見出し画像

振り返ってみれば徴募一強だったイジンデン第三弾環境

はじめに

 この記事は2024年10月に書いた次の記事の続編である。

 この年末に第四弾が発売され、イジンデンは徐々に新環境に移行している。節目となるこの時期に、第三弾環境の優勝デッキ(アーキタイプ)でトップシェアだったものを振り返っておきたい。

調査方法

 X の検索機能でクエリを「イジンデン (大会 OR 優勝)」として検索し、公式のカレンダーと突き合わせて、公認大会の優勝デッキを掲載しているポストを手作業で集めた。そして、そのデッキのアーキタイプを手作業で設定、分類し、Google スプレッドシートで集計、グラフ化した。

 第三弾環境の大会優勝デッキとして次の期間と対象で312件のサンプルを得た。これらをアーキタイプごとに分類して集計した。

  • 期間 ― 2024年6月29日〜12月30日

    • ただし、第四弾環境のカードが使えた大会を除く。

    • 7月27日の大会には公式のイジンデンフェスを含む。

  • 対象 ― 通常構築

    • 明らかな封印構築やブースタードラフト、スターター限定構築、アーキタイプ限定構築、多人数戦、その他特殊なルールや構築の大会は除外した。

    • 大会の形式(BO1だのBO3だの、スイスドローだのシングルエリミネーションだの)は問わない。

 なお、今回の調査手法には例によって次のような限界があることに注意されたい。

  • X で優勝デッキをポストしていない大会については調査できていない。また、ポストしていても検索にヒットしなかった大会についても調査できていない。

  • 2位以下のデッキについては調査できていない。

  • 大会の規模(参加人数など)や形式(BO1だのBO3だの、以下同様)の差は考慮していない。

  • 大会ごとの封印カード事情を完璧には把握できていない。封印構築を明にうたっていないように見えた大会は全て集計対象とした。

  • アーキタイプの設定と分類は筆者の独断と偏見による。

  • アーキタイプは前回から見直し、スカーレット、ペリービート、張角ビート、親鸞カタストロフィを追加している。前回調査期間の優勝デッキもこれらのアーキタイプを加えて再分類しているため、今回記事と前回記事を比較する際は注意されたい。

 集めたサンプルやアーキタイプの分類など、使用したデータのエビデンスは次のリンク先に掲載した。追試されたい方などはこちらもあわせて参照いただきたい。

調査結果および考察

全期間(2024年6月29日〜12月30日)

 まずは調査した全期間、312件でのシェアを見てみよう。シェアトップはイジンデンフェスDuck Cup でも優勝した青黄徴募であり、シェア率は23.4%だった。これは前回調査(2024年6月29日~10月6日で19.9%)よりも3.5ポイント大きい。

 2位以下はスカーレット、緑黄ハイケイ、赤単アグロ、赤紫離宮が続くものの、いずれもシェア率で見ると青黄徴募とはかなりの差がある。もちろん、これはアーキタイプの分類方法によっても変わってくるわけだが、例えば採用カードが似ているスカーレットと緑黄ハイケイを合わせたとしてもシェア率でまだ約2倍の差があり、青黄徴募が他のアーキタイプとは一線を画していることが分かる。

Duck Cup 終了後(2024年10月6日~12月30日)

 次に、前回調査からの増分として、Duck Cup(10月6日開催)終了後の135件でのシェアを見てみよう。シェアトップはやはり青黄徴募で、シェア率は27.4%だった。全期間よりもシェア率が大きいことから、Duck Cup 後に青黄徴募の勢いが増していたことが伺える。

 2位以下はスカーレット、張角ビート、緑黄ハイケイ、赤紫離宮、紫単が続く。Duck Cup で準優勝の好戦績を収めた赤紫離宮もシェア順位としてはいい位置についているものの、やはりシェア割合で見ると、他のアーキタイプともども、青黄徴募を食うほどには至らなかったことが伺える。

おわりに

 振り返ってみれば徴募一強のイジンデン第三弾環境であった。他のTCGであれば公式による一部カードの封印(制限・禁止)指定でバランスを取るような状況に思えるところ、イジンデンでは封印指定が個々のコミュニティや公認サポーターに任されている節があり、結局、広域な封印は行われることなく環境の変わり目をむかえた。

 第四弾環境ではリユニオンLOが先手3ターン目までにかなりの確率で勝利を決められることから環境上位に食い込んでくることが予想される。実際、第四弾カードがいち早く解禁された12月30日のカードショップアジトの大会ではリユニオンLOがさっそく優勝している。いわば「バケモン(青黄徴募)にはバケモン(リユニオンLO)をぶつける」環境になりそうな予感があり、今から戦々恐々でもあり、楽しみである。