反生成AIって何?
プログラマである私には、GitHub Copilotのようなコード生成支援ツールに触れる機会が多く、エンジニア界隈では生成AIに対して好意的な意見が多いと感じています。技術の進歩に感心し、歓迎する声が多数です。
昨今ではChatGPTも広く使われ、分からないことが出てきたとき、従来なら検索していたものを「ChatGPTに聞いてみる」という人も増えてきました。私が小学生の頃は、パソコンの授業で「検索の仕方」を学んだものですが、近い将来「ChatGPTへの質問の仕方」なんて授業が出てくるかもしれませんね(もしかしたら、もうあるかも?)。
一方で、世間では生成AIに対する反発や疑問の声も少なくありません。最近話題になっているのが、声優業界での「NOMORE無断生成AI」という活動です。
著名な声優、浪川大輔さんの意見は注目を集め、さまざまな反応が寄せられました。その中には、生成AIそのものを否定する「反生成AI」の立場を取る人たちもいます。彼らは「どんな使い方が好ましいか」という問いすら拒絶します。なぜそこまでして生成AIを拒むのでしょうか? その背景を自分なりに考えてみました。
反生成AIの主張:なぜ生成AIを認めないのか?
反生成AIの立場は、声優業界だけでなく、イラスト業界でも多く見られます。彼らが抱く疑念や不満の理由は、主に以下のような点にあると思われます。
1. 著作権侵害の問題
生成AIが学習に使用するデータには、作品や声など、元の制作者や表現者の著作権が含まれている場合があります。無断で利用され、さらにそれで収益を上げられてしまうことに不満を持つのは当然のことです。声優やアーティストたちは、自分の表現が無許可で商業利用されることに強い問題意識を抱いています。
2. 技術を提供する側の利益独占
生成AI技術の開発・提供元が莫大な利益を独占していることにも、不満を抱く人がいます。「ゴールドラッシュで一番儲かったのはスコップを売った会社」という言葉があるように、生成AIの普及で富を得るのは、技術を提供する企業であり、その構造への反感も見られます。
3. 努力が報われない感覚
生成AIに対する反感の根底には、「楽をするのが許せない」という感情もあると感じます。これはクリエイター自身というより、インターネットでお気持ち表明するアマチュア以下の人たちに多い印象です。私たちが汗水流して身につけた技術を、今の若者たちは生成AIで数秒で成し遂げてしまう…といった焦りや苛立ちが、反発の感情につながっているのかもしれません。自分がうまく使いこなせないツールが主流になることへの焦燥感もあるでしょう。
共存の選択肢を考える
一方で、技術の発展は常に新しいツールと共にありました。産業革命が蒸気機関の発明から始まり、労働の形を大きく変えたように、生成AIもまた時代の変化の一環として受け入れられるべきものかもしれません。技術革新を完全に止めることは難しく、歴史は常に、私たちが新たな技術と共存し、活用する方法を見つけてきたことを証明しています。
「NOMORE無断生成AI」という動きも、生成AIそのものを否定するのではなく、「無断で金儲けのために利用されること」への抗議です。著作権や権利を尊重し、共存のルールを模索しようとする姿勢がうかがえます。ドラゴンボールの孫悟空の声を担当する野沢雅子さんの声も、生成AIによるナビなどに活用される事例がありますが、こうした事例が今後どのように共存の道を開いていくのかが注目されています。
反生成AIの人たちも一度立ち止まって、生成AIがもたらす可能性や共存の道について、冷静に考えてみる必要があるかもしれません。100年前に生きた人たちと比べ、反生成AIの立場の人たち自身もすごく楽をしている立場であることは、忘れてはいけません。
今後も生成AIの活用は広がっていくでしょう。その中で、賢く技術を使う人が最も恩恵を受ける時代が続いていくのだと思います。遅れを取りたくないですね。