魔法の箱。

おはよう。

冷蔵庫って、魔法の箱だ。
なんて言ったら、ニュートンの時代に生きていた人みたいになるかな。

我が家の冷蔵庫も、魔法のそれだった。

先日、我が家の冷蔵庫が突然、タダの箱になった。
モーターが弱弱しい声を出しながら、タダの箱になる様は、夏のセミが1週間の生命を全力で生き抜いた最期の時に似ていた。
といっても、我が家の冷蔵庫はセミより遥か長く、20年弱も生き抜いたのだが。

さあ、新しい冷蔵庫が届くぞということで、タダの箱となった冷蔵庫から品を出した。
それが、まあ、出るわ出るわ、「これ何?」という品が…
だから、我が家の魔法の箱なのである。

家のキッチン回りは、すべて親に任せていた。
お世辞でも、親の整理整頓術は上手ではない。こんなところで、そんな事情を暴露されている親にも同情したいものだが、娘としては幼少期からキッチンは踏み込んではならないと思っていた。
私の親は、整理整頓が上手ではない。
魔法のように、冷蔵庫からあらゆる品が出てきた。

世の中、すべてが整理整頓で成り立っていることのように思える。
仕事も整理整頓。
会議の議事録。それも整理整頓。
部下の管理、作業の管理。それも整理整頓。
試合に負けた。何で負けたんだっけ。それも整理整頓。
失恋した。それも整理整頓。
人生に迷っている。やりたいことって何だっけ?それも整理整頓。
あれ、言いすぎかな?

整理整頓てさ、難しいよね。
私は気づくまで、身につくまで時間がかかったもんだ。
でも、整理整頓するとさ、魔法の箱から出てきた山のような漢方とか野菜とかもさ、シュンって見事に見える化されて、パンパンだった冷蔵庫が、すっかすかなのよ。
冷凍庫はパンパンにしなければならないのに、すっかすかなのよ。
本当は、小さめの魔法の箱でも良かったんじゃないかなって思う。
その方が、魔法の箱って感じするよね。

最期に。親のメンツを保つことを書こう。
整理整頓のできない親だが、親が作る水餃子はバツグンにおいしい。
それだけは、何があっても変わらない。

今日もいってらっしゃい
そして、おかえりなさい

文章にあった絵を書いてくださる方、募集していたり。していなかったり。