クラシコムサロン vol.4 「ファンベース視点で考えるブランドコミュニケーション戦略」に参加して
クラシコムサロン「ファンベース視点で考えるブランドコミュニケーション戦略」に行ってきた。
大学生の頃、『明日の広告』を読んで泣くほど感動して、広告コミュニケーションの仕事をしたいと思ったのはもう10年くらい前。今、その仕事をしていることに驚く。
そんなきっかけとなったさとなおさんと、何年も前からずっと見続けている「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコム青木さんの対談。もちろん最前列で聞いた。心に残ったことをここに残そうと思う。
ファンとは、企業・ブランド・商品が大切にしている価値を支持してくれている人。
ブランドが大切にしている価値…果たしてそれが体現できているのか、コミュニケーションとして表現できているのか。日頃から私たちの価値は何だろうかと自問自答することが多く、耳が痛かった。そんな価値がわからない私に、さとなおさんは答えをくれる。
価値はファンに聞いてみるとわかる
自分たちが持っている価値がわからないなら、ファンに聞けばいいと。聞き方もコツがあり、アンケートや調査会社を使うのではなく、ファンミーティング。いきなりお客様を巻き込むのが怖ければ、会社を愛する社員に聞けと。なるほど、それならできそうだと、会場にいたみんなが思ったのではなかろうか。
ファンがその企業やブランドのどこを愛しているのか=それは変えてはいけない部分
価値自体があやふやなままだと、おそらくその愛されている部分は消えている可能性すらある。つぶらな瞳が好きだったのに、整形してバッチリ二重になっていた、みたいな。なぜ、企業やブランドが愛されている部分を消してしまうのか。それは、
問題点は相対的であり、絶対的ではないから
あるあるすぎると思うのだけど、人はよく問題点を探してしまう。なぜ今までやってこれているのかの理由を探すよりも、今できていないことばかり目を向けている。問題を探す行為は何かと比べる行為であり、何かと比べていても自分たちの価値はわからない。結果、自分たちの価値であったファンに愛されていた部分がいつの間にか消えてしまう。あぁ恐ろしい。
そもそも「あなたのその部分が好きなのよ」と言われていれば、変えようとは思わないはず。でも、その好きの気持ちを表現してもらうのは難しい。
ファンは、ファンであることに自信がないから。
好きなんだけど、人に話しておかしいと思われたくないとか、ダサいと言われるんじゃないだろうか、とかあらぬ心配をして、気持ちを表現してもらえない。表現されないと、そのファンでさえ、気持ちがしぼんでしまうという負の連鎖が起こってしまう。では、どうやってファンの声を大きくしていくか。
ファンであることを言いやすい環境を作る
ファンの声を拡声器で伝えるような。Twitterでいうとリツイート。企業サイトでいうとお客様の声にあたる部分なのかな。いいよ!と言いやすい空気をつくる。すると、「あ、言っていいんだ」という安心感が生まれて、それを見た人が・・・とだるま式に声が大きくなっていく。
価値を見つけ、その価値を体現し、それをファンに伝えてもらうところまで、ファンベースを実践するためにどうしたらいいのかやさしく手ほどきを受けたような講演だった。
講演が終わった後、「北欧、暮らしの道具店」佐藤店長が会場にいるのを見かけて、思い切って声をかけた。ずっとファンですと伝えた。伝えられてうれしかったし、佐藤さんもうれしそうにしてくれた。伝えるって大事だな、と最後にもう一度噛みしめた、いい夜だった。
明日からもがんばろう。