【ハンドボール体験記】in スウェーデン
Hej, hej!
スウェーデンの大学に留学していると、日本の大学の友達に「授業がない時間は何をしているの？」と聞かれることが多くあります。
ハイキング、お菓子作り、ボランティア、旅行……答えは人それぞれですが、私の場合はハンドボールでした。
なぜスウェーデンでハンドボール？
私は、日本で生活していた頃、大学での授業に加えてアルバイトや遊びなどの予定をぎっしり詰めていました。しかし留学生活では、比較的授業のコマ数も少なく、バイトもないので、日本よりも自由に過ごす時間が多くありました。（学士交換留学の私の場合）
そこで、「留学での自由な時間を使って何かしたい！」と思い立ったのが始まりです。
高校3年間でハンドボールをしていたこと、実はスウェーデンはハンドボール大国であることから、地元の女子ハンドボールチームに入ることにしました。
今回はスウェーデンで女子ハンドボールチームに入るまでの経緯や、活動を通して感じたことをご紹介します。
まずは、スウェーデンにおけるハンドボールの歴史について振り返ります。
歴史
実はハンドボール大国でもあるスウェーデン。ハンドボールはヨーロッパに起源を持ち、19世紀末にスカンディナビアとドイツで初めてプレーされたと言われています。1チーム7人、ボールを手で扱い、ゴールへ投げ入れて得点を争う競技です。（※1) 分かりやすく例えると、バスケットボールとサッカーを組み合わせたような競技とも言えます。
日本のハンドボール男子代表「彗星JAPAN」は、今年のパリ五輪への出場権を獲得し、話題になりました。開催国枠での出場を除く自力での出場権獲得は何と36年ぶりだそうです！
ハンドボールというと、日本では、サッカーや野球などと比べるとまだまだマイナーなスポーツ。しかし、ヨーロッパでは競技人口も多い人気のスポーツで、デンマークやスウェーデンをはじめとする北欧諸国は、優勝を争う強豪国でもあります。
2023年世界選手権結果
男子
優勝：デンマーク 2位：フランス 3位：スペイン 4位：スウェーデン
女子
優勝：フランス 2位：ノルウェー 3位：デンマーク 4位：スウェーデン
スウェーデンでは小さい頃からハンドボールをしている人が多く、私の所属するチームでも小学生の頃から10年以上競技を続けている人たちが多くいます。
ハンドボール歴3年の私ですが、「本場ヨーロッパで競技ができるなら！」と、クラブチームを探し始めました。
今振り返ると、ハンドボールを理由に留学先を決めたわけではなかったのですが、ハンドボールが盛んなスウェーデンに留学が決まったのも何かの縁だなと感じています。
ルンドのハンドボールチーム
現在、私はスウェーデンの都市・ルンドの「LUGI HANDBALL」という地域のクラブチームの中にある成人女性チームに所属しています。
このチームはルンドのスポーツクラブ「LUGI」の一部門として1942年に設立されました。
トップチームはプロのリーグに属しているような、大きなクラブチームです。そのほかに育成組織である8歳～19歳の年齢別チーム、成人チーム、Exerciseチームがあります。
会員数は1350名、そのうちの半数以上が若者で、幼い頃からハンドボールをする環境が整っています。（※3）
生涯スポーツとしてのハンドボール
「ハンドボールがしたい！」と思い立ってからは、インターネットやFacebookでひたすら「Lund Handball」と検索したり、スウェーデン人の友人に話を聞いてみたりしました。そして、いくつかチームがある中で、大学のサイトでも紹介されていた今のチームにたどり着きました。
ブランクがあったため、はじめは初心者も参加できるようなExerciseコースの練習に参加してみました。(※4）
Exerciseコースに行ってみると、ほとんどのメンバーは30〜50代。
正直日本にいたころは、激しく、運動量も多いこのスポーツは「若者のスポーツ」という印象で、年を取ってから競技を続ける姿はあまり想像できませんでした。しかし、ここではハンドボールを「生涯スポーツ」として楽しんでいる大人たちの姿がありました。
若い子どもたちの練習環境が整っているだけでなく、大人になってからも競技を長く続けることのできる環境があるということがとても印象的でした。スウェーデンのクラブチームの体制や、ハンドボール人気など、いろいろな要素が可能にしている環境なのかもしれません。
Exerciseコースの練習後、「もし、同世代と本格的にやりたいなら！」と今の成人女性のチームを紹介してもらいました。
平日夜、仕事帰りに練習
成人女性のチームに入って一番驚いたことは、仕事を終えた社会人も週2〜3回、平日20時半から2時間の練習に参加していることです。
18歳〜26歳のチームメイトがいるのですが、練習には仕事や大学を終えた人たちが集まります。なかには、自分の興味関心に基づいて学ぶことができる北欧独自の学校に通うチームメイトもいました。
※北欧独自の教育機関「フォルケホイスコーレ」についての詳細はこちら↓
仕事のある平日に、ルール上接触も許されており、運動量も多いハンドボールの練習に参加する──。私がもし日本で働いていたらと考えるとあまり想像できないことでした。
しかし、彼らにとって小さな頃から続けてきたハンドボールは生活の一部になっているのだと感じました。自分の時間や余暇を大切にする働き方やスウェーデン人の生活スタイルが垣間見えました。
身長と語学の壁
ルール上、他の競技よりも接触プレーが多いハンドボールにおいて、身長が158cmほどの私は、スウェーデン人の大きい身長や身体の強さに初めは苦労しました。初めて出た試合では、加減が分からず、相手の当たりの強さによろけることも。しかし、体力をつけたり、シュート率で勝負したりすることで少しずつ楽しめるようになりました。
また、ルンド大学の国際的な環境と比べて、9割がスウェーデン人というチームの環境は、語学の面でも壁を感じました。
私の他にも留学生として、ドイツ、スペイン出身のチームメイトがいたのですが、練習や試合の進行は基本スウェーデン語。
正直、今でもわからないことが多くありますが、英語でのサポートで少しずつ動けるようになりました。
スウェーデン語の知識といえば「Tack（ありがとう）」くらいだった私ですが、初めのうちはとにかくハンドボールの中で使われる言葉を覚えるようにしました。
「言葉が通じなくてもできるのがスポーツ！」と思っていたのですが「右、左」など、競技のなかで必須の言葉は、わからないと始まりません。
「とりあえず何か叫んで！」入りたてで何もわからなかったころ、チームメイトにそう言われていたことが懐かしいです。
相手が自陣のゴール付近に走りこんできた時、つまり危機的状況での「In Springa!（相手が中に走った！）」は今となっては、私の中で一番大切なスウェーデン語です！（笑）
ハンドボールを通して得た経験
スウェーデンのクラブチームでの活動は、スポーツスキルだけでなく、チームワーク、異国でのスポーツ体験、粘り強さなど多くのものを得ることができました。スポーツならではの悔しさを経験することもしばしば。
自分が戦力になっているのか、もしかしたらただの留学生として見られているかもしれない、と悩むこともありました。しかし、自分にある強みや伸ばせるスキルで勝負すること、辛抱強く練習に出続けることなどを通してだんだんとチームの一員になれた気がしています。
スウェーデンでハンドボールができたことは、留学生活をより一層豊かなものにしてくれる貴重な経験だったと感じています。
日本とはまた違った時間の使い方ができる北欧留学、ひとりひとりの趣味や特技を生かすことのできるチャンスがきっとたくさんあるはずです！
多くの大学のホームページでは、スポーツやボランティアなどの課外活動を紹介しています。留学を検討している人は是非チェックしてみてください！
次回は「スウェーデン留学に持ってこなくて後悔したもの」がテーマ！
次回もお楽しみに！tack！
もっと知りたい方は、こちらのInstagramへ！@sweaters_jp
https://www.instagram.com/sweaters_jp/
定期的にスウェーデンに関する魅力的な情報を投稿しておりますので、ぜひご覧ください！
春新歓☘️4、5月実施予定
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参考文献
※1 Paris 2024 Official website
https://olympics.com/en/paris-2024/sports/handball
※2 公益財団法人日本ハンドボール協会
第28回男子世界選手権/第26回女子世界選手権 試合日程・結果より引用 https://handball.or.jp/system/prog/game_event_schedule.php?sd=g&sc=g&ed=a&eid=276
https://www.handball.or.jp/system/prog/game_event_outline.php?sd=&sm=&ed=&ec=&eid=310
※3 LUGI handball
https://www.lugihandboll.se/om-lugi-handboll/
※4 Lund University
https://www.lunduniversity.lu.se/student-life/sport-and-exercise