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みんな、ブレイクアウトルームで何話した? ~その2 仕事の経験談@ヨーロッパ〜
スイスラボでは、記念すべき初イベントとして、スイス発🇨🇭女性のための異業種交流オンラインイベント『ハッピーカフェ』を今年の6月に開催しました!ハッピーカフェの流れやブレイクアウトルームについては、前回の記事でサクッとご覧いただけます。
前回からシリーズでお伝えしている、各ブレイクアウトルームで出た話題のレポート。参加者のみなさまから、たくさんの経験・ご苦労が詰まった思いや、勇気ある発言や面白エピソードが出ました。一つの記事ではとてもまとめきれず、長編記事2本立てでご紹介しております!
その1では「ワタシの仕事観」の話題のまとめをお届けしました。その2では、もう一つのテーマ「仕事の経験談@ヨーロッパ」で話し合われた話題のまとめをお届けしたいと思います。
ブレイクアウトルーム~仕事の経験談@ヨーロッパ〜
スイス在住の日本人は、約1万人。そのうち6千5百人あまりが女性です(統計はコチラ)。Swissinfoが2019年に実施したサンプル調査(※)によると、スイスに長期移住する日本人女性のうち約7割が結婚を理由とする移住だそうです。つまりは、仕事を得て就労ビザでスイスにやってくる日本人女性は少数派。多くの女性が(日本でしていた仕事を辞めて)仕事を持っていない状態でスイス生活をスタートさせています。
生活に少しずつ慣れてきたら、やはり始めたいのが仕事。
とはいえ、右も左もまだよくわからない外国での求職活動は想像以上に厳しいもののようです。文化の違いなどの通常の難しさに加え、多言語社会のスイスではさらに言葉のハードルがマッターホルンよりも高くそびえ立ちます。
皆さん、きっと職探しで色々と苦労されたり、今まさに苦労していたりするはず。これから職探しをしようという方も、いろいろな不安をかかえているだろう。ということで、続くブレイクアウトルームでは、
仕事の経験談@ヨーロッパ(何に一番苦労した?ヨーロッパでの職探しで不安なことは?など)
をテーマに、話し合っていただきました。
各ブレイクアウトルームで出たキーフレーズをまとめると、こんな感じ。
・言葉の壁
・どうやって仕事を探したらいいのかわからない・・・
・ビザを取るのが難しい
・自己アピール大事
・スキルがないと就職が厳しい。色々な資格を取った・取りたい
・むしろ、自分でビジネスを開拓する!
というわけで、仕事の経験談@ヨーロッパのテーマも、各ブレイクアウトルームで盛り上がりを見せました。
言葉の壁、いや、絶壁!
まずは、この話題。すべてのブレイクアウトルームで出ました。
これは特にスイスではマッターホルン級に難攻不落な問題です。
というのも・・・。スイスの公用語は、
(スイス)ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
の4つ!多すぎ!!
英語が喋れたらそれでなんとかなる、というものではありません。英語の他に、せめてドイツ語、フランス語、イタリア語のうち少なくとも1つはマスターしていないと、就活の厳しい競争のスタートラインにも立てないのが実情。なにしろライバルたちは、3、4の言語を普通に喋るマルチリンガルたちです・・・。
「外国語=英語だ(Only)!」と脳内変換されている大多数の日本人には驚嘆する現実ですよね。
それに加えて、スイスで話されているドイツ語は、ドイツで話される標準ドイツ語とはかなり違う、というのも状況をさらにややこしくしています。
スイスドイツ語圏では、チューリッヒドイツ語、ベルンドイツ語、ヴァリスドイツ語・・・、のように州ごとに異なる方言が話されています。完全なる話し言葉で、正書法がありません。それじゃイロイロと不便なので、スイスでも「標準ドイツ語」が新聞・ラジオ・電車内アナウンスなどで使用されます。しかし!それはスイス諸方言で好まれる単語や語法が反映されたスイス標準ドイツ語で、いわゆる標準ドイツ語とは若干異なるのです。※※
それでもって、日常耳にするのはバリバリの方言。一応語学試験や就職に必要な証明書は標準ドイツ語でOKなのですが、地域社会に溶け込むには方言がわかることが必須だったりします。
スイスのフランス語圏、イタリア語圏や、スイス以外のヨーロッパの国々でも、英国を除き、英語以外にも現地の言葉をマスターするのが欠かせないのは、同じこと。
言語を習得せねば!というやる気だけはあっても、
アタマの中でたくさんの言語がグルグルして、
単語を覚えようにも、渦の中に消えてしまって、脳みそがついてこない!
という苦労を、みなさんもされているのではないでしょうか?
某ブレイクアウトルームは、語学学校のにわか情報交換会になったようです。
そんななか、とあるベテラン参加者からの、
語学が完璧ではなくても、
自分にできることがあると自信を持っていきましょう。
という励ましのお言葉が心に沁みました。
仕事が見つからない・・・スイスってコネ社会?
求職活動のお悩みや苦労話で次に多く出た話題が、
・どうやって仕事を探していいのかわからない
・スイスでの仕事探しは苦労しかない。任期付きならともかく、フルタイムで任期無しの仕事となると、とても難しい。
というもの。
一応スイスにも職安にあたるものがありますが、条件をクリアして応募できるポジションを見つけたり、面接にこぎつけることすら至難の業。
何だかんだ言って、アジア人よりもヨーロッパ人のほうが優先されているんじゃ・・・と、 ひしひしと障壁を感じている方もいました。
ズバリ、
なんだかんだ言ってもスイスはコネの世界!
と言い切る参加者も。
確かに、参加者の就職経験のお話には、
「友人に声をかけてもらって」
「日本語教師の代行をしたのがきっかけで」
「知り合いから日系証券会社で働かないかと勧められ」
など、個人的なツテで職を得られたというお話がチラホラありました。
その一方、次節で取り上げますが、自己PRがしっかりできたので仕事がGETできた!という経験談もあり、就活ではヨーロッパ特有のコツがあるようです。
業界特有の習慣もあるようで、こんな(↓)お話もありました。
博物館はボランティア経験がモノを言う。まずボランティアで働いて博物館に知ってもらって仕事をGETする!(イギリス)
もうひとつスイス(ヨーロッパ)での就職で欠かせないのは、資格のこと。というのも、
スイスでは資格や語学が重要視される
からです。語学も言わばスキル・資格の一つ。
実際、
世界のどこにいてもやっていける仕事をと思って、色々な資格を取ったりしていました。
とおっしゃる方も。
「語学が完璧ではなくても、自分にできることがあると自信を持つ」ためにも、資格を取れる時にとっておくのは大事なことのようです。
気持ちを伝えることの大切さ、コミュニケーション力を磨く。
気持ちを伝えることは、きっとどの文化でも大切なはず。
でも、伝え方のスタイルは文化によって違います。
ヨーロッパでは、自分の気持ちを言葉にして折に触れて伝える、というのが大切だと指摘してくださった参加者がいらっしゃいました。
何かをしたかったら「誰かしらに自分の気持ちを伝える」ということを常に実践してきました。
日本人は自分が思っている事を伝えることが苦手な印象があるとのこと。小さなコトから思っていることを人に伝えるというトレーニングをしていくことは大事だそうです。
・まわりで見聞きした印象では、イタリア人など、押しが強い人がうまくいっているという感じがある。スイス人(特にスイスドイツ語圏の人)や日本人のようにちょっと控えめだったりすると、職探しではマイナスになるかも。
・とにかく自分を(少し盛ってでもいいから)アピールする力がないと海外ではなかなか仕事がもらえないのが現実。
・スイスの面接では、自信がなさそうに、遠慮がちになっていると採用されるのは難しいようだ。
のように、就活の場面では、自分の良さを積極的にアピールしていく必要があるという観察やご意見もありました。日本人には苦手だろうなぁ。
でも、実際に面接での自己PRがしっかりできて、みごと仕事をGETできた!との体験談も。努力する価値はあります。
自らビジネスチャンスを開拓する
他にも、次のようなお悩みシェアしてくれた参加者さんたちがいらっしゃいました。
・フリーランスの仕事をしていると、自分から動かないと仕事がこないけど、どうやって動き出せばいいのか分からない・・・。
・どうやって仕事を探したらいいのかすら分からない・・・。
こんなお悩みに、仕事がないなら作ってしまえ!とばかりの勇ましいご意見もありました。
リモートを活かして、自分でサイトやブログなどで発信していくのはどうか?
実際、今ヨーロッパでは日本ブームがきていると思う、という予感を感じている方もいました。
・日本語を習いたいという若い世代が増えている。若い世代に向けて、日本の良いものをどんどん発信していくのはどうだろう。
・ロンドンでは着物がブームになっていた。日本の上質な着物をヨーロッパで売ってはどうか。
・逆にヨーロッパの良いものを日本に発信してほし い。日本人は保守的なスイス人に比べて、新しいことが好きなので、ヨーロッパにありふれているようなものを、日本で売ってみたい。
・日本で暮らしていると、ヨーロッパにはビジネスに繋がることが多いと感じる。もったいない。
・スイスのフランス語圏は日本好きな人が多い。日本のものを海外へ売り出すのはいいアイデアだと思う。
このように、ヨーロッパにいるからこそできるビジネスを開拓していく、という攻めの姿勢も大事なんだなぁ、と思いました。
とはいえ、ビジネス経験ゼロだと、いきなり起業しようとするのはとてもハードルが高いもの。最初の一歩をどう踏み出したらいいのかすらわかりません。そんな方達がハッピーカフェやその他のイベント(鋭意企画中!!)を通して繋がることで、少しでも最初のハードルを下げることができたら・・・。スイスラボのコミュニティが、皆様が気軽にアイデアを交換したり助け合ったりできる場になってほしい。
そんな思いで、スイスラボはヨーロッパに住む日本人女性の皆様を応援する場を運営しています。
スイスラボの第1回ハッピーカフェの、長い長い報告記事にお付き合いくださってありがとうございました。
スイスラボのイベント告知や活動を、各種SNSでもご覧いただけます。
こちら(リットリンク)からどうぞよろしくお願いします!
今後のブログ記事も、どうぞお楽しみに!
※記事自体は、海外在住の日本人の老後の不安についてなのですが、チラッと該当の統計データが披露されてます。
※※スイス標準ドイツ語について、アカデミックでお堅いですが、面白い論文を見つけました。→こちら。ご興味のある方にお勧め。