四井真治さん×社会福祉法人ゆうゆう
はじめに
社会福祉法人ゆうゆうは令和8年4月に山梨県南アルプス市に県内初の持続可能な暮らしをコンセプトにした保育園及び児童発達支援センター等の複合施設を開設予定です。
地球上にあるすべての生き物や資源を大切に、人が自然と豊かになるような関係性を築きます。この地域でどう暮らしていくか、障がいの有無、性別、人種などは関係ありません。すべての人があらゆる制度の垣根を越えて、お互いを尊重し合い、一緒に過ごすことが当たり前の景色となる社会を目指します。
設計は今回も蔵ku-ra、そしてキヅキの立ち上げや建築に際し、そこで暮らす人々、これからの社会への思いや願いを、地域の風土に合わせて共に持ち続け、向き合っていただいた株式会社 S PLUS ONE 建築設計事務所 坂野 由美子さんにご協力いただきます。
S PLUS ONE architects(@splusone_fudo) • Instagram写真と動画
パーマカルチャーデザイナー 四井真治さん
開設にあたり、ご協力いただくのがパーマカルチャーデザイナーの四井真治さん。(@yotsuishinji_permaculture )
パーマカルチャーとは、「permanent(永続性)」+「agriculture(農業)」+「culture(文化)」を組み合わせた造語で、永続可能な農業を軸とした暮らし方や考え方を意味します。
今回新しい園舎では、昔の建築物が持っているなぜかそこにずっといたくなる心地よさ、日本の本来の景色、日本の未来の教育を感じてもらえるような場所になるよう打ち合わせを重ねています。
四井さんからのメッセージ
暮らしとはその風土で生活することで生まれる秩序。
その秩序の延長線上に教育もあり持続可能な社会も形成されてきました。
かの化学者イリア・プリゴジンは混沌から秩序が生まれる仕組み、秩序が秩序を生み出す自己組織化を「散逸構造論」として論じ1977年にノーベル化学賞を受賞し物理学が変わりました。40億年前から続く生命もこの混沌からの秩序によって生まれたもので生命である私たちの営みも生命と生命の相互作用、自然(風土)と人、人と人の相互作用によって暮らしという秩序も生み出されてきたのです。
しかし、現代の便利な暮らしは風土のありがたさや本来の生きていく知恵を無意識化してしまいその不安定な秩序の暮らしの集まりによってできる社会は持続可能性を失いつつあります。保育や教育も然りです。
本来、教育とは親の生きていく暮らしの作業を手伝うことからの学びがベースであり、読み書き算数はそれを補完する形で寺子屋や学校が担っていました。第三次産業の人口が70%を占めるサラリーマン社会の現代では分業化が進み畑や庭もない家庭が多くなり本来の暮らしの秩序から遠く離れたライフスタイルとなってしまっている人が多く占めています。そうなると子供たちの日常からの学びは少なくなるどころかそのような経験が少ない親や先生が能力的にも時間的にも教えられなくなってきているのが現状です。
いい環境があれば子供たちは自ら遊び学びますがそれにそこで生きるための知恵、暮らしを伝えられる大人がいると学びが深くなり成功体験の質も高くなります。現代の教育現場には地域社会的にも人材的にもそのような大人のいい影響が少なくなっており表面的には物事を伝えられるものの本来の教育の土台である暮らしという秩序は伝わりにくくリアルに応用が効かなくなってきています。
暮らしには衣食住あらゆる要素が含まれそれらをこなす多くの能力が必要とされます。100のことができるから百姓とも言われるように一次産業の人口が多かった時代は多くの人が大方のことをこなすことができていました。それはあらゆる能力の人を生み出し社会に職業が自然発生する仕組みにもなっていました。つまり、暮らしはあらゆる職業の人材を育てる仕組みでもあり社会を構成する人員を維持する仕組みの要でもありました。
私たちそのものも生命でありその営みから生まれる暮らしという秩序、その集まりによって形成されている社会も続く仕組みであることで未来がありそこに存在意義があります。現代は目まぐるし変化があり秩序を見失いがちです。この混沌とし本来の秩序を見失いつつある社会に秩序を取り戻すべく暮らしを土台にした保育や教育が行われることで子供たちの未来や社会に命という秩序が宿ることでしょう。
地球のくらし保育園で育つ子どもたちは地域だけでなく地球規模、過去と現在と未来を40億年という大きく長いスケールで物事を考えられる豊かな人になってくれるし、そのような子どもたちが地域の担い手になれば地域も時空を超えて豊かになれると信じています。
スグリ(酸塊)
四井さんは打ち合わせの際、自宅で収穫した“スグリ”を持ってきてくださいました。
スグリはユキノシタ目スグリ科スグリ属の総称で、夏に収穫されるぶどうのような実です。日本では日常的に食べられる果実ではないが、ヨーロッパでは、広く栽培され、野生で生息していることもあり、果実はジャムやお菓子作りに使われているそうです。
いただいたスグリをよく見ると小さなとげがありましたが、食べられる実です。初めて見る人も多く、みんなで実を採り恐る恐る食べました。とても懐かしい気持ちになりました。酸味と甘味を感じおいしかったです。
安全でおいしいとわかっているものを食べるのではなく、自分の身を守るためには、いろいろなことに気づく経験が必要だと思います。このような植物が園の中にあることで、こどもは「危ないけどおいしい」と自分の知ったことを下の子に教えるような姿に繋がります。四井さんに育て方もお聞きしたので、いただいたスグリは来年から実が採れるよう育てていきます。ありがとうございます。
令和8年4月開設
令和8年4月に保育園及び児童発達支援センター等複合施設を開設するため準備を進めています。
テーマは「人と自然が織りなす持続可能な暮らしの営み」ということで、畑で育てたものを食べて、調理で使った水が浄化されて田んぼへ行き、
生ごみはコンポストして堆肥にします。
暮らしを中心にした保育園と児童発達支援センターの複合施設。
今まで分けられてきた機能訓練と生活が一体となる設計を進めています。
職員募集
令和8年4月開設にあたり各専門職の募集を行っております。
詳しくは次回のnoteで説明させていただきます。
HPのお知らせ欄にも掲載されていますので、ご確認ください。
興味がある方は社会福祉法人ゆうゆうのHPのお問い合わせフォームよりお送りください。見学を随時行っております。
令和8年度に向けて職員募集をしていますが、令和7年度から一緒に働ける方も募集しています。
ご興味がある方はまずは見学にお越しください。
今後県内初の持続可能な暮らしをコンセプトにした保育園及び児童発達支援センター等の複合施設を設計、建設するにあたり、Instagram、noteにて情報を随時更新していきます。
note
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