなデザインはできませんが「こうありたい」「こうなりたい」という自分自身のありたい姿をデザインすることはできます。こういう講座に来ている時点で、自分のなかの「こうなりたい」が発動しているのではないでしょうか。
組織のトップだけが「Will(=やりがい)」を感じるのではなく、組織全体としてそうなるにはどうしたらいいか。自発性のある組織にするために押さえるべきことは?
菊池:ぼくの会社でも考え続けていることです。トップが自分のwillを語りながら、みんなのwillを引き出していくコミュニケーションを心がけてください。willが無いひとはいないので、引き出してあげる言葉を持つことが自発的集団に変わる第一歩です。事業創造は社員のwillを見つけて、磨いていくためのプロセスに役立ちます。
ぼくらが皆さんと関わることで、医療や福祉の課題が解決していくこともあるかもしれません。しんちゃんとの縁でSWLABとつながり、こうして話をさせていただくことは自分にとってもありがたいです。今日はありがとうございました!
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SOCIAL WORKERS LABで知る・学ぶ・考える
私たちSOCIAL WORKERS LABは、ソーシャルワーカーを医療・福祉の世界から、生活にもっと身近なものにひらいていこうと2019年に活動をスタートしました。
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