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スウェーデンの生き方 Lagom

Hej, hej!
今回は2023年8月から2024年6月まで留学していたメンバーが、留学を通して感じたスウェーデンでの生き方、Lagomの精神についてお届けします!個人の体験や想いを交えた、リアルな北欧(スウェーデン)ライフスタイル情報を楽しんでいただけたら嬉しいです。


スウェーデン留学を決めた経緯

長い間いつか留学したいと夢みていた私にとって、留学先を選ぶことは簡単ではありませんでした。ただ、最初からはっきりしていたことは、自然の豊かなのんびりとしたところに住みたいということ。東京の中心で生まれ育った私は、人混みの中で忙しなく過ごす大都会の生活に疲れを感じていたからです。そんな時、北欧関係の仕事をする父から北欧留学を勧められ、大学の協定校のあったスウェーデン・ストックホルムに留学することに決めました。スウェーデン留学は、アメリカやイギリスなどの英語圏と比べてマイナーであまり情報がなく、私はスウェーデンのことをほぼ何も知らないまま日本を離れました。

Lagomという考え方との出会い

空港に到着し、市内に向かう電車から見えた景色は森、湖、牧草地でした。すごい田舎なところに来たんだな、これからここに1年いるのか、と早速東京が恋しくなりました。街に買い物に行っても、お店が早く締まり7時ごろには道路が閑散とし始める生活に最初は慣れず、少し寂しかったです。しかし、暮らしていくうちに次第に慣れていき、気がつくとこの都会すぎず、忙しすぎないバランスの取れた生活が心地よく感じるようになっていました。この生活の基礎にあるのが、スウェーデンの哲学的な考え方「Lagom(ラゴム)」です。直訳すると、「多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい」「バランスの取れた」という意味になります。このLagomこそが東京での生活に疲れていた私にとって、必要な考え方だったのです。

ストックホルム中心部の様子

学校でのLagom

この「Lagom(ラゴム)」という考え方は、スウェーデン人にとって生活の基盤となっており、日々の暮らしのあらゆる場面でその影響を感じることができます。たとえば、日本の学校では90分間休みなしで授業が続くことが多いですね。しかし、スウェーデンでは授業の途中に休憩を設ける教授が多く、生徒たちは「fika(フィーカ)」と呼ばれるスウェーデン流のコーヒーブレークなどを楽しんで、頭をリフレッシュする時間を持つことが一般的です。私の教授も、授業が折り返し地点に達すると10分ほどの休憩を設けてくれました。休憩中には、みんなでカフェテリアに行ってコーヒーを買ったりしていました。
また、教授と生徒の距離感もスウェーデン流で、教授のことはファーストネームで呼ぶのが一般的です!まるで友達のように呼び捨てにします(笑)。最初は失礼に当たるのではと少し遠慮していましたが、気がつけば私も自然と呼び捨てで呼ぶようになっていました。これは、生徒と教授の関係に平等性を持たせるためだそうです。
さらに、長期休み中には教授も生徒と同じようにしっかりと休みを取ります。日本では休み期間中でもメールの対応や提出物の採点を行う教授が多いと思いますが、スウェーデンではそのようなことはほとんどなく、ホリデー中に教授と連絡が取れずに困ることもありました。本来休暇は休む時間であり、仕事のことは忘れてリフレッシュするためのものです。「休む時は休み、働く時は働く」というメリハリをしっかりとつけ、バランスを大切にするスウェーデン人の生き方を感じた出来事でした。

fikaの様子

社会でのLagom

1.都市と自然の共存
学校の外でも、Lagomの精神を感じる場面はたくさんあります。たとえば、都市と自然の共存や、人と動物の共存に対する考え方です。ストックホルムは北欧で最大の都市であり、多くの店が立ち並び何でも手に入る便利な場所です。しかし、街の中にも大きな湖があったり、公園がたくさんあったり、街のすぐ外には森が広がっていたりと、自然との距離がとても近いです。実際、私が住んでいた寮は中心部から電車で約20分の場所にありましたが、森の中に位置していて多くの野生動物が生息し、近くには大きな湖もありました。

日本では、街の発展や経済的利益のために都市部の面積を拡大したり、木を伐採したりすることも多くありますが、スウェーデンでは都会すぎず田舎すぎない、バランスの取れた都市計画が行われています。その結果として、自然環境に対する意識も高く、2023年度のSDGs達成度ランキングでは世界2位となっています。

街中の公園でリラックスする市民

2.ワークライフバランス
スウェーデンは、ワークライフバランスの先進国としても有名です。私がこれを実感したのは、お店の営業時間やラッシュアワーの時間帯を通じてでした。スウェーデンでは、基本的に24時間営業のお店はなく、首都ストックホルムでもほとんどの商業施設が平日は8時、週末は5時ごろまでに閉店し、日曜日には休業するところも多くあります。H&MやZARAといった、日本では夜遅くまで営業しているお店も、スウェーデンでは8時ごろにはすべて閉まります。カフェ文化が盛んなスウェーデンですが、カフェも5時頃には閉まるのが一般的でした。

オフィスワークでも残業は一般的ではなく、ストックホルムのラッシュアワーは東京よりも数時間早い午後5時頃です。消費者としては最初、不便だと感じていましたが、次第に労働者にとって夜遅くまで働かなくて良いこと、そして家に帰って家族と過ごす時間が確保できることから、これこそが理想的な労働環境だと気づかされました。

さらに、スウェーデン人は休暇をしっかりと取ることが一般的です。サラリーマンが夏に1ヶ月以上の休みを取るのは珍しいことではなく、個人経営のお店も夏に長期休暇をとることが多いです。訪れてみると店先に「1ヶ月休みます」というお知らせが貼られていることもありました。日本では、休暇といえば年末年始やお盆の数日間が一般的ですが、ワークライフバランスを重視するスウェーデンでは長期間の休みをしっかりと取ります。そして、それに対して不満を言う消費者もいません。消費者も他の分野では労働者であるため、消費者目線で利便性を求めていると、いつか自分の身にもそのツケが回ってくることにもなりかねないからです。働きすぎず、休む時はしっかり休むという労働環境の理想形だと思います。

3.男女平等
スウェーデンは、ジェンダーギャップ指数でも世界5位にランクインしています。日本にはイクメンと言う言葉が存在し育児に関わる男性が特別視されていますが、スウェーデンでは父親も育児に関わるのが当たり前です!ベビーカーを引いた男性を目にすることも日常的にありました。また、体感ですが、日本の大学に比べスウェーデンでは女性教授の割合も多かったように感じます。企業のトップが女性であることも多いです。ここでも、バランスを大切にするスウェーデンの生き方を感じました。

男性用トイレにもオムツ交換台が

まとめとこれから

留学を通してこの「Lagom」と言う考え方に出会い自分の中で視点が広がったことは、これからの人生の選択に大きく影響を及ぼすと思っています。例えば、私はこれから就職活動ですが、その際に年収や社会的ステータスよりもワークライフバランスや労働環境を重視して就職先を選ぼうと思っています。また、日々の生活の中でも、一息ついて休みながら自分を追い込みすぎないように生活しようと意識しています。今この記事を読んでくださっている皆さんも、Lagomの精神を取り入れて、バランスの取れた心地の良い日々を過ごしてみてはいかがですか。

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