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スピリチュアルジャズに接近した頃のサンタナ"Welcome"がいい!
言わずと知れたスーパーギタリストSantana。1969年にデビューなので俺が生まれた年にデビュー、つまりキャリア54年!最近もご活躍なのは感服でしかないんですが、これだけのキャリアがあるとノーチェックな時期もあっても仕方がない。そんな、ノーチェックだった1970年代半ばの作品たちが意外や今の自分にフィットするものだったとは!!!なレビューです。
ざっくり俺なりに区分けするならこんな感じ
■1
1969~1972年 衝撃のデビュー、ウッドストック出演、ヒット曲連発のラテンロック期
■2
1973-1976年 ジャズアーティストに接近したスピリチュアル期
■3
1977-1992年 AORに接近しつつポップだが迷走期、そしてその後珍しく少しブランク
■4
1999- ブランクの後のまさかの特大ヒット連発&キャリアを包括する現在へ
雑誌などで解説されるのは大抵1、せいぜい近作な印象で、ロック系雑誌では■2の時期は大抵「迷走期」とスルーされることが多い。実際にインドヨーガを支持していて宗教名Devadipをクレジットに載せたりしていたりもする時期。スターなアーティストはThe Beatlesあたりに始まり、一時期のBob DylanであったりAl GreenやPrinceを例に出すまでもなく、そういう時期があるもの。で、そう言う時期の作品は「迷走期」とされるのが定番。つまりジャーナリストからの「あまりチェックしなくてもいいよ」と言うメッセージにも取れる。実際そんな訳で俺もスルーしていた。
で、先日あるときたまたまその「迷走期」の始まりとされるギタリストJohn McLaughlinとの共演盤"Love Devotion Surrender~邦題:魂の兄弟たち"(1973)を聴いてみたらJohn Coltrane曲を取り上げた作品であることに驚いた。俺の好きな"Naima"もやっている。ロック雑誌では前作の"Caravanserai”(1972)を名作とされがちだが個人的には何度聞いても好きになれなかったが(それが理由でその後をチェックしてなかった)、このコルトレーンを軸にしたセッション作品は意外と聴ける。「あれ?」と思って色々この時期のものを聴いていて辿り着いたのがこの"Welcome"、これは個人的サンタナのベスト作に認定させてもらうことになった。
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このアルバムはジャケットがこのように地味なので、更に俺の中では「見たことのない」アルバムだった。が、クレジットを見るとJohn Coltraneの妻だったAlice Coltraneが参加しているし、Pharoah Sandersの元で歌っていたLeon Thomasもいるし、当時Chick CoreaとのReturn To Foreverで一世を風靡していたFlora Purimもいる!なんだこの全てを飲み込む坩堝のような面々は!
そして、レコードに針を落とすと、ある程度予想されたスピリチュアルジャズとサンタナのギターの邂逅がありつつも、DJで使いたくなるようなフリーソウルな楽曲も多数入っていて驚いた。特に気に入ったのはA-2 "Love Devotion Surrender"、Leon Thomasが歌うこの曲はなかなかのグルーヴィーなソウル楽曲で爽やかでもあってまさにフリーソウル。
同趣向のA-4 "When I Look Into Your Eyes"もいいし、Flora Purimのスキャットが心地よいA-5"Yours Is The Light"もあるし、インストなA-3"Samba de Sausalito"やB-1"Mother Africa"もいい。でもってアルバム最後はAlice Coltraneと一緒にJohn Coltraneの"Welcome"で終わる。なんと美しいアルバムなんだ。
まさに
スピリチュアルジャズとラテンロックの融合
ある種のスピリチュアルジャズはフリージャズ的にカオスになりがちだったりするんだが、このアルバムは心地よい明るさ、感謝の気持ちに溢れてるとでもいうか、まさにWelcomeな内容だ。
で、レコードの日本盤の良いところは解説がついているところ。インターネット誕生前の時代の解説は著者の友好録がものを言う時代でもある。このアルバムの解説はサブカルに詳しい今野雄二さんが書かれていて、なんと発売前にサンタナ自身からデモ状態のカセットをもらって事前にチェックできた旨が書かれている。当初はアルバム2枚組にする構想もあったらしいが、色々削って編集されて一枚のアルバム仕上げられたようだと書かれている。「素晴らしいパーカッションナンバーがあったのがカットされているのは何故だろう」などと記されていて興味をそそられる。よきアルバムのアウトテイクやボツ曲は「きっとそれもいいんだろうな」と想像されるからね。
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っと今の耳で聞くと素晴らしいアルバムも当時は一気にセールスが落ちていくことになり、かつこの後更にスピリチュアルジャズ化が進んで行くので、悪くない曲はあるが、アルバムとしても聴けるギリギリのバランスが刻印されたのがこのアルバムのように思う。でもこのスピリチュアルな迷走セッションののちに、現在につながるスタイルの発露したアルバム"Amigos"(1976/「哀愁のヨーロッパ」収録)に繋がるのだから、迷走は大事だね。
ではこれもDJ向けでもあるだろう、Flora Purimが羽ばたく心地良きブラジリアンジャズな"Yours Is The Light"でも聴いてもらいながら
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