口語で使うなんて…「おいそれと使えるものではない」
先日、知人と話していたらとても楽しかった。
彼女は友人といえるほど、まだまだ距離感を縮められていないので、敬意と謙遜を込めて、敢えて知人と表現させてもらおうと思う。
楽しかった理由は、普段の友人の楽しさとは違うものだった。
細かいことを話さなくても話が通じるからではない。
女性特有の、同調し合えるからでもない。
お互いを褒め合って、承認欲求を満たしたからでもない。
彼女の会話の節々に出てくるボキャブラリーの多様さが、私を楽しませてくれたのだ。
そんな彼女が会話の中で使ったこの表現は、思わずメモした。
「おいそれと使えるものではない」
なにそれ。
小説や、ひと昔前の小説の一節であれば見たことある表現だったが、「おいそれ」を口語で使う人が、それも同世代でいるとは…
はっとした。
彼女の独特でユーモアある、だけど正しく使っている表現も相乗して、私をワクワクさせた。
かつて、物書きになろうと思っていた私は、某小説大賞の総評でとある小説家が書いていたことにドキッとした。
「作品を読めば、その作者がこれまでどんな本を読んできたのかがわかる」
まさにそれは、作品だけでなく、発する言葉においても同じことが言えるなと、自分の足元をじっと見た。
私には、まだまだ彼女のような表現はおいそれと使えないだろうな。
気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだもりやみほさん。私は、月~土までのうち、火・木・土を担当しています。
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