ショー・ビジネスとアメリカン・ドリーム(+ドローイング#26)
三回目のテキスト投稿です。
ショー・ビジネスとアメリカン・ドリーム
[エルヴィスのコピー]
1970年生まれの自分にとって、エルヴィスの最初の記憶は、エルヴィス本人ではなく、”田舎のプレスリー”だ。それは、子供の頃のブラウン管の画面に写るキラキラしい衣装と強めの津軽弁で「俺は田舎のプレスリ~」と歌う日本人の姿だった。
それが「俺はぜったいプレスリー」という吉幾三の曲であることは大人になって知ったが、記憶の”田舎のプレスリー”が吉幾三本人だったか、エルヴィスの後年の姿との合成記憶かだんだんわからなくなり、探してみたが動画は見つからなかった。
「俺はぜったいプレスリー」は、エルヴィスが亡くなった翌年の1978年に発表されたが、もしかしたらこの頃の世代はこのテレビの”田舎のプレスリー”の刷り込みを経て大人になっているかもしれない。
吉がやったのは、”田舎のプレスリー”というパロディだったが、世界には何万人という数のエルヴィスのそっくりさんや歌まね芸人がいた(いる?)らしい。
その頃(70年代後半や80年代)は”そっくりさん”というジャンルがあって、有名人をデフォルメして芸にするというより、そっくりそのままを目指すような感じだった。
そして、そっくりさんたちは、そっくりさんであることを衆目了解のうえ、有名人の代役になってショーや芸を披露するというようなことがあった。大量の”有名人さん”が世界中にコピーされる、場合によっては相当に劣悪なコピーが現れる、というような図式だ。
テレビにしてもエルヴィスを大量にコピーした。
ポスターに映画のスクリーンに。
もちろんレコードにも、エルヴィスがコピーされる。
EIGHT ELVIS, 1963 (*借り物画像のため、コピー防止用ロゴが薄く入っています。)
引用元:https://www.mcgawgraphics.com/products/andy-warhol-eight-elvis-1963
↑上:JEAN MICHEL BASQUIAT / CROWN(フリーダウンロードのページより借用)引用元:https://www.pngkit.com/bigpic/u2q8u2t4y3w7u2t4/
アンディ・ウォーホルは、強烈な光彩を放つスターや、アメリカ人なら誰もが知るラベルや紙幣などがしめす「FAME(有名性)」をプリントして、それらをさらに有名にしたが、同時代のエルヴィスもプリントしている。(上の画像のプリントは1963年の作品)
エルヴィスが世界中にコピーされていくイメージと重なって見えてくる。
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