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当たり前の凄さ

世の中に当たり前なんてない。

よく聞く言葉ですが、本当にそうだなぁと思います。当たり前などないのだからよく感謝するように、というニュアンスで聞くことが多い台詞ですが、今回私が考えていたのはそういうことではなく、自分が当たり前にできることがあったとしたらそれは凄いことなのだということです。

例えば私は集中していると隣の人の話し声も聞こえなくなるほどのめり込むのですが、これって人の話を気付かないうちに無視してることもあって自分ではすごく嫌だったんですよね。自分の視点でしか世界が見えていなかった頃は、世の中の人のはみんな集中したりのめり込みすぎないように冷静な視点を持てるよう常に努力しているのだと本気で思い込んで、自分も社会でやっていくにはそうならなければと頑張って「みんなと同じように」していたのです。でも、大人になってこの話をしてみたら「そんなわけないでしょ!」と友人に言われて、ダメだダメだと思っていたけど、これって私が授かったギフトだったのかと気付けるようになりました。

自分が当たり前にできることほど自分では当たり前なのでそれが自分の生まれ持った特技だということには気付かないことも多く、私もそうだったということです。欠点だと考えて打ち消そうとするのと、特技だと思って活かそうとするのでは全く違いますので「これでいいんだ」と自分を肯定できるようになると、随分楽になります。

また、生きている中で自分の得意な部分はやはり無意識のうちによく使うので、勝手に磨かれていたり伸びていたりするものなのだな、と私はこの年齢になってよく思います。恐らく置かれてきた環境によってその成長が妨げられる場合もあると思いますので(しかしそれはそれでそのことによる恩恵も必ず得ているはずなのですが)一概に全てがそうであるとは断言できませんが、当たり前にできることほど素晴らしい資質はないのです。

もちろん努力を積み重ねて得た能力というのも素晴らしいですが、目指しているものや憧れているものは自分にその要素がないことによって惹かれる場合もあるように思います。(その最たるものが男女の恋愛関係ではないでしょうか)

とにかく当たり前というのは素晴らしいことですので、その当たり前を誇らしく思いながら生きていきたいものです。

私は見られるのが嫌だ、ということを書きましたが、やはりそれってつまりプライドが高いのだと思うんですよね。自分が目指すところが無意識ですが高みにあるので、自分に対する言葉掛けもかなり上から目線になる時があり、私自身が自然体でいればいるほど(つまり気を使わなくなるほど)周りの人にもすごく上から物を言うようになってしまうのではないかと思いました。

私と彼氏は趣味も嗜好も性格も真逆と言っていいほどで、本当にまさか付き合うことになるとは考えてもみなかった相手なのですが、自分と違うからこそ共に過ごす時間が増えれば増えるほど彼の良さや魅力に気付いて、友人期間を3年ほど経てからお付き合いがはじまりました。

彼はとても包容力があって、菩薩かと思うほど穏やかな人なんですが、一緒に居る時間が長くなるほどにそれが当たり前のような気がしてきてしまうのですね。しかし、その当たり前に一緒に居られる…居てくれることがすでに凄いことなのだなと思います。

ただ、彼は自然体でいるだけで私も自然体でいるだけなのです。二人とも全く別の資質を持っていますから、それだけでも惹かれ合う要素があったということです。

私のプライドの高ささえも、彼はとてもポジティブに捉えてくれます。彼には私という人間が、とても熱心で情熱的に見えているようです。それを良いことだと思ってくれています。それは多分、彼は私のようには考えないタイプだからなのだろうと思います。自分と違う考え方の人間だから「凄いな」と思うのです。そして彼のそう思えるところを、私は「凄いな」と尊敬しています。

私が彼とお付き合いをはじめたのは、自分がプライド高くて、こだわり強くて、情熱的だということを認めて、そんな自分を受容することができるようになってからでした。それまでずっと友達でしたが、彼が私のことを肯定する度に信じられなくて、彼のこと突き放そうとしていました。(でも内心嬉しかったのだと思います)

自分にとっての当たり前を受け入れて、その意味を本当に理解して感謝できたときに、幸せは向こうからやってくるものなのかもしれません。自分を大事にしてくれるパートナーと巡り合えて、大好きなことを仕事にできて、趣味では思う存分に自己表現できる…私は今、とても幸せだなぁと心から思います。全ては当たり前であったことを大切にして、それに感謝して、「当たり前の凄さ」を受け入れた時から始まっていたのかもしれません。

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Swell
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