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富国有徳。文化大国、日本へ。アニメの殿堂を作れ。

日本の円が安くなっている。
私は経済学は素人だが、昔から「円高だと輸出産業にとって不利であるから円高は良くない」というのがよくわからない。
なぜ、円高になると、輸出産業だけに注目するのか?他の産業にとっては海外の物が安く手に入るのだからいいことばかりじゃないかと思う。
経済学は答えがない学問である。だから、専門家が口を揃えて「円高は良くない」と言うと素人は信じてしまうのである。
八十年代、アメリカとの貿易摩擦が生じていた。これはようするに日本の製品がアメリカで売れるということで日本にとってはいいことである。アメリカは自国の産業を保護するために、日本の一部の製品の輸入を制限した。
この頃、円は高かった。貧しい国の労働者の一ヶ月の収入が何百円とか、信じられない安さで生活していることをテレビで報じて、子供心に日本の経済力に胸を張りながら、貧しい国に同情したものである。しかし、貧しい国でも通貨の価値、物価が違うだけで、月の収入が日本に比べてべらぼうに安くても生活ができたのである。それを物の豊かさを信じるしかない富裕国日本のメディアは、自国の経済力が強いこと、世界第二の経済大国を誇って、貨幣価値の安い途上国の国民の生活と比べ日本は豊かだよ、と自らを慰めていたように思う。ちょうどこの頃、心の豊かさ、ゆとり教育なんてのも言われていたと思う。
私は円高のほうが良いと思う。
私の少ない海外旅行体験から言うと、十五年前ウズベキスタンに行ったとき、帰りの空港で、出国ゲートを潜ったあと、現地通貨スムを使い切ろうと、コーヒーか何かを買おうとしたら、スムは使えなく、ユーロかアメリカドルで払ってくれと言われた。ウズベキスタンの空港で、ウズベキスタンの通貨が使えないのである。あのとき、旅行中私はスムの大量の紙幣を丸めてズボンのポケットに入れなければならなかった。スムは安いため、何かに使うときは大量に使わねばならなかった。
円高よりも円安のほうがずっと問題があるのは火を見るより明らかだ。

ところで、私は静岡県民だが、前知事の川勝平太が考えた県のスローガン、「富国有徳」というのが好きだ。昨日調べたら、富国とは単に金持ちであるということではないらしい。ちょっとそこは無知な私にはわからなかった。しかし、「富国強兵」と比べれば、「有徳」というのはなんともいい言葉だ。
日本が強国であるためには、「強兵」ではなく、「有徳」であるべきだというのが良い。「有徳」とは抽象概念である。実が無いように思えるかも知れない。この「富国有徳」には文化的に豊かになるべきという意味があると思う。文化力は強い。例えば、あまりいい例ではないかも知れないが、アメリカが日本に原爆を落とすとき、初めは京都に落とす予定だったそうだ。しかし、京都には多くの文化的価値があることで学者たちから猛反発があり、投下場所を広島、長崎にしたらしい。京都の文化力が戦争にある意味勝ったと言えると思う。
日本には強い文化がある。
しかし、アメリカほど強くはない。
ポップミュージックで世界と言えばアメリカであり、映画と言えばアメリカである。アメリカは文化でも世界をリードしている。
しかし、日本も負けてはいない。日本の映画では、例えば黒澤明の『七人の侍』がある。私はこの映画は世界の映画を代表する物のひとつだと思う。芸術の力はその国の経済力とは無関係にあると思う。
また、日本の文化を語るにおいて避けられないのは、マンガ、アニメ、ゲームの文化である。特にマンガ、アニメは世界でも一番であると思う。
アメリカの映画は世界に配給網があり、日本のアニメの雄、スタジオジブリは、世界に売り込むためにディズニーの配給網を使うことになったらしい。
しかし、もし、日本の映画の配給網が世界にあったら・・・。
そう思うと、日本のアニメはもっと世界に売れるだろう。
麻生太郎首相のときに、「国立メディア芸術総合センター」(アニメの殿堂)が作られる予定だった。予算も117億円が使われる予定だった。しかし、野党の反対にあって、この計画は頓挫した。私は当時、その反対の声を読んだが、アニメは民間が作った文化であり、政府がそれを利用するなんて、みたいな意見があったように記憶している。
しかし、私はアニメやマンガ、ゲーム、あるいは映画、テレビドラマなどの文化を保存し、その文化を紹介する博物館、美術館は必要だと思う。それができたら、国内外から客が大勢押しかけてくることは容易に想像できる。その施設は、ルーブルやメトロポリタンなど世界の名だたる博物館美術館に負けない魅力を持つと思う。そこに行けばマンガやアニメの歴史や貴重なマンガ原稿、アニメのセル画などを見ることができれば、素晴らしいではないかと思う。そのための117億円ならば安いと思う。ジブリなど強い組織は自分たちの美術館やテーマパークを作ることができるが、そうでないマンガ、アニメのほうがほとんどで、それらが流行と共に消え去っていくのはもったいない。
日本の文化に魅了された外国人は、日本と戦争をしたいと思わないと思う。
日本のスローガンに「富国有徳」を掲げ、文化力で世界をリードできる存在になれば、日本は武力よりも強い国力を持つことになると思う。

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