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ドーテイ・ヨンジュウ⑤同級生の子供の写真を載せた年賀状が辛い

この記事は友人関係に亀裂を生じさせかねない内容なのだが、童貞四十代彼女いない歴=年齢の気持ちを誇張して書くもので、ほとんどフィクションと思って読んでいただきたい。


さて、俺には年賀状でしかやりとりのない中学の同級生がいるのだが、彼が結婚したのを知ったのも年賀状だった。ウエディングドレスを着たかわいい奥さんとタキシードを着た友人の記念写真がプリントされていた。その頃、俺は三十くらいだったので、「お、あいつやるな」くらいに思った。

そして、翌年の年賀状には第一子誕生の報告と幸せな親子三人の写真がプリントされてあった。
こっちはまだ彼女なく童貞である。

さらにその翌年には第二子誕生の報告と写真が載っていた。それから毎年、彼の成長する子供たちの写真を正月に見なければならなくなった。

こっちは彼女いない歴四十年の童貞だ。

あいつは第一子が中学生になろうとしている。
俺はどうだ?女友達さえできていない。

女友達を作る、デートに誘う、告白する、手をつなぐ・・・

ああ、俺はまだ始まっちゃいねーよ。


いやまて、俺の人生は本当にまだ始まっていないのだろうか?
俺には小説家になるという夢がある。
今の日本の社会は、二十代か三十代で結婚して家庭を作ることが要請される。
若い夢を追いかけていた人も三十歳くらいで諦め、堅い職に就いて結婚する。夢を叶えることよりも、家族と楽しく過ごすことを優先するようになる。
俺はそれを拒んだのではなかったか?
童貞であることも夢があるから理想が高いからの結果じゃないか。
家庭を持つために夢を諦める、そんな人生でいいのか?
夢の価値はそんなに低かったのだろうか?
かつて夢中になった将来の夢。
子供の自分が、夢を諦めた自分を見たらなんと言うだろうか?

たしかに俺は恋愛に関しちゃまだ中学生だ。
でも、独身で夢を追いかけていることを職場の十代の女の子に言ったら、「カッコイイじゃないですか」と言われた。
そうだ、俺は若い人から見ればカッコイイ人間だ。
そうだ、俺はカッコイイ。
カッコイイ、ドーテイ・ヨンジュウ。
ようは自信を失わないことが大切なんだな。うん。

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