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身体力・肉体性の残されている場所、舞台

ただいま絶賛 #舞台Birdland のリハーサル中、、、そしていよいよ明日9月9日より2ヶ月弱の舞台が始まろうとしている。個人的に昔ミュージカルをチラッとやったことがあったり、ダンサーとの舞台は多々あれど、演劇の舞台の音楽をやるのは今回初めてだ。いろんな縁のおかげでいただいた案件、監督松居大悟氏も最初はまだイメージは漠然としていて、皆の意見を集めながら、うまくまとめていくタイプの方だったので、俺もどんどんアイデアを出させてもらい、もちろん役者も全員アイデアを出して、結果皆で作り上げる舞台となりそうだ。自分のキャリアの中でも新機軸となるかもしれない現場。なんなら「お仕事」って言い方をしたくない、まさにクリエイティブな現場でワクワクしている。

舞台を観にいくことはこれまで幾度となくあった。故・蜷川幸雄さん演出の舞台だけでも10本近くは観たと思う。舞台を観ているだけでも思っていた。「舞台は身体力・肉体性が守られている場所だな」と。音楽はもちろんのこと、役者にとってのテレビや映画は、もちろんそれはそれで魅力的な表現場所だけれど、そこはなんならば身体力・肉体性よりも編集力の方が大事かもしれない現場だ。なにせ舞台は、朗読劇でもない限りは、脚本を丸暗記しなければならないと言うのが大前提にある。そこが大きく他のエンターテイメントと違う部分なのだ。後処理、もしくは文明の利器をあまり使えない場所なのだ。

かたや我々の音楽の現場だと、譜面を見ながら本番がOKなことが多い。最近だとiPadで譜面を見てたりすると、「カンニングしてる感」が少ないので、その形でライブをやることが多い。セッション寄りな現場だと、当日リハの当日本番なんてことも可能だ。そう言うことは舞台ではできない。もちろん、口パクもできない。

「脚本を丸暗記しなければならない」と言うことはどう言うことか?を噛み砕いてみよう。

リハーサルの日程が、なんならば1ヶ月単位で必要となる
→スタジオ代含めて予算がかかる
→無事満員御礼で終わったとしても、利益率は音楽と比べると低い

音楽は経費節約がここ数十年でぐっと進んだ。レコード時代には一作品作るのに多くの職人が必要とされたので経費がめちゃめちゃかかった(だから面白いものも多かった)が、今やスマホ〜タブレット〜PC一台で制作から仕上げまで完結できちゃうのだ。DJだってライブだって出来ちゃう。もちろん俺もその流れに乗って仕事をしてきてるから、予算がない現場ではレコーディングからミックスまで自分でやってしまったりする。それが何百万再生なんてなったりすると、経費を大してかけずにボロ儲けできたりする訳だ。だからビッグビジネスとなってきたし、スポンサーもつきやすいし、若手のアーティストもそう言う流れに乗るのが目標となる。色んな人と組むよりも、一人引きこもってだったり、数人の友達とだけで制作する人が多くなる。

だが舞台は経費節約には限度がある
つまりビッグビジネスになりにく

だから舞台は資本主義〜グローバリゼーションから(ある程度)守られているのだ。結果、「身体力」「肉体性」が守られているのだ。そこがいい。その役者そのものの力、役者同士のチームワーク、まとめる演出家の力、照明・映像・音響などのスタッフの力。全ての力が合わさらないと成立しないのだ。そこがいい。だから、有名役者もテレビや映画に出つつも舞台を積極的にやる人が多い。今回の役者さんと話してても、「映像系の仕事も色々やってますけど、やっぱ舞台好きなんですよ」て言う方が多かった。

ちなみに今回の舞台Birdlandは難解な内容だ。子供が見るとよく分からないと思う。でも、その人間の力がぶつかり合う場を目撃すると、内容こそよく分からなくても「なんだか分からないけどすごい」と言う感想を導き出すことはできると思う。それが俺の言う「身体力」「肉体性」だ。なんだか理由を説明できないけれど、今目の前ですごいことが起きている!と気づけるもの、それが「身体力」「肉体性」。それこそオリンピックの意義と同等のものがある。

そんな身体力・肉体性が残されている場所、舞台って素晴らしいなぁ、とリハーサルをしながら思う日々なんです。地方公演もあるので、是非みなさん見にきてください。俺も耳と手という身体力・肉体性(しつこい?笑)を駆使して、その日その日しか味わえない音でこの舞台をピアノ演奏で演出させていただきますから。

■PARCO主催の舞台"Birdland"の詳細はこちらで

PS:個人的にパルコ劇場は二度目。前回は2005年、、、もう16年前か。この、オリンピック開会式にも出てたタップダンサー熊谷和徳のステージ。スティーヴ・エトウ氏やMitsu The Beatsなどと一緒にw

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