論理的なSWAYと感性的なDENIM HOSTEL float。運営側から見る「人」との関わり方
SWAYはこの秋に店舗で手に取ってお楽しみいただける冊子を準備しています。
今回のSWAY magazineは誌面版と連動して、岡山県を拠点にデニムブランド「ITONAMI」を手がける山脇耀平(やまわき ようへい)さんにお話をお伺いしました。ITONAMIが運営する岡山県倉敷市児島にある宿泊施設「DENIM HOSTEL float」について「人が集まる場所」というテーマでお届けします。
今回のnoteでは、今年から始まったDENIM HOSTEL floatのコミュニティ「offloat」や、DENIM HOSTEL floatとSWAYで働く仲間についてなど、運営側の視点をお伝えします。
DENIM HOSTEL floatのお客さんとスタッフの関係性から生まれたオンラインコミュニティ
– 「DENIM HOSTEL float」は今年からオンラインコミュニティ「offloat」を始めましたよね。始めたきっかけを教えてください。
山脇:DENIM HOSTEL floatの常連のお客さんが東京から岡山に移住して週末にふらっと立ち寄ってくれたり、僕たち兄弟の友達が毎月のように遊びに来てくれたり、いろいろな切り口からDENIM HOSTEL floatに集まる人たちが1年ぐらい前から増えてきて、みなさんが自由に宿泊のお客さんと交流してくれるんです。
ITONAMIのスタッフではないけれど、それぞれの立場からDENIM HOSTEL floatや瀬戸内の魅力を語ってくれることがすごくいいなと思って。ただ、この自然発生してる状態をそのままにしていると、みなさんが集まってせっかく会話が生まれても関係性を継続したり、形に残すことは難しい。そこから”なにか”を生むためには、意図的な仕掛けを作る必要があると思いコミュニティについて考えました。
「こんなイベントをやってみない?」「あの人とあの人が組んで、こういうことをしようよ」そんなコミュニケーションを取りやすくしたかったんです。
それに、DENIM HOSTEL floatで日々どんなことが起きているのか、SNSでお客さんに見せるまでもないスタッフの日常も、人によっては価値になる。僕たちの日常が垣間見えることで「また行きたい」と思ってくれるといいなと思い、コミュニティをつくりました。
梯:DENIM HOSTEL floatはお客さんとスタッフが対岸にいるのではなく、境界が曖昧でお互いの場所を行き来している感じですね。コミュニティを作るとクローズドになりがちな場合もあります。でも、みなさんでおもてなしをしていたり、コミュニティが絶妙なバランスで開かれていて素敵ですね。
山脇:DENIM HOSTEL floatがシェアハウスだとしたらクローズドなコミュニケーションになっているかもしれないですけど、 宿は人間関係が常に新鮮。お客さんが来て帰っていく繰り返しなので、DENIM HOSTEL floatにいる側も、 常に新鮮な気持ちでいられるのは、宿を運営する魅力だなと思いますね。
– 山脇さんにとって「新鮮」という言葉はとても大事なキーワードのようですね。
山脇:モチベーションにおいて、ピュアでいられ続けるかはとても大事だなと思っています。スタッフはやらされていることよりも、純粋に本人がやりたいと思い行動した方が続くだろうし、意識も高くなるので、 ピュアな部分を維持するためにも、「新鮮」さを感じることはかなり大切なことだと思います。
スタッフ採用から見えるSWAYとDENIM HOSTEL floatそれぞれの思考
梯:山脇さんのお話をお伺いしていると、DENIM HOSTEL floatのスタッフさんは宿泊運営と接客の意識のバランスが保たれていると感じます。採用をするときに大切にしてる基準はありますか。 それとも自然と雰囲気にマッチする方が集まってくるのでしょうか。
山脇:自分たちで定義できているわけではないのですが、キーワードは「もてなし好き」「優しさ」でしょうか。DENIM HOSTEL floatの場所自体がとても優しい空間なので、スタッフが穏やかな人たちばかりなのは僕たちも意識的に考えているのかもしれないですね。
梯:SWAYはビジョンミッションから始まり、スタッフの行動指針まで定義してるんですよ。
山脇:すごいですね。
梯:代表の藤巻さんはこれまでスタートアップで仕事をしてきており、、僕も元々はベンチャー企業に勤めていたということも関係あるかと思います。。実際、形はシーシャ屋ですが、思考としてはスタートアップ的なんです。だから、月1回全体でのミーティングがあり、 バイトスタッフに向けたフィードバックシートもある。僕たちは社内のコミュニケーションをしっかり明文化して伝えていますが、DENIM HOSTEL floatはどちらかというと一緒に接していく中で自然と伝わっていくように思えます。
山脇:まだスタッフが少ないというのもあるかもしれませんが、大事にしてることを言葉にして共有するのは少ないかもしれないですね。ただ、 僕や弟がメディアやイベントなど、お客さんに対して自分たちの大切にしてることを話しているので、間接的に知る機会はあると思います。
梯:現在SWAYにはバイトスタッフ含めて14人が在籍していて、僕も組織運営に深く関わっています。コンセプトやビジョンなどを作る際に意識したことは、ロジックを突き詰めた先に、最後の最後に残る余白の部分が1番大切な”曖昧さ”。そこにたどり着くために、行動指針を持ち、ビジョンミッションを言語化して、教育システムを作りました。
一方で、DENIM HOSTEL floatは土地柄や気候の影響もあると思いますが、場に込められた思いが緩やかに周りのスタッフに伝播している印象です。山脇さんを中心にスタッフ、お客さんとグラデーション的に世界観ができあがっている。 あえて対比するなら、論理的なSWAYと感性的なDENIM HOSTEL floatと言えると思います。このようにアプローチは異なるけれど、お客さんに伝えたいことや、体験してほしいことなど、結果的に作用したいポイントは共通点もあり、面白いなと感じました。
山脇:僕はDENIM HOSTEL floatと合う人がクリアに見えます。日々、たくさんの人たちと関わり、いろいろな切り口で来てくださった方々と会う中で、合いそうだなと思った人には前のめりにコミュニケーションを取ることも。人を見ることを研ぎ澄ましてやっているので、DENIM HOSTEL float全体としても人の雰囲気や秩序が常に保たれてるのかもしれません。
– 直感で自分たちと合いそうな人を見てるとのことですが、やっぱり日本全国回ってさまざまな人に会ってきたからこそ、その人の魅力にすぐに気がつけるのかもしれませんね。
山脇:いまは、キャンピングカーで回っていたときよりも人と会う人数は少なくなりましたけど、兄弟2人でコミュニケーションを取りながら、どういう人が自分たちに合ってるかか、お互いに理解しあっていると思います。
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今回のnoteでは、SWAYとDENIM HOSTEL floatの運営に関わる「人」の話を聞くことで、それぞれの作る世界観の裏側を覗くことができました。誌面では、SWAYとDENIM HOSTEL floatのアプローチや目指すものについて、それぞれの「思想」からより深く掘り下げていきます。