北欧の伝統スイーツ「セムラ」の進化が止まらない
年明けからイースターまで、スウェーデンのベーカリーにはセムラが登場します。セムラとは、カルダモン入りのバンズの中身をくり抜き、アーモンドペーストとホイップクリームをたっぷり入れたお菓子で、中世のイースター断食前のデザートとして食べられたのが始まりです。
見た目はシュークリームやイタリアのスイーツ「マリトッツォ」に似ていますが、セムラはバンズにはカルダモンが含まれ、甘くない生クリームにアーモンドペーストが特徴なので、味がだいぶ違います。
スウェーデンには「セムラの日」と呼ばれる「太っちょ火曜日/Fettisdag」という日があります。四旬節の初日である灰の水曜日の前日にあたる火曜日で、今年は3月1日です。中世と違って今では断食はもちろんありませんが、この時期にセムラをいただく習慣だけは残っています。
本来は、2月中旬から3月上旬にある「セムラの日」から売り出され、イースターで売り終わるスイーツだったのが、最近ではすっかり早く出回るようになり、年明けには登場するようになりました。
毎年いちばん美味しいセムラを出すベーカリーが話題になり、どのベーカリーもオリジナルのセムラを自慢し合います。
今年のトレンドは、ローストされたアーモンドのペースト。生クリームの下にあるアーモンドペーストが、香ばしい色合いになっています。
セムラの美味しさを競うのは、なんと言ってもこのアーモンドペーストの味です。ベーカリーが焼くバンスはどこもそこそこ美味しいのですが、アーモンドペーストに差がでてきます。セムラの味の決め手となります。
私のいちばんのお気に入りは「Café Pascal」のセムラ。去年からローストアーモンドの香ばしいアーモンドペーストを使っていて、生クリームとの相性もよかったです。
「Café Pascal」では、コーヒー味やクロワッサンバンズを使ったセムラなど、新しいセムラも作っています。
毎年トップ入りするベーカリーは、TÖSSE、Lillebrors、Vetekattenなどなど。いろいろなベーカリーで出しているセムラの画像です。
もちろんヴィーガンセムラもあります。下の画像の手前はヴィーガンセムラで、生クリームがポテっとしていますね。さっぱりした味です。
去年セムラ人気ナンバーワンになり、開店と同時に列ができ、午前中には売り切れてしまったSebastian på Söder。なぜかあの人気店が昨年でお店を閉めてしまいました。こだわりの生クリームを使っていたそうですが、なんとも残念ですね。
そして今年加速しているのが、変わりセムラ。コーヒー味、チョコレート味、リコリス味。クロワッサンバンズなど。チョコレート専門店Chokladfabrikenのチョコセムラはオススメです。
変わり種はセムラアイスクリーム。セムラ味のサンドイッチアイスクリームで、カルダモンとアーモンドのマリアージュが美味しそうです。
セムラ好きが高じて、セムラのピアスも見つけました。ポリマークレイを使って手作りしている人が増えているみたいです。
スウェーデンスイーツは見た目もかわいく、素朴な味が魅力なので、ぜひいろいろ試していただきたいです。セムラはイースターには販売が終了します。今年のイースターは4月17日で、さすがにこの日を過ぎたらどこのベーカリーも販売を終えます。早いところは、イースターの1週間前には終わってしまうので、4月に入ったら早めにいただきましょう。
ちなみに「セムラの日」のセムラ消費量はハンパではありません。各ベーカリーが1000個は売るそうで、この日のフィーカのお菓子はオフィスも家庭もセムラです。今年の「セムラの日」は3月1日で、オフィスのフィーカ用セムラはすでに注文しているところも多いそうです。この日に食べたい人は、早めにベーカリーに行った方がいいですね。
実は、私はむしろ「セムラの日」にセムラをいただくことを避けます。なぜなら、セムラを作る数が多過ぎて、ひとつひとつのセムラの質が落ちることがあるからです。4月中旬までは楽しめるわけですから、自分の食べたい時にいただくのがいちばんだと思います。
カロリーが高いので、食べ過ぎには注意が必要です。おすすめのペースは、お気に入りを週に1、2個いただくことです。
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