Lorcana のリミテッド戦ではインク種類数の制限がないとのこと……えっ!?
先日の Locana の記事では「リミテッド戦については言及が見当たらなかった」と書いたが、その後さらに調べたところ、いくつかの情報源 (@Nive_the_Nerd, @overexertedcast) が組織化プレイ (Organized Play) の情報を出していた。公式からカードショップに周知された情報のようだ。
構築戦 (Core Construct) については新しい情報はなかった一方で、驚いたのはリミテッド戦の2つのフォーマット、ブースタードラフト (Booster Draft) とシールドデッキ (Sealed Deck) だ。構築戦と異なり、インク種類数に制限がないというのだ。マジかよ。
先日の記事でも書いたとおり、Lorcana の各カードには6種類あるインクのうち1種類が定められている。そして構築戦では、デッキに入っているカードのインクは1種類または2種類にしなければならない。MTG の言葉で言えば単色デッキまたは2色デッキということだ。
Lorcana における6種類の各インクには長所だけでなく短所がある。例えば、アンバーは守りに長けている反面、攻めることは苦手だ。また、ルビーにいくつか存在するチャレンジに特化した能力 (Reckless) を持つキャラクターはクエストができない。これらは意図的にデザインされたもののはずで、MTG でも色の特徴や役割は「カラー・パイ」として開発時に意識されている。MTG 主席デザイナーの Mark Rosewater による解説記事「The Value of Pie」では「制約を作る (IT CREATES RESTRICTIONS)」ことが最初に挙げられており、色ごとに短所を存在させることを重視していることが伺える。
そして Lorcana ではルールによりデッキのインクの種類数が制限されているからこそ、あらゆるデッキに弱点が存在すると言える。全てのインクのカードを組み合わせた万能なデッキは作れないというわけだ。これは決してネガティブなものではない。弱みを補うためにインクの組み合わせに頭を悩ませたり、環境の中でデッキ間の有利・不利が絡み合ってメタゲームが変化したり、といった創造性や迫力の源はこの弱点の存在にこそあるはずだ。
構築戦のようなインクの制限がないことで、Lorcana のリミテッド戦では単純に強いカードを全インクからデッキに詰め込む戦略が主流になることが想像できる。MTG ではマナ・コストやマナに色が付いているため、このようなデッキを組んでもプレイが難しくなり、バランスが保たれていた。しかし Lorcana ではインク・コストやインク・カードから引き出せるインクは種類を考慮せず単に点数だけを見るので、このように組んだデッキでも現実的にプレイできる。だからこそ、インク種類数の制約とインク・コストの仕組みは両輪だと思っていた。Twitter では @BomattCourier や @ChillToBeVill など、私と同じような懸念を示している人が散見された。
とはいえ、@DakBun00 や @Ech0_1991 も言うように、リミテッド戦でインク種類数の制限を設けたらデッキ成立が困難になるという問題もある。Lorcana のブースター1パックには12枚のカードが入っているため、リミテッド戦での1人あたりのカードプールは、ブースタードラフトで最低48枚 (4パック分)、シールドデッキでは最低72枚 (6パック分) だ。ここにインク種類数は最大2つという制約を設けたときに使える枚数は、期待値で考えると、ブースタードラフトは16枚 (=48/6*2) 、シールドデッキでは24枚 (=72/6*2) となり、制約を満たしながら40枚のデッキを組むことはほぼ不可能と言っていい。使用するパック数を増やせばこの問題を軽減できるが、代わりにパックの購入費が上がるという別の問題を招いてしまう。
この辺のプレイ感は実際にプレイしてみないと分からない。懸念するほど悪いものではないかもしれないし、リミテッド戦ならではの「味」として感じられるかもしれない。あるいは、組織化プレイではない身内でのプレイならハウスルールを設けるのもいいかもしれないし、その経験を公式に対してフィードバックするムーブもありえると思う。@Nive_the_Nerd による「インクウェルカードの導入 (add inkwell cards)」は MTG の基本土地に通じるものがあって個人的にはしっくりくる。