
好きな人シュナウザー飼ってるやんな!?
好きな人の好きな人が不意にちょっと見えてしまうと、心が折れる。
という話です。
年末に、私は妹と買い物に行く約束をして、欲しいものリストに重いものがあるから配送してもらおうかと話していた。
すると横でゲームをしていたRくんが、「おれの車に載るものなら一緒に行こうか?」と言ってくれた。
仕事忙しいのに悪いから…と言いかけた私を遮って、妹が「ありがとう!お願いしてもいいかな?」と言うと、Rくんは嬉しそうに「もちろん!」と言った。
後で妹に、「Rちゃんは頼られるのが嬉しいって言ってたよ!たまには頼って、ありがとう!って言う可愛げがないと、一生“姉さん”のままだよ!(笑)」と怒られた。
当日、私達ワガママ姉妹がアレコレと注文をつける行きたい場所に、Rくんは全て連れて行ってくれ、全ての荷物をテキパキ運んでくれた。
私とほぼ変わらない体格で、私がどう頑張っても持てない物を平気で積み込む彼は、やっぱり男性なんだなぁと思った。
せめて持てるものくらい自分でと持っていた荷物を何も言わず当然のように持ってくれるRくんに、彼の優しさとスマートなかっこよさを感じて、私はデートかのように楽しんでしまった。
一通り終えたところでRくんにお礼をしようということになり、年末大混雑のスタバに行き外に出ると、犬を連れたご夫婦が隣に座った。
私は犬が大好きだけれど人見知りで、可愛いなぁと見ているだけだったのだが、社交的なRくんと妹が、可愛いですねと話しかけた。
飼い主さんもいい人で、名前は何ちゃんですか?などと会話が弾んでいたところで、不意に彼が言った。
シュナウザーってほんと可愛いですね!!
飼い主さんは答えた。
あら、ご存知なんですか?ありがとうございます!
私も思った。
あら、ご存知なんですか?
彼の言い方は、そのニュアンスをふんだんに含んでいたからだ。
彼は100対0で猫派だと豪語するほどの猫派なのだ。
だから猫の種類には詳しい。
しかし彼の性格上、興味がないものは本当に疎い。
犬が好きな妹や私が、嘘やろと言うくらい、犬のことは何も知らない。
彼の中の犬は、柴犬・ゴールデン・ハスキーのみ。
昔【名犬ラッシー】が大好きだったらしく、ラフコリーを見かけるとラッシーだ!と騒ぐが、多分ラッシーを犬種だと思っている。
動物病院に行くたびに、トイプー!とかダックス!とかビーグル!とか呪文のように唱えていて、妹と大笑いした。
それが数ヶ月前のこと。
数ヶ月前まで誰もが知っているような人気犬種さえ知らなかった彼が。
シュナウザーなど言えるはずがない。
それも悩むことなく疑問系でもなかった。
シュナウザーですよね?ではないのだ。
シュナウザーってと断言した。
可愛いではなく ほんと可愛い と言ったのだ。
犬はどうやって触るかわかんないと怖がっていたのに、それは自然に頭を撫でながら。
シュナウザーってほんと可愛いですね!!
女の勘が言っている。