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俺は冒険ファンタジー小説でノーベル文学賞を獲りに行く
幼い私にとって最も身近な芸術は物語だった。
ただの絵は面白くなく、絵本やアニメなど物語表現でないと楽しめなかった。
音楽も幼い頃は嫌いで、好きになったのは高校生になってからだ。それも最初はアニメ音楽から入った。中学の英語の先生の影響でビートルズなどをよく聴いた。
私は中学生の頃から物語作家になりたくて、最初はマンガ家を目指していた。私は文章が下手だから小説家にはなれないし、絵が下手だから画家にもなれない。しかし、中間のマンガ家ならばなれるだろうと目指すようになった。きっかけは手塚治虫だった。こんな絵誰でも描けるだろうと思った。マンガは絵というより記号だと捉えていた。しかし、大学生の頃、自分には絵の才能がなく、マンガには絵の才能がなければなれないとようやく気づいた。
しかし、私は夢を諦めなかった。
小説を書くようになった。
マンガ家になるために文学や哲学の本を読んでいたから上手い文章、下手な文章の見分け方がある程度ついていたのが幸いした。それ以来、二十年以上、小説を書いている。
まだデビューは出来ていない。
最初は芥川賞を目指していた。五大文学賞と呼ばれるもののどれかに投稿し続けた。しかし、いつも一次選考も通過しなかった。
それでも2017年、私が三十八歳のとき、新潮新人賞の一次選考を通過した。私は純文学の賞で一次選考とはいえ、人に認められたので、自分の文章は悪くないと自信を持った。
しかし、その頃から、私は本当に純文学をやりたいのか?高名な先生方に評価されたくて小説を書いているのだろうか?そう思うようになった。
私の好きな作家は宮崎駿である。あのアニメの映画監督である。特に『天空の城ラピュタ』が好きである。つまり冒険ファンタジーだ。男の子ならみんな冒険ファンタジーが大好きだろう。
だったら、純文学ではなく、冒険ファンタジーで世界に出てやろう、そう思った。
冒険ファンタジーで芥川賞が獲れるだろうか?面白い物語で芥川賞が獲れるだろうか?多分無理だろう。深い小説でも冒険ファンタジーはエンタメと見做され、直木賞をもらってくださいとなるだろう。まあ、私はどっちでもいいが、芥川賞にはつまらなさが必要みたいで、そこが解せない。文学とは面白くあるべきだと思う。そして深いものが良い。現在の芥川賞は深いかもしれないが面白くない。直木賞は面白いが、芥川賞ほど深くはないようだ。私はふたつを分けてしまうのではなく、一番面白い新人を選ぶひとつの新人賞があればそれで足ると思う。
まあ、そんな賞のことはどうでもいいが、私は世界一の人気ある作家になりたい。二十一世紀を代表する作家に。そうなると当然ノーベル文学賞も欲しくはあるが、私は別にノーベル文学賞が欲しいわけではない。ただ世界一の称号が欲しい。みんなに人気がある冒険ファンタジーという分野でノーベル文学賞が獲れたら、正真正銘世界一だと思う。ノーベル文学賞が欲しいとか言うと狂人と思われるかもしれないが、本気の人間には現実の事である。本気で世界一を目指さない奴が、私を狂人と見做すのだと思う。実際にノーベル文学賞を受賞すれば、私が狂っていなかったことが証明されると思う。もし私がノーベル文学賞を受賞したら日本中が大騒ぎになるだろう。しかし、ノーベル文学賞と言ったところで、大したことはない。どれだけの人が大江健三郎の小説を読んだだろう?私は大衆も巻き込んで創作していきたい。宮崎駿や村上春樹のように多くの人が次の作品を期待して待っている、そんな存在になりたい。
でも、もし、冒険ファンタジーでノーベル文学賞が獲れたら、面白いと思わないかい?