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【コント小説】線を引け
予備校講師:いいか、おまえたち。勉強においていちばん大切なことは、教科書や参考書の重要だと思われるところには蛍光ペンで線を引くことだ。
こういうアドバイスを受けたので、僕は参考書の重要だと思うところに蛍光ペンで線を引いた。重要だと思うところに線を引き始めると、しだいにどこに線を引くべきで、どこには引かなくてもよいかがわからなくなってしまう。しまいには、参考書は傍線だらけになってしまった。壁掛け時計を見るともう夕食の時間だ。僕は参考書を閉じ、書棚に戻して、本屋を出た。(了)