先見の明
私は目の前の欲望に従うよりは、先のことを考えた。
人間はいつか死ぬ。
死んだあと、忘れ去られるか否か、それが問題だと思った。
つまり歴史に名を残したいと思った。
芸術家ならば作品と共に、その作品が消失するか、人類が滅びるか、それまでは生き続けることができる。
特に複製芸術、例えば、小説、映画、マンガなどは複製したものが全て本物だから、絵画や彫刻や演劇などより後世に残りやすい。
私は初めマンガを選び、そのあと小説を選んだ。
小説を後世に残すことばかり考えて生きている。
四十代で彼女はまだなく、結婚もしていない。子供もいない。
二十代、性欲に負けてセックスをして子供ができて、そのために歴史に残らないようなつまらない職業に就いて幸せになったらおしまいだと考えた。
これが私の先見の明である。
狂ってるよな?
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