昼顔のようなひと

沿道に咲いている昼顔をみつけて思い出した
君は昼顔のような人だ
かつてそう言って同じ時間を過ごした人
バラではなくて
チューリップでもなくてガーベラでもなくて
スイートピーでもアネモネでもカーネーションでもない

いっそのことニゲラみたいな人だ・・・なんて
ニゲラって知ってる？
花屋さんに並ぶときは先の尖った薄い花びら
青みがかった紫か白色
内側にはひょろひょろとしたおしべとめしべ
その真ん中が時間とともに膨らんでやがて実になるの

今のわたしだったらきっと選ぶのはニゲラ
でもその時は知らなかった
ちょっと怪しくてどこかわけありげな
オトナじゃなかった
周りに従順して生きるのが当たり前で
本当の自分なんて自分でもわからなかった、あの頃

でも今ならわかる、説明できる、大概のことは
時を経て手にしたもの
時に身を任せずに自分で選んだ道を
振り返ってみても
今となっては影も形も足跡もなく
そこに見えるのは咲く時を待っていた沿道の昼顔

昼顔の花言葉　　　絆、縁、優しい愛情、依存、儚い恋
ニゲラの花言葉　　戸惑い、夢で逢えたら