海外で盗まれた携帯を自力で取り戻した話
携帯紛失事件発生まで
私は仕事で中国のとある地方都市に数年駐在しています。最近では、全く話せなかった中国語も簡単な会話であれば現地人とコミュニケーションが取れたり、日本よりも現地の生活の方が慣れてきたなぁ、と感じ始めていた2022年の秋のことでした。
その日は知り合いの日本人の送別会に参加しました。会は大いに盛り上がり、時刻はあっという間にてっぺんをまわり、気づけば午前1時前。まだまだ終わりが見えない盛り上がりの中、明日起きれるかなぁ…、と翌日の仕事が心配になってきたこともあり、同じマンションに住む友人と共に一足お先に帰宅することにしました。その時、外は大雨で時間も遅かったので、タクシー帰宅一択という選択に。
中国では配車アプリを使って簡単にタクシーを呼ぶことができ、値段も日本よりもはるかに安いので日常的に利用していました。この日もいつも通り手配し、お見送りの友人たちに見送られながら友人と共にタクシーに乗り込みました。タクシーの車内で友人と会話をしているうち、10分くらいで家に到着。先に降りた友人に続いて私も降車し、大雨降る中傘を差してマンションへ。
友人とは棟が異なるのでマンションの入り口で別れ、エレベーターに乗っている時でした。そういえば友人からのLINEの返事を返していなかったなぁ、なんて思いながらポケットに手を入れたところ、そこにあるはずの携帯がない…!おかしい!絶対左のポケットに入れていたはずなのに!部屋についてから慌てて荷物を全てひっくり返して確認しました。が、やはりない………。台風上陸直前の大雨が降る中、ライトを照らしながらマンションの入り口からタクシーの降車位置までの道を辿り、路上に落ちていないか再確認。しかし、やはり見当たらず……。
こういうときどうしたら………、と頭を抱えた時刻は午前1時半、異国の地での携帯紛失騒動の始まりです。
失くした携帯は圏外……
当時、私は中国用HUAWEIと日本用iPhoneの携帯を2台持っていました。中国用を主に使用しており、日本用は中国渡航前に使用していたものをそのまま中国へ持ってきました。
ご存知の方も多いと思いますが、中国は超携帯社会。支払いは全て電子マネー、財布なんてものは中国に来てから持ち歩いたことは一度もありません。というわけで、携帯電話は財布・連絡手段・証明書(当時はゼロコロナ政策の一環で健康コードがないと店や公共交通機関が利用できなかった)の役割があるわけです。万が一にも失くしたら一大事!ちなみに、何人かの友人も携帯を失くした事例を知っていますが、だいたいのケースは直接電話を掛けて拾ってもらった中国人の協力を得て手元に戻っているようです。後々、このようなケースは幸運な例なのだと、今回の騒動で実感することとなったのですが……つまり、中国で携帯を失くすということは色んな方面においてTHE ENDを意味します。
さて、今回、私が紛失した携帯は不幸中の幸いにも中国用の携帯ではなく、日本用の携帯でした。とはいえ、日本用の携帯は海外パケット使用による高額請求を防ぐために常に機内モードに設定しており、Wi-Fi環境下にある時だけ使用できるような状況でした。つまり、失くした電話に電話をかけて拾ってもらった人とコミュニケーションを取ることすらできない状況だったのです。さらに、私の面倒くさがりな性格が災いし、機種変更をしてから3年間のデータは一切バックアップされていませんでした。こういう状況になってから気づくのです、バックアップの大切さを……。
というわけで、この記事をここまで読まれた方の中でバックアップしてない方がいれば、今すぐバックアップをしましょう。後回しにしてはダメです。後悔は先に立ちません!私は何百回とバックアップをしていなかった自分を恨むこととなりました。
捜索開始
さてさて、話は携帯を失くしたところへ戻ります。紛失に気がついた私はまず冷静に自分の行動履歴を振り返りながら、どこで失くしたのかを脳内で検証し始めました。
①お店を出てタクシー乗車まで
・この時は直前まで携帯を使っていたのでお店に忘れた可能性は低い。
・お店からタクシー乗車までは約10歩程度の距離かつ6人ほどがお見送りしてくれていたので落とした可能性は低い。
②タクシー乗車中
・タクシーの中では使用していないので、一度も触っていない。
③タクシー降車後
・先に降りた友人が1メートルほど離れた距離から私を見ていたので降りた直後に落とす可能性は低い。
・紛失に気づいて3分以内に降車位置まで道を辿ったが、携帯らしいものは見つからなかった。
以上より、タクシーに乗っている時にポケットから落ちてしまった可能性が高そう、というところまで仮説が立てられました。まるで脳内捜査会議。
幸いにもアプリ配車しているので運転手の電話番号や顔写真、車のナンバーは履歴から見ることかまできるので、まずは運転手に電話をかけることに。
運転手「もしもし?」
私「先ほどタクシー乗って〇〇で降りたんですが けど……携帯忘れてしまったみたいで、見てくれませんか?」
運転手「あー、今他のお客さん乗せてるからあとでかけ直しますわ」
私「わかりました、ありがとうごz」ブツッ……ツー、ツー、ツー
為す術なく中国用の携帯を握りしめながら待ちぼうけること1時間……。一向に折り返しの電話が来ないまま時刻はすでに午前2時半。さすがに眠い……、と痺れを切らして再度運転手に電話を掛けました。
私「もしもし?あのー、携帯の件、どうなりました?折り返しの電話ずっと待ってたんですけど……」
運転手「あーその件ね、携帯なかったよ。探したけど、見当たらない」
私「床にも落ちてないです?」
運転手「ないない」
こんな軽い返事を聞いて、果たしてこの運転手は本当に真面目に見てくれたのだろうか……なんて不安に思いながらも、中国の人って割と適当なところがあるので、そんなものかと思い電話を切りました。
タクシーには携帯がないと分かって絶望する一方、紛失したiPhoneは幸いにも「探す」というアプリがインストールされており、ダメ元でiPhoneの居場所が確認できないか調べてみることにしました。内心ドキドキしながら確認してみると案の定「オフライン」の表示………。やはりダメか……と落胆しながらも、万が一オンラインになった時に備えて、端末のロックと待ち受けにメッセージを中国語で以下の内容を表示させることにして、悲しい気持ちと共に眠りにつきました。
(もちろん回線の停止の申し込みも同時に行いました。日本時間午前3時半に対応してくれるソフトバンク、本当にありがたい限りです)
たらい回しの対応と絶望
翌日、会社で中国人の同僚にこの出来事を話すと、「残念ですが、見つかる可能性は低いですね」と言われ、さらに絶望感が増していきます。そんな話をしていたところに3人ほど別の同僚が集まってきて良い方法がないか口々に意見を出しくれ、ダメ元で警察に行ってみるべきだ、という結論になりました。流石に言葉に自信がないので、中国人の同僚に同行をお願いし、家の近くの管轄の警察署へ向かいました。
警察署に到着すると,カウンターのような席に座る1人の警察官に対して、2人の方が各々の相談を大きな声で早口で話している状況で、私の同僚も負けじとその中に入っていきました。これが現代の聖徳太子か……、なんて呑気に見ていた私ですが、警察官の様子も徐々にイライラしてきているようで最後には大きな声で叫んでいました。
「私は1人しかいないのにどうして一度に複数人の処理がで切ると思うのですか!?あなたができるなら制服をあげますからやってみてくださいよ!!!」
こんな感じで彼はイライラしながらもなんとか順番に処理をしていき、私の番がやってきました。要件を話し、もし落とし物として届いたら連絡が欲しい、とお願いをしました。すると、彼はポケットから携帯を取り出して一言。
「この携帯は機内モードです。では、あなたはどうやってこの携帯の持ち主を探すことができますか?」
その言葉を聞いて私は絶句しました。え……、それが警察の仕事じゃないの?と。日本では携帯を落とすと、警察から連絡がきますが、どうやら中国では違うよう。同行してくれた同僚に日本の警察の落し物の届出や引取りのシステムを話したところ、感心しながらも「中国にはそんなシステムありませんよ」と言われさらに絶望的な気持ちになりました。
最後の最後には警察官も面倒になったのか、この警察署ではなく、タクシーに乗車した場所の管轄の警察署へ行くように言われ、その場は終わりました。ちなみに乗車場所の警察署には行きませんでしたが、電話で問い合わせたところ、家の近くの管轄の警察署へ行くように言われ、見事なたらい回しの構図が完成したのです。
たかが携帯で、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、バックアップを取っていなかった携帯の中には中国へ送り出してくれた家族や友人、同僚と撮った写真や家族との旅行の写真、さらには中国駐在中に亡くなった祖父の米寿のお祝いの写真など、私にとってはかけがえのない写真がたくさん入っており、どうしても諦めきれなかったのです。しかし、もうどうすることもできない現実にただただ絶望し、バックアップを取らなかった自分や紛失したあの夜に対して腹が立ったり、悲しくなったり、戻らない過去に後悔ばかりしていました。
(一方で、話を聞いた他の同僚や友人、語学学校の先生など本当に多くの人が私のために行動してくれて、感謝の気持ちでいっぱいでした……)
位置情報が発信される!?
そんな悲しみの日々を過ごしてちょうど1ヶ月経ったある日、日課となっていた「探す」アプリでのiPhoneの位置情報の確認をすると、なんと前日の夜にiPhoneの位置情報が出ているではありませんか!しかもその位置情報は家から車で1時間くらいの農村を指していました。位置情報が出たということは、私が待ち受けに設定したメッセージが表示されているはずです。しかし、記載した連絡先に連絡は来ていない……。この時ようやく私の携帯は盗まれたのだとハッキリ理解しました。
ところで、なぜ機内モードで圏外のはずが位置情報が出たのでしょうか?気になって検索してみたところ、どうやら最近のiPhoneは電波がなくとも近くに別のiPhoneが通りかかると、自動的にBluetoothを使って他のiPhone経由で位置情報を発信できるようです。その上、電源が切れてもある一定時間は有効なようです。流石に1ヶ月経過していたので、おそらく犯人が私の携帯を充電し、別のiPhoneが近くを通ったことにより位置情報が発信されたものと思われます。
さて、位置情報が出たのだから、これでなんとかならないものかと藁にもすがる気持ちで再度警察に電話してみました。すると、それぞれの警察署で、位置情報がでた場所・家の近く・乗車した場所など、別の管轄へ相談するように言われ、見事に綺麗なトライアングルたらい回しの構図が完成しました!ここまでくると本当にすごい!その上、ある程度の誤差もある位置情報をもとにどう探せというのか、とも言われ、途中からは。あ、もうどうしようもないっすわ……と私も半ば諦めモードでした。
発見当日の朝
携帯を紛失して盗まれてから2ヶ月。もうすでに完全な諦めモードで、これを機に一時帰国のタイミングでiPhoneに買い替えようかなぁと考え始めているような頃でした。ある金曜日の朝、なぜかいつもよりも1時間も早く目が覚めて、出勤前の時間をゆったり過ごしている時に、「探す」アプリから紛失したiPhoneの情報を削除しようと思い立ち、久々に「探す」アプリを立ち上げました。すると、なんと位置情報が現在進行形で出ているではありませんか!しかも1ヶ月前の位置情報の場所とは違い、家から車で20分くらいの場所。しかし前回の経験から、位置情報が出たところでどうにもできないことは十分に理解していたので、気にせずそのまま会社へ出勤しました。
会社に到着してから同僚たちに話をしたところ「まだ探してたの……!?」と驚きながらも興味津々に聞いてくれました。そして、しばらく経った休憩時間に1人の同僚が私のデスクへやってきて、興奮気味にこう言いました。
「今朝位置情報でた場所、中古の携帯屋さんがたくさんあるみたいです!もしかして売られたのかも!」
まさかと思い、その同僚と一緒にストリートビューのようなマップで確認すると確かに中古の携帯屋さんが密集している場所でした。そして、その同僚曰く遠隔ロックしているような携帯は使えないから分解して部品で売られる可能性が高い、とのことで、一刻も早く探しに行くべきだと言われました。悩んだ挙句、いろんな人からの後押しで午後休暇を取得し、位置情報の発信される場所へ向かうことに!流石に1人でお店に乗り込むのは怖かったので、日本人の友人が同行してくれ、一緒に乗り込むことに……!どうなる!?
敵地乗り込み……そして通報
位置情報が出てきた場所に友人と一緒に向かいながら作戦を練りました。もし仮に中古ショップへ売られているとして、携帯に表示されているはずの連絡先メッセージを見ている可能性が高いはずなのに連絡が来ない=窃盗品を受け入れている、ということ。おそらく正直に話してもダメだろうと思い、まずは買い物客を装うことにしました。
いざ敵陣に乗り込み!と思いましたが、周辺には携帯の中古ショップが4店舗。どこのお店も個人経営の小さな店で、超治安悪そうな雰囲気の店主さん。恐る恐る1店舗ずつお店に入り、「iPhone 11proの白を探しているのですがありますか?」と質問。どこのお店も大量の携帯電話やバラバラに分解された部品が所狭しと並べられる中、必死に目を凝らし、自分でも盗まれた携帯がないか丹念に探しました。しかし、残念ながら見つからず、全ての店舗でその機種は置いていないと言われます。不安になってこの時も鞄の中でコッソリ持参したiPadから「探す」アプリで位置情報の確認をしたところ、やはり示している範囲はこの4店舗のどこかに間違いはなさそうで……。
どうしようもなくなった私たちは路上で再度、作戦会議を開催。ここで通報しても警察は役に立たないと分かっていましたが、友人の勧めで再度通報することに。事情を話して通報して10分、駆けつけた警察官からの第一声がこちら。
「それで?私たちに何をして欲しいですか?」
ズッテーン!と吉本新喜劇のように転けてしまいそうになるような気の抜けるような質問に若干呆れながらも、警察官がいれば店主もビビって真実を言うのではないかと思い、一緒に店に来てもらうことにしました。「探す」アプリには、紛失したiPhoneから遠隔でサウンドを鳴らす機能もあり、一軒一軒お店に行くタイミングでサウンドを鳴らしてみることにしました。しかし、結果的には全ての店舗でサウンドは鳴らず………。(おそらく電源が切られていたからと思われます)
「では全ての店舗で確認終わりましたので、私たちは帰ります。書類にサインだけお願いします」
と、警察官から涼しい笑顔でペンと書類を渡され、たった5〜10分ほどで彼らは帰って行きました。本当マジで役に立たない……。もう警察には2度と期待しない、と固く誓いました。残された私たちは路上の真ん中で呆然と立ち尽くすしかありませんでした……。
鍵はディズニーのチケット!?
位置情報は確かにこの場所で出ているはずなのに、携帯はない……。さすがの私も段々と不安になり、もしかして本当に店へまだ売られていないのかもしれないと思いはじめました。完全に為す術もなく、もう諦めるしかないと思い、中古携帯ショップにダメ元で連絡先を残すことにしました。
「先ほどは突然警察官と一緒に店に来て驚かせてごめんなさい。もしこの携帯を売りに来た人がいれば、私が買い戻しますので連絡をください」
このように口頭で伝えながら、携帯の情報や特徴、IME番号、私の連絡先を記載した紙を店主に渡すことにしました。
1軒目は店主さんが面倒くさそうに受け取ってくれ、2軒目に入って口を開こうとしたその瞬間、視界の片隅にディズニーランドのチケットが目に入りました。
実は私が紛失した携帯には、携帯と透明のカバーの間にディズニーランドのチケットを入れており、まさしくそのチケットが置いてあったのです。ディズニーランドのチケットは、描かれているキャラクターが一枚ずつランダムで異なるのですが、置いてあったチケットは正しく私が持っていたシェリーメイのチケット!
友達曰く光の速さで机の上に置いてあったそのチケットを掴み取り、裏を返すと、間違いなく私が上海ディズニーに遊びに行った日が記載されていました。
「これ、私のだ!」と思わず叫ぶ私に、友人はまだ状況が読み込めていなかったので、その場で簡単に説明をしましたが、店主は私たちが日本語で会話をしているので、まだ状況を把握できていないようでした。そしてここから店主との駆け引きが始まるのです。
私「あの、私、この紙に書いてあるiPhoneをなくしたのですが」
店主「うーん……これは知らないですねぇ」
私「でもここにおいてたチケットは私のですよ」
店主「チケット?……あ、あー!そうだ、昨日、携帯のロックを解除して欲しいってお客さんがきたけど、ウチじゃできないって断ったら帰ったよ」
私「その人の連絡先は?」
店主「知らない」
絶対うそだ……!なぜなら位置情報はここに今現在も出ているからである。ここで私は咄嗟に店の監視カメラを指差して中国語で言いました。
「あ、監視カメラ!通報しよー」
まるでコナンくんのような白々しい感じでいうと、店主は急に慌てた様子になり、
「通報しないで!通報しないなら……」
と、そう言いながら片手で店にあった棚の引き出しからゆっくりと一台の携帯を取り出しました。
「あなたの携帯、これだよね?」
差し出した携帯を奪い取るように取り上げて、電源を入れると見覚えのある待受画面と設定した通りのメッセージが表示されていました。間違いなく私の携帯です。紛失して2か月と10日。ようやく手元に戻ってきて、こうして私の携帯紛失騒動は幕を閉じたのでした。
事の顛末
店主と話をしている中でうっかり口を滑らせて言った一言で今回の盗難の犯人が明らかになりました。
店主「あなた、これタクシーに忘れてきたんでしょ。タクシーの運転手が持ってきて、ロック解除してって言ってきたんだよ」
私「……? え、まさかxxxタクシー?」
店主「そうそう」
ここで店主がハッとしたように、これ以上は何も言えないけど……と、モゴモゴ言葉を濁していましたが、なんと、犯人はタクシーの運転手だったのです!許せん!
携帯を紛失してすぐの頃に、語学学校の先生が私の代わりにタクシーの運転手に問い詰めていた際には、「自分の責務はタクシーの運転であって、人のものを盗むことではない。おそらく降車後に乗せた客が盗ったのかもしれない」なんて言っていたのに……。人の言葉とは信じられないものです。
最後に……
「お前のその執念が俺は怖いよ」なんて会社のおじさまからは言われましたが、大事な思い出も何もかも手元に戻ってきたのでオールオッケーです!今回の一件で、タクシーの運転手や中古ショップの店員のように悪意に満ちた人もいれば、なんとか見つけられるように力を貸してくれる人が自分の周りに沢山いるとは思いませんでした。当たり前のことだけど、忘れがちなことに改めて気づくことができた良い経験になったなぁと思います。
あとはバックアップやっぱり大事ですね。失ってからでは何も出来ない。あの悲しみの日々を思えば、さっさとやっておけばよかったなぁと今となっては思います。