イジンデン 2025年1月期 月次メタゲームウォッチング
はじめに
第3段環境では環境の節目に行っていた優勝デッキ調査を、第4弾環境では「月次メタゲームウォッチング」として月イチで行っていくことにした。
調査方法
公式のカレンダーを参照しつつ、X の検索機能でクエリを「イジンデン (大会 OR 優勝)」として検索したり、公認サポーターのアカウントを閲覧したり、優勝者のツイートを参照するなどして、公認大会(第4弾のカードが使えなかった大会を除く)の優勝デッキを掲載しているポストを手作業で集めた。そして、そのデッキのアーキタイプを手作業で設定、分類し、Google スプレッドシートで集計、グラフ化した。ただし、ブースタードラフト、スターター限定構築、アーキタイプ限定構築、多人数戦、その他特殊なルールや構築の大会は集計の対象外としている。
なお、この調査・集計手法には次のような限界があることに注意されたい。
X で優勝デッキをポストしていない大会や、ポストしていても検索にヒットしなかった大会は調査できていない。また、優勝者の発言は内容が正しいことを前提としている。
2位以下のデッキについては調査できていない。
大会の規模(参加人数など)や形式(BO1だのBO3だの)の差は考慮していない。
大会ごとの封印カードは把握できていない。
アーキタイプの設定と分類は筆者の独断と偏見による。
集めたサンプルやアーキタイプの分類など、使用したデータのエビデンスは次のリンク先に掲載した。追試されたい方などはこちらもあわせて参照いただきたい。
集計結果
2025年1月期 優勝デッキ分布
2024年12月29日から2025年1月29日までの通常構築の公認大会で優勝したデッキとして38件のサンプルを収集し、アーキタイプごとに分類して集計した。集計結果は次のとおりである。
参考:2024年7月期 優勝デッキ分布
参考までに、第3弾環境初期(イジンデンフェス開催前の約1か月間)の優勝デッキ分布を過去データから集計したものが下のグラフである。上のグラフと比べると、第3弾環境初期は今よりも多様なデッキが優勝していたことが見て取れる。
考察
デッキ分布
環境初期は事前に注目されたアーキタイプが使われやすいことを差っ引いても、過半数がリユニオンLOという状況はもはや異常事態である。2ターンキル、3ターンキルは当たり前で、対抗策も限られているリユニオンLOは、速度が遅かったりメタカードが積めなかったりするデッキを環境から駆逐している。
優勝デッキは全て赤紫型およびその亜種である。フィニッシュでは《藤原道長》《石田三成》《土方歳三》《リユニオン》により無限ループを形成し、相手に繰り返し強制ドローさせて山札切れにより勝利する。これを2ターン目に現実的な確率で成立させるサポート役が《ジョバンニ=ディ=メディチ》だ。道長およびリユニオンとの組合せで山札引き切り無限ループに突入した後、引いたカードでそのままフィニッシュにつなげられる。メディチはまた、召喚権が複数必要なこのデッキにとって「召喚権の貯金」をする役割も持っている。そんなわけでメディチは(特殊敗北がなくても)除去対象になりがちなわけだが、そうなった場合でも《マルクス・アントニウス》により貯金を回復できるなど、デッキとして受けもしっかりしている。
また、赤紫型の他に、優勝実績はまだないものの青紫型も登場している。こちらは道長の代わりに《円形闘技場》《ミケランジェロ》をループに組み込んでいる。闘技場によりガーディアンはイジンにもなるため、ミケランジェロで墓地からガーディアンに仕込んだリユニオンを別のリユニオンや《スピリットアウェイ》で回収できるというわけだ。ループにはリユニオンが2枚必要になる代わりに、闘技場によるビートダウンプランも取れるようになったり、青を含むので《マルティン・ルター》などのメタカードを積みやすかったりする利点がある。
次点の青紫徴募、およびその原型とも言える青紫ビートはリユニオンLOの対抗馬として注目を集めてきた。《マリ・キュリー》のメガハンデス能力で相手の手札を枯らしたり、《マルティン・ルター》で相手のリユニオンを打ちにくくしたりしてターンを稼ぎ、その隙にビートダウンするアーキタイプだ。青紫徴募は《鑑真》と《フローレンス・ナイチンゲール》を4枚ずつ投入した「エイト鑑真」体制のもと、《ピョートル大帝》の徴募で自身や《レオニダス》を出して早期に殴り切る戦略を採っており、コントロール寄りの青黄徴募とはプランが明確に異なる。
もし封印構築するなら
さて、これだけリユニオンLOがはびこっている状況だと、オプションルールの封印構築が現実味を帯びてくる。赤紫型のキーカードそれぞれの封印について私見を次に示す:
《リユニオン》 ― ループに必要なマホウを第3弾時点の《メロウ》《スピリットアウェイ》《サモン》に戻して弱体化させる。無難な選択肢か。
《ジョバンニ=ディ=メディチ》 ― 初動の安定性を下げて弱体化させる。《島津久光》《ねね》など別の1ターン目イジンや、召喚権を増やせる《マルクス・アントニウス》《石田三成》で一定のリペアが可能か。
《土方歳三》 ― 大量ドロー手段を断つと同時に、LO手段を《スピリットアウェイ》《コーザリティ》にして《遠征軍》に弱くする。山札から墓地に置かれた遠征軍を回収する手段がない相手にはLOループを繰り返せばいつかは貫通できてしまう。また、レアリティがSRのカードを封印するのは販促的にイケてないか。
《石田三成》 ― 純粋なマリョク配置権プラス手段を排除して無限ループを断つ。短期的には青紫型を咎められないので論外。また、有限ループにはなるものの《ジョージ・スチーブンソン》で一定のリペアが可能。中長期的には、三成はループ系コンボの要になりがちなカードなので、封印候補のひとつに入るか。
《藤原道長》 ― マホウ回収手段を排除して無限ループを断つ。短期的には青紫型を咎められないので論外。中長期的には、道長もループ系コンボの要になりがちなカードなので、封印候補のひとつに入るか。
総論としては、短期的には《リユニオン》を封印して第3弾時点の土方LOに戻すのが最も無難な選択肢に思える。
おわりに
封印構築などによって抜本的な対策が行われない限り、来月もリユニオンLOが最強であることに変わりはないだろう。イジンデンではカードの封印はコミュニティに任されているふしがあるとはいえ、ここまで環境が一極化してしまっている現状では、公式による広範な封印措置を行った方がいいのではないかと思う。それまでの間、勝ちたい人はリユニオンLOを練習して握ろう。また、ジャイアントキリングを狙いたい人は青紫系のデッキに手を出してみるといいかもしれない。