スイスラボの「スイスの社会保障制度セミナー」レポ2~離別と年金
みなさん、こんにちは!
Swiss Lab. Go for it ↗︎
通称【スイスラボ】です!
2022年3月6日に開催されたスイスラボ主催「スイスの社会保障制度セミナー」。
チューリッヒで税理士としてご活躍のモック・華先生と、
じっくり一時間半、主にスイスの年金制度について学びました。
前回のレポ1では、スイスの年金制度のきほんについて学びました。
このレポ2のテーマは「離別と年金」です。
人生には出会いもあれば、別れもある。
出会いは別れの始まり、とも言います。
考えたくないことですけど、
配偶者との別れも例外ではなく、
いつか離婚か死別という形でやってきます。
そんなとき、年金はどうなるの・・・?
といった疑問にお答えしていきます。
前回の記事で、スイスの社会保障制度には三本の柱がある、と学びました。
企業年金
(独)Pensionskasse (BVG / UVG)・(仏)caisse de pension (LPP / LAA)・(伊)cassa pensioni (LPP / LAINF) (英語)個人年金
(独)Säule 3a・(仏)Pilier 3a・(伊)previdenza individuale vincolata (3a) (ロマンシュ語・英語)、及び3b
このレポ2では、
離婚・死別の際に、この三本の柱がそれぞれどう処理されるのか
について、まとめます。
備えておくと良いことについては、
セミナー後の質疑応答で踏み込んだ質問がよせられました。
そんなわけで、そちらについては次回のレポート3「質疑応答まとめ」に含めました。
離婚の場合
国民年金・企業年金については、
離婚時に結婚期間中に払い込んだ掛金を夫婦で折半します。
もし配偶者に離婚歴がある場合、
既に前の配偶者と折半済みなので、
現在進行中の結婚・離婚による折半額には影響ありません。
個人年金についてはもう少しややこしいです。
もし給与から個人年金の掛金が払い込まれていたのであれば、
国民年金や企業年金同様に、夫婦で折半です。
ただ、もし相続した遺産から掛金が払い込まれていた場合には、
折半されません。
また、婚前契約に個人年金の扱いについて既に取り決めがなされていたのであれば、それに従うことになります。
死別の場合
国民年金・企業年金から、遺族年金が支給されます。
国民年金の正式名称は、
(独)Alters- und Hinterlassenenversicherung(AHV)
(仏)Assurance-vieillesse et survivants(AVS)
(伊)Assicurazione vecchiaia e superstiti(AVS)
(英)Old-age and survivor's insurance(OASI)
(日)老齢・遺族基礎年金保険。
遺族年金も含まれているのです。
子どもが18歳以下の場合は子供にも年金が出ます。
死別の際には離婚と異なり、相続も関係してきますよね。
相続についてはどうなっているのかというと、
というわけで、国民年金・企業年金に積み立てた基金を相続することはできません。
一方、個人年金は遺産の一部として扱われます。
ちなみに、すべての受給年金は所得になりますので、課税されますよ。
さて、最後にモック先生からのアドバイスを!
スイスの社会保障制度にこれだけ詳しい(というか、専門家の)モック先生ご自身も、スイスライフのKien Thai (Jason) さんに年金計画の相談をしているのだそうです。セミナーで、ご紹介くださいましたので、こちらにも載せます(↓)。
ドイツ語・英語でとても親切に相談に応じてくださるそうです。やはり最新の保険商品の情報などは、信頼できる専門家に聞くのが良いでしょう。どうぞ参考にしてみてください。
ちょっと短めですが、レポート2はこれでおしまいです。
続くレポート3では、モック先生のレクチャーの後に行われた質疑応答のまとめをお届けします。
配偶者との突然の離別時に思わぬトラブルに見舞われないように、
心がけておくべきポイントについてなどについても、質問が出ました。
次回最終回も、どうぞお楽しみに!
スイスラボ
~~スイスラボより補足~~
セミナー参加者の皆様にご参加いただいたアンケートに、
「年金受給額の予測ができるウェブサイトとかあったら知りたい」
というお声がありました。
どうやらこちらでできそうです。
リンクは英語のページに貼りましたが、
右上にある言語タブで言語の切り替えができます。
ご参考にどうぞ。