冷静で的確なツッコミ。「周りの大人は私たちにすぐ口をだす。夏休みを有意義に使え、と、具体的じゃない言葉で私たちを急かす。」
小説は、最初の一文、一頁で、著者の論調や物語の雰囲気がわかるものだ。
小説を購入する時、最初の一頁目を読んで決める人もいるくらいだから、渾身の一頁を著者たちは作るだろう。
そう思うと、私が好んで読む小説は似たような雰囲気かもしれない。
ミステリーの場合は、一頁目から怪しい雰囲気が漂っているもの。
一般的な小説であれば、重すぎず、そして明るすぎず、色はグレーと落ち着いた空色くらいの一頁目だ。
この著者の作品もそうだった。
当時、高校生だった著者の処女作。
等身大の著者だからこそ、この表現は目を引いた。
周りの大人は私たちにすぐ口をだす。夏休みを有意義に使え、と、具体的じゃない言葉で私たちを急かす。
これが、大人になった人が書いても、なんら面白みはない。
等身大の高校生が、誰かに「夏休みを有意義に使え」と言われても、冷静に心でツッコミを入れているのを想像すると、くすっと笑える。
高校生の時って、何かにつけて「今しかできないことをやる」とか青いなあと思わせるような気持ちで生きていた気がする。
でも、今でも、今しかできないこととか、今の自分だからできる表現だとか、仕事だとか、そういう風に物事捉えられたら、日々が楽しくなりそうだ。
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