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カネコアヤノ×小山田壮平

Zepp Hanedaでカネコアヤノと小山田壮平のツーマンライブを観た。

カネコアヤノはパーカッションを含めた5人体制。一曲目から新曲を演奏する度胸に驚かされた。長尺であったかいイントロになんだかくらくらしてしまった。サビで何度も繰り返されていた「愛想がないのはもともと」「蝶のように舞う」この言葉が聞けて良かった。彼女がこの言葉を紡いで、それを歌えるという才能があってよかった。私を含めて、ファンが彼女の言葉が救いだという理由が改めて分かった気がする。


気分はいつも上がったり下がったり
理想ばかりじゃ生きられないな

気分のラストの言葉。この言葉がいつも自分の中でお守りになっている。肯定も否定もされないが、突き放さずそばにいてくれるこの曲を聴けて良かった。 

こんなにもあなたの言葉を大切に大切にさせてもらっています、と一度会ったら言ってみたい。端的だけれどたくさんの解釈があって、あったかくて心地いい。それを彼女の繊細でしかも力強い声で音楽として表現されているのが本当に嬉しい。出会えてよかったと確かに思った。


後半の小山田壮平は空気感もカネコアヤノとは異なり、会場も少し陽気な雰囲気だった。まずはandymoriの時の曲を沢山やってくれてありがとう。

聴きたかった小山田壮平の雨の散歩道

あなたの心が動くならば 
歌えるよ愛のある話

あなたのために頑張っているのに 
こんなにも愛しているのに

この歌詞が特に大好き。あなたのためを思って、この愛ゆえの感情がラストには悲しさを持つものとなっていること。こんな言葉を誰か愛する人に言えるようになれたらな、と歌声を聴きながら思った。

ライブが終わって自宅に帰るまでに何度もリピートしていたのはandymoriの空は藍色。最後にふさわしいなって思った。美しいし儚いし悲しい。少しかすれた声で力強く歌っている姿を見て泣いてしまった。
小山田壮平が笑顔で歌っている姿を見ることができてよかった。そう思うと同時に、どことなく不安な感情も抱いた。どうか、自分自身のやりたいことができていますように。応えるのも素敵だし貫くのも素敵だから、と助言にも及ばない言葉を心で唱えた。


こんなにも純粋無垢で美しくてきれいなものを2時間もみること聴くことができてただうれしかった。それだけに、もとの生活に戻ろうと帰宅する自分や身の回り、この社会にうっすらと嫌気がさした。こんなに美しい声を、言葉を持っている人をただ称えるだけでおさまるほどの性格の良さなんてなくて。きれいなものを求めているのにそれをどこかで羨んで、でも嫌いにはなれないしきれいなものがもっと良い評価をされてほしいという気持ちもある。
これを丁寧に言語化して現実をみれるほどの強さは備わっていないから、今はうつくしいものを見て放心してしまったということにしておこうと思う。


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