雪の日のメモ

2月某日、

ハシバミ色のことを忘れるのが幸福であったかどうかは、今ロラゼパムで融けた頭だとよくわからないでいる。

まな板に乗せた途端腐り落ちるような、グロテスクで心許ない何かを引きずったわたしではなく、やけにすっきりとした気持ちを首に飾りつけた私として手をとりたいと
そこだけははっきり思った。
昨日の晩、雪灯りにぬれたであろうその人の髪を想うと、それが叶いもしないことはとてもよくわかっている。
そこに這うだれかの指はきっと白く細く透き通っていることも。

次に目を開けたらきっともうさようなら。

ただ
呼吸する
かたまり、として
存在 する
たぶん、
骨も皮も肉もなく
管だけで、
ぼくとして存在している。

エタノールとして
身体に吸い込まれていった
そのゆらめきで
メリーバッドエンドをあたえてはくれないか。

「それで君を呼んだのに」。

焼け爛れて使いものにならなくなったーーが
触れていたいとやけに騒がしかった。

赦せもしない
甘い憂鬱なんてものは
最初から
どこにも存在しない。

ただ引き金を引くんじゃ芸がないけれど
この世界に存在する
すべての花をだきしめて息を止めたならば
きっと同じことだろう。


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