「独り占め」では生きられない $02
💲いま必要なのは「モノポリー」?
ここで簡単にゲームの収支のことに触れておく。
ゲーム上の主な収入は、周回ごとにもらえる所得($200)と購入した不動産の賃料である。盤上に示された同じ色の土地を買い占めると家やホテルを建てることができ、それによって賃料は劇的に跳ね上がる。ゲーム開始時、手持ち資金$1500のプレイヤーにとって所得$200は貴重な収入だ。しかしゲームが進行して中盤にもなると、不動産賃料の収入がそれを凌駕する。ホテルが建つと賃料が$1000を超えることもザラだ。
一方の支出は、所得税と物品税のマスが用意されている。それぞれ$200、$100を銀行に支払う。また刑務所に収監されることがあり、出所費用$50の出費か時間的ロスを被る。いずれもゲーム序盤では手痛い出費だが、これらの出費は、ホテルの高額な賃料の支払いに比べれば懐具合への影響は限定的である。
4人でプレイすると開始時の市場のキャッシュは総額$6000($1500×4人)で、なにごともなければ全プレイヤーが周回するごとに貨幣の流通量が$800($200×4人)増える。
プレイヤー間の取引は、市場の流通貨幣の範疇でやり取りされる。プレイヤーA→B、B→Aという具合に、貨幣は右から左、左から右に移動するだけで、原則として銀行からの所得がない限り流通する貨幣総額は変わらない。
貨幣の移動が偏ると破産者が発生して、そのプレイヤーは敗者になる。
ゲーム序盤では、市場規模自体は小さいけれど、プレイヤー間の金銭のやり取りが市場規模に比しても少額なので破産者を生むことはない。また各プレイヤーの資産に著しい偏りがないので、金銭の移動が相互的でバランスが維持されていることもその要因である。
しかしゲームが進み終盤にもなると、貨幣の流通量に比して金銭のやり取りが高額になる。支払う側の打撃は大きく、資産を手放す事態も生じる。受け取り側はそれを元手に更に資産を増やしていく。こうして徐々に資産の偏りが顕在化してきて、持てる者への金銭の移動が著しくなる。破産者が生まれるとともに、独占へと向かっていく。
たいへんよく出来たゲームで、プレイしてみると確かに面白い。
そしてこれはひたすらグローバルに向かう現状をよく表現していると思う。
しかし、本当にそれでよいのか。
ほかのプレイヤーを脱落させて、自分ひとりがゲームのウィナーになったときのあの後味の悪さを感じるのは、わたしだけ?
いま教材として必要なゲームはこれ?
そんな疑問が頭をもたげるのだ。