シンクロナイズド・トレモロの調整
ストラトのトレモロは使うとチューニングが狂う。
ロック式のものは音が変わってしまう。
Wilkinsonのもののような狂いの少ないものも出ているがなんとか普通のストラトのままでチューニングの狂いを最小限に抑えられないものだろうか?
完全に狂いをなくすのは不可能に近い。
だが気にならない程度に抑えることはできる。
自分なりにいろいろやってみたトレモロアーム使用時のチューニングの狂いを最小限にとどめる方法を書いてみました。
・ブリッジプレートは2点で支える
通常のブリッジは6つのネジで止められていて、これを支点にして稼働させる。
まずこの6つのうち、外側2点だけが効くようにする。
内側4つはアームで下げた時にプレートを支えないところまで緩める。
外側の2つは一杯まで下げた時にどちらかが浮いてしまわないようにする。
左右均等の締め方、が大切
アームで下げた状態でネジの調節をする。
・バネは柔らかいものを
通常のものはバネが5本付いている。
アームを使う場合はアームの動きを軽くするために3本にして使う人が多いと思う。
これをRaw VintageやESPなどで出ている柔らかいものに変えて5本張る。
柔らかいもの5本で通常の3本と同じくらいの張力なので5本張ってもそれほどキツくない。
・スプリングハンガーのネジは左右均等に調整
アームアップした時に全音から全音半程度上がるようにネジを緩める。
この時に2本のネジを左右均等に緩める。
片寄っているとアームを使った時にどちらかに力が強くかかりそこでチューニングが狂ってくる。
ちなみに私は定規で測って均等になるようにしている。(やり過ぎか?(笑))
・サドルのイモネジも左右均等に
弦高調整のためのイモネジは音質にも関わる重要なパーツだ。
2本のイモネジで1本の弦を支えているがこれをボディと並行になるようにする。
傾いているとアームを使った時に弦がづれてしまう。
・弦がは多く巻き過ぎず少な過ぎずに
アームを多用する人は弦のペグ部分での緩みを少なくするために弦をあまりまかない人がいるがこれだとテンションがかからずストラトらしさが失われる。
ポスト一杯に巻く必要もないが、3回以上は巻いても他の部分がしっかり調整されていればそれほどチューニングの狂いにはならない。
ただ弦を張る時にはしっかりと折って緩みのないように巻くようにする。
・テンションガイドにはスペーサーを
ヘッドにそのままテンションガイドでもかまわないが1、2弦にかかるテンションを他の弦となるべく同じにさせるためにスペーサーをかましたほうが良いと思う。
・トレモロのエッジ部分はできればヤスリをかけて摩擦を少なくする
ブリッジプレートを外して支点になる部分の裏側にヤスリ(紙ヤスリじゃだめです~)をかけてなるべく角を取る。
・ナットにはグリスを
テンションガイドの裏側(弦が接する部分)とナットにはグリスを塗る。
フリーダムなどで発売されているものはベトつかずかつ摩擦も少なくなり扱いやすい。
一つ買っておけばしばらくもつ。
最近はナットソースというのを使っています。
注射器のような入れ物にグリスが入っていて塗りやすくなっています。
これも一本買うとしばらく使えます。
もし、これを使わなくてもほとんど狂いませんが。
・ナットは質の良いものを
ナットの溝の切り方も大切。
弦を巻いた時にきっと音がするのは削り方が良くない。
私のは世田谷のアトリエ橋本さんにナットとフレットは調整してもらっています。
橋本さんのナットは絶対にキッとならない。
アームを使うとナットは少しずつだが削れていく。ナットは純正のものでなく牛骨などのものに変えると音もしまりが出て良いです。
・ブロック部分の接点を少なく
サドル部分で弦がプレートに触れてしまう(3点に折れる)ものはイナーシャブロック(スプリングを引っ掛けるブロック)を変えてみると接点が少なくなるものもある。
(私はGetto Guitarのブロックを使ってます。これは素材からビンテージに近いものを選んでこだわって作っているので音も良いです。ただGettoの河内さんは今、日本にいないらしいので買えるかどうかは?です。)
・フローティングさせる
ブリッジのプレートはベタ付けよりもフローティングさせたほうが良いと思います。
ベタ付けにするとアームは弦を緩めるだけになってしまいます。
するともし狂ってしまった時にはチョーキングをして逆に弦を引っ張らないと元に戻せません。
ここでペグをいじってしまうとせっかくつくった弦とスプリングのバランスを崩してしまいます。
フローティングさせておけば、狂ってしまった時にアームアップさせればほとんど元に戻ります。
狂わないように、も大切ですが狂ってしまった時にどうするか?を知っておかないと面倒なことになります。
これでそれほど激しいアーミングをしない限り狂いは最小限に抑えられるはず。
コードを弾いて揺らすくらいならなんともない。
コード弾いて、つい手がアームを握ろうとしてしまうくらい無いと寂しくなる。