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私は、演劇をどう学んでいったのか(後編)

こんにちは。演劇をデザインする人 アサカワミトです。
大阪府枚方市で演劇体験をもっと身近に、そして未経験の方にも気軽に演劇を体験してもらえる機会を作っています。

今回は「演劇を学ぶ」をテーマに、アサカワがいままでどうやって演劇を学んできたか。そしていま、演劇をどう学んでいるのかを数回に分けてお話ししたいと思います。

ということで、今回は後編。
具体的にアサカワがどういう風に演劇を学んでいったのか。そして今も学んでいるのかをお話しします。

誰しも、楽しくなくなる時期がある。

ボクは演劇を続けていく中で次第に自分で成長を感じられなくなったり、公演をしても達成感を得られなくなったり、生活面で苦しくなったり、人間関係が嫌になったりと、消耗ばかりして演劇が楽しくなくなりました。

そもそも楽しいから始めた演劇を、どうして楽しくないのに続けているのか。

誰だってそんな時期はあるんだから今は耐えろ。なんて思ったりもしましたが、楽しくないと想像力は働かないし、豊かな表現になんてつながらないので良い芝居は生まれない。成長なんかしない。やっぱり、楽しめなくなったのなら辞めるべきだと思い、本気で辞めました。

やれるだけのことはしたのか。全力で取り組んだのか。と言えば、正直ほとんどしませんでした。なぜなら、専門学校的な訓練をしたって奥行のある演技が出来るようになるとは、ボクには思えなかったからです。

ようやく自分がときめく練習法を見つける。

何かしっくり来る練習方法がないものかと思って出会ったのがマイズナーテクニックのワークショップでした。

このワークショップでは演技を訓練的に練習するのではなく、人間が本来持っている感覚、感性を呼び覚ますようなエクササイズをゆっくりと積み重ねていきました。

例えば、、、
・足のつま先から頭のてっぺんまで観察をする。
・俯けになっている相手と背中を合わせて仰向けなって重ねる。
・相手と向かい合って、相手に見えるものを言葉にしてゆく。
などなど…人間が持っているセンサーをフルで使うようなエクササイズの数々でした。

そして思いました。これだ。これこそボクが求めていた練習法だと。

まず、相手を見ること。

思い返せばボクが演技をしていた時、舞台上では常にセリフを間違えないようにすることでいっぱいいっぱいでした。自分に目を向けておらず、相手の演技なんて見る余裕はありませんでした。
でもワークショップを通して、ちゃんと相手を見ることが出来ると、活き活きとした演技が生まれる。ここにきてようやくボクは演技の本質を理解できるようになりました。

自分が気になって仕方ない。

でもしばらくしてまた上手くいかなくなりました。なぜか相手を見ることが出来ない。何かが引っかかって、相手に意識が向けられなかったのです。

しばらくやっていくうちに、あることに気づきました。
めちゃくちゃ自分が気になって仕方ないなと。

自己肯定感が低いボクは、相手にどう見られているか、変じゃないか、恥ずかしい姿や恥ずかしい演技をしていないか、などなど、相手を見る前に自分のことが気になって仕方ありませんでした。

そんなときに出会ったのがアレクサンダーテクニークでした。

2つのテクニック、アレクサンダーとマイズナー。

アレクサンダーテクニークはめちゃくちゃ簡単にいうと、自分を見るテクニック。自分の使い方を学ぶ方法です。運転出来るようになるために自動車学校へ行くように、自分の使い方を知って、思い通りの表現ができるようになるために覚えるテクニックです。

一方マイズナーテクニックは、相手を見るテクニック。相手から目をそらさずに注意深く見ることでリアクションが出来て、おのずと自分の動きが見えてくる。この2つの理論がとてもしっくり来たので、ボクはこの2つを学ぶようになりました。

アレクサンダーで自分を知って、マイズナーで相手を見る。
演技は、そのキャッチボールの繰り返しだと、徐々に理解していきました。

物語を深く理解するためにやったこと。

そして演技について理解するたけでなく、台本についても深く理解できるようになりたいと思っていました。

どうすればと思っていたところで出会ったのが「WOWOW映画塾」。

映画評論家の町山智浩が、映画についての解説をするyoutubeのコーナーです。
これは全部ただで観れるし、そんな見かたがあったのかと驚かされました。

そしてこれを全部見終えた頃には、物語の仕組みやとらえ方がわかるようになっていました。ものの見方がわかるようになった、というやつです。

日頃の全てが学びになる。

演技や劇の本質がわかると、いままで点であった知識や疑問が次々と線となっていきます。そしてますますアンテナが広がっていきました。

そうなると、日頃の全てが学びに変わります。相手のしぐさや喋り方、歩き方や癖。
こう言われた時の自分の感情、気持ち。すべてが観察対象です。

「微表情学」というのも、演技にとって興味深い題材でした。
人間は実は、自分ではコントロールできない無意識の中で0.2~3秒の間に顔にリアクションが出てしまうのです。しかもその表情は世界共通。

それを知ると、セリフを受けた相手のリアクションにも注目するようになり、上手な俳優のリアクションはとても勉強になります。

話すとキリがないので、また少しずつ記事にしていこうと思いますが、こうしてボクは今も日々、日頃の何気ない中から学びを得ています。

そして思い出したのです。社会が発展して息苦しくなっていく中で、いつの時代も人間らしさを失わずに取り組めるもの。人間が元々持っている感覚をフルに使って、人として活き活きと出来る生き方を。

ボクにとって演劇は、人としての豊かさと幸せを与えてくれる、もっとも人間らしい行いなんだということを。そしてそれが、ボクにとって一番楽しいことだということを。

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