唐突に「おこがましいですが…」なんて言われたら。
謙虚な言葉を良い匙加減で言える人って、人間ができているなあと思うのです。
特に本人がそれなりに優秀であるのに、使う言葉一つで人間味が垣間見れると、一目おくようになります。
ちなみに、"それなりに"というのがポイントです。これが、圧倒的に優秀だと話は違ってくるので、厄介ですよね。
かつて、一緒に仕事をした先輩で、巧みに言葉を操る人がいました。
といっても、たった1つしか違わない人で、いつもはふざけたことを言ったり、後輩をいじったりして楽しませてくれる人です。
ある日、その先輩を含めた同じプロジェクトの同世代3人で飲んでいる時に恋愛トークになりました。
その時、こんなお題が出ました。
「異性の先輩から見て、プロジェクト内のどの男性と相性が良さそうですか」
つまり、その先輩が私ともう一人の同世代女性に対して、同じプロジェクトにいる相性の良さそうな男性メンバーを選定するということです。
ちなみに、こういった話題は基本的に面倒がられる話題なので、親しい間柄だからこそ出た話題でした。
そしてその時、その先輩が言った言葉が素晴らしいものでした。
「XXさんは、おこがましいけれど僕か○○くん」
それを聞いた時、「おこがましい」という言葉は、相手に不快を与えない素敵な言葉であると心から思ったのを今でも覚えています。
もう一声、その先輩のことをよいしょしておくと、かつてプレッシャーのかかるチャレンジングな会社に勤めていましたが、その先輩と一緒に働いている約1年間、私は先輩が怒っていることを見たことはありませんでした。
プロジェクトには、ちょっと変わった上司とか、モノの言い方が悪い上司とかもいましたし、後輩のミスが原因でその先輩はそういった上司から一緒に怒られるという不遇な場面もありました。
それでも、先輩はイライラしたり、怒るようなことは一切ありませんでした。
これは共通の知り合い全員が、その先輩のことを開口一番で褒める要素です。
そういう人間になりたいものですね。
ま、その先輩は、本当にふざけた先輩で、結婚した今でも、仲良くしている"オール三銃士"と呼んでいる同世代たちで朝まで飲み明かす元気ぶり。
そういう仲間は大好きです。
こんなことを私が言うのもおこがましいですが、その先輩は素敵な人生を歩んでいると思いますし、良い上司になっていくのだろうと思います。
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