長くて硬くて強そうなやつ
おはよう。
「あー、そんなに乱暴に引っ張らないでよ。もう少し丁寧に引き抜いてよぉ。」
たいていの場合、僕は強く引っ張られて生きている。
強く引っ張る理由は2つあると思う。
1つに、僕がか弱そうでないこと。
もう1つに、ご主人たちの心が荒んでいることが多いこと。
僕がご主人たちに引っ張られるのは、たいてい仕事が終わったときや、何かが完了した時なんだよね。
だから、ご主人たちは開放感なのか、フラストレーションからなのか僕を強く引っ張ることで生活活動に区切りをつけているんじゃないかな。
そう思う。
もちろん、最初の頃は「痛いなあ」と思ったよ。「もう少し優しくしてよ」なんて思ったよ。でもね、仕方ないんだ。たいてい僕の肌は黒くて、硬いんだよね。だから、ちょっと乱暴に扱っても大丈夫なんて思うのかな、と。
僕からしたら、肌の色を変えることもできない与えられたものだからどうしようもないんだよね。
だから、受け入れるようにしてるんだ。
あ、僕のような人種は、ご主人の使い方や働き方によって生活スタイルが変わるんだよね。ずっと同じ部屋の同じ場所に居続けているタイプもいるし、僕みたいにご主人の仕事先にくっついていくタイプもいる。
職場では、両隣に同じ人種がいたりして、みんなでたいてい同じ方向を向いてパワーを流しているからよく自分の主人について話すんだよね。
誰かのご主人は、鞄の中が整理されていなくて、そいつの居場所もないから安心して休めない、とかさ。
僕のご主人は、綺麗好きで僕の居場所が確保された鞄を使っているから、ご主人の移動中も苦ではないんだ。
まぁ、僕たちは身丈が長いもんだから、ご主人も大変だと思うんだよね。
あ、もし生まれ変わるなら、僕は皮で出来た凛としてこぢんまりしたペンケースになりたいかな。あいつを触るご主人の愛着を感じてみたいよね。
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私も丁寧に引っ張る、引っこ抜くようにします。PCの電源コードくん。
今日もいってらっしゃい
そして、おかえりなさい
文章にあった絵を書いてくださる方、募集していたり。していなかったり。