バトルの進め方 ― イジンデン ルール理解
イジンデンのルールを体系的に理解していくこのシリーズ。前回は「装備させる」能力を詳しく見ていった。
例によって、イジンデン公式サイトのルールページに掲載されているルールカード、ルール補足、Q&A 総合、および Q&A 最新追加分は次のバージョンのものを参考にしている。
ルールカード_web用2.0_231225.pdf
イジンデンEXRule_230714.pdf
イジンデンQ&A_240216.pdf
イジンデンQ&A_240216+.pdf
今回のテーマはバトルの進め方である。流れはルールカードに書かれているが、この記事では能力との相互作用なども考慮して見ていくことにする。
バトルの進め方
メインフェイズの間に、ターンを進めているプレイヤーは1回だけバトルを宣言することができる。バトルは「アタックステップ」「ブロックステップ」「バトル解決ステップ」の順に行う。
アタックステップ
A1. ターンを進めているプレイヤーは攻撃側になり、アタッカーにするイジンを1体以上選ぶ。寝ている状態のイジンや、このターンに戦場に置かれたばかりのイジンは選べない。すべて選び終えたら A2 に進む。
A2. 「アタック+XXXX」はここから有効になる。
A3. 次の3つが同時に起きる:
A1 で選んだすべてのイジンを同時に、少し前にずらして寝かせる。
前項のすべてのイジンが同時に「アタッカーになる」。
攻撃側プレイヤーは「アタックした」ことになる。
A4. A3 のイベントを契機にした発動型能力が発動する。これらのすべてを入れ子まで含めて解決したらブロックステップに進む。
A2 と A3 の前後関係、すなわち「アタック+XXXX」が有効になってからイジンがアタッカーになることに注意せよ。これは《足利義満》のようなカードを使う際に注意が必要になる。
A4 のとおり、イジンがアタッカーになったときや、プレイヤーがアタックしたときに発動する能力が存在する。
アタッカーがバトル中に戦場を離れたり、「アタッカーでない」状態にする効果を受けたりした場合、アタッカーでなくなる。また、アタッカーがバトル中にイジンでなくなった場合も、アタッカーでなくなる。
ブロックステップ
B1. アタックされたプレイヤーは防御側になり、ブロッカーにするイジンまたはガーディアンを0体以上、それぞれアタッカーを指定して(=アタッカーに対応させて)選ぶ。寝ている状態のイジンやガーディアンは選べない。また、各アタッカーに対して正当なブロックの条件を満たさなければならない(例:「トリプルプレッシャー」を持つアタッカーに対しては、3体以上のブロッカーを選ばなければならない)。すべて選び終えたら B2 に進む。
B2. 「ブロック+XXXX」はここから有効になる。
B3. B1 で選んだすべてのイジンが同時に「ブロッカーになる」。ブロッカーに指定されたアタッカーは「ブロッカーに指定された状態」(いわゆるブロックされた状態)になる。
B4. B3 のイベントを契機にした発動型能力が発動する。これらのすべてを入れ子まで含めて解決したらバトル解決ステップに進む。
B4のとおり、イジンがブロッカーになったときに発動する能力が存在する。
ブロッカーがバトル中に戦場を離れた場合、ブロッカーでなくなる。また、対応するアタッカーがバトル中にアタッカーでなくなったブロッカーも、ブロッカーでなくなる。
バトル解決ステップ
C1. アタッカーがいなくなるまで次を繰り返す:
C1a. 防御側プレイヤーはアタッカーを1体選ぶ。
C1b. 前項のアタッカーに対応するブロッカーがいるなら「バトル解決」(後述)を行う。いないなら攻撃側プレイヤーがゲームに勝利する。
C2. バトル解決ステップを終了して、メインフェイズを続ける。
C1a のとおり、バトル解決はアタッカーを1体ずつ選んで行う。そのため、あるアタッカーについてのバトル解決は、残りのバトル(まだ解決されていないアタッカーやブロッカー)に影響を及ぼし得ることに注意せよ。典型的な例では、自分のブロッカーのガーディアンが冥府発動を持つマホウであれば、その能力で相手のアタッカーを戦場から取り除いたり、イジンやアタッカーでなくしてバトルから取り除いたりすることができるかもしれない。
また、バトル解決ステップではいわゆるブロックのすり抜けとして次に注意する必要がある:
あるアタッカーに対応して1体以上の正当なブロッカーが選ばれていたが、C1a までにそれらすべてがブロッカーでなくなっている場合、そのアタッカーはブロッカーに指定されていない(=ブロックされていない)状態である。
あるアタッカーに対応して1体以上の正当なブロッカーが選ばれていたが、C1a までに正当なブロックの条件を満たさなくなっている(例:「トリプルプレッシャー」を持つアタッカーに対して、ブロッカーが2体以下に減っている)場合、それらのブロッカーはブロッカーでなくなっており、またそのアタッカーはブロッカーに指定されていない(=ブロックされていない)状態である。
ブロックのすり抜けは他の TCG では存在しないルールかもしれないので注意せよ。(例えば MTG では、アタッカーがトランプルを持っていない限り、このようなすり抜けは起きない。)
バトル解決
D1. 選ばれた1体のアタッカーと、それに対応する1体以上のブロッカーの間で、バトルの勝ち負けを判定する。これは次のように行う:
アタッカー側とブロッカー側のパワーを比較し、異なる場合は大きい方が勝ちで小さい方が負け、同じ場合はどちらも負けになる。ガーディアンのパワーは0と見なす。ブロッカーが1体の場合、アタッカーとブロッカーのパワーをそのまま比較する。
ブロッカーが2体以上の場合、アタッカーは自身のパワーとブロッカー全体の合計のパワーを、各ブロッカーは自身のパワーとアタッカーのパワーを比較する。
D2. バトルに負けたすべてのイジンとガーディアンを同時に破壊する。これらのカードは「破壊された」ことになり、また「破壊されている」状態になる。
D3. D2 の「破壊された」ことを契機にした発動型能力が発動する。これらのすべてを入れ子まで含めて解決したら次に進む。
D4. 「破壊されている」状態のままのすべてのカードを同時に墓地に置く。
D5. D4 の「(戦場から)墓地に置かれた」ことを契機にした発動型能力(典型的には遺業能力)が発動する。これらのすべてを入れ子まで含めて解決したら次に進む。
D6. バトル解決を終了する。アタッカーやブロッカーでこの時点まで戦場に残ったものは、アタッカーでもブロッカーでもなくなる。
D1 についてはルールカードに掲載されている次の例を見ると分かりやすい。
D2 のとおり、あるアタッカーに対するバトル解決でバトルに負けたすべてのイジンとガーディアンは同時に破壊される。そのため、例えばダブルプレッシャーを持つアタッカーを2体でブロックしたときに「一方のブロッカーを先に処理して他方を救おうとする」ことはできないことに注意せよ。例えば「先に処理」したつもりの一方のガーディアンのオモテ面が《ストーム》で、対応するアタッカーに対して冥府発動させたいとしても、それが発動するのは D5 まで進んでからである。それまでに他方のブロッカーも既に破壊されてしまっているだろう。
D2-D5 のとおり、バトルに負けたカードは墓地に置かれる前に「破壊された」ことになり、また「破壊されている」状態になることに注意せよ。この順序は《安倍晴明》や《出雲の阿国》の「破壊されたとき~これを破壊されていない状態にする」能力で重要となる。