引き続く加筆修正
ちまちまと細かいところを修正するのは楽しい作業。
ただしスピード感も持たないと終わりがない。
さくっと仕上げる。今回はそういう自分ルール。
教科書に載るような油彩の制作年号で
(19XX〜19XX)みたいに数年に渡る作品を見かけるけど、あれは少しずつ時間をかけて加筆しているのだろうな。
油彩表現=陰影表現はほんのわずかの一筆で劇的に良くなる(悪くなる)ので実際に筆を動かす時間よりはるかに眺める時間が長くなる。
長い時間眺めて、ちょっと手を入れてまた眺めるという作業。
眺めることが大事。時間をおいて眺める、時間をかけて眺めることでどんどん作品が良くなる。
有名なモナリザも長年、ダ・ヴィンチの傍らにあって加筆が続けられたというので、それだけでもすごい作品だとわかる。
歴史上屈指の画家が何十年もの審美眼をかけてきた作品なのである。おそるべし。
しかし一瞬の忘我的描画?によって生まれる傑作も対極にあって、パッと思いつくのはゴッホやポロックなど。
これはこれで、むしろ時間を圧縮するような超濃密な集中力によって、審美眼の正常値を超えていくというか。
審美眼なるもの自体を否定する(既成概念から自由になる)ようなことだと理解している。
今回自分が制作している油彩スケッチはゴッホのやり方にすごく近い。
近いだけにその巨大な格差に脱力気味の日々である。
ゴッホは数々の傑作を一日一枚という脅威的スピードで描きあげたのだそうだが、今回の一年の作業で、ゴッホの描法の理解が大きく進んで、
ゴッホの絵は一見、おおらかというか雑なほど素朴に見えるが、実際には”大胆な筆致というスタイル”を精密にやり切っている感じである。
それを集中力でもって一日のうちに完成させるというスタイル。
自分の絵と比べれば一目瞭然なその集中量の違いよ。
1000倍くらい違うと思う。。
審美眼も集中力も皆無の自分は途方に暮れるばかりだが、
しかし落ち込んでも絵は仕上がらない。
今回なりの落とし所をイメージしつつ簡潔な加筆を目指すだけ。
要は何がしたいのかの確認。確認。
見失いがちな基本の基本。
それだけが優劣とは無縁の何かを持つはずで。
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