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【コント小説】タカシの告白

TAKE1
 
 
タカシは会社員。今日も会社でのデスクワークを終えて、帰ろうと荷物をまとめている。彼の向かいのデスクには同じように同期の女性社員ミホが帰り支度をしている。
 
 
タカシ「ミホさん、これから食事でもどうです?」
ミホ「嫌です」
 
 
 
 
 
TAKE2
 
 
ミホは会社帰りにケーキ屋に寄った。
ミホはショーケースの中のケーキたちを眺めてどれにしようか迷っている。
 
するとショーケースの向こう側の男性店員が言った。
 
店員「これなどあなたにピッタリですよ」
ミホ「え?」
 
店員は箱を開けた。
中にはホールのケーキがあった。その白いケーキにチョコレートで、
 
「君が好きだ」
 
と書いてあった。
店員はウインクした。彼はタカシだった。
 
ミホ「なんで、あんたがここにいるのよ?」
タカシ「バイトしてたんだ。この日のために」
ミホ「キモッ!」
 
 
 
 
 
TAKE3
 
 
ミホは会社の休憩時間にトイレに入った。便座に座って用を足しながら独り言を言った。
 
ミホ「あのタカシって男は、なんで私のあとをつけまわすのかしら?」
タカシ「好きだからだよ」
ミホ「え?なに?いま、タカシの声が聞こえた。ここは女子トイレ。あいつがいるはずがない。まさか幻聴?あいつのことを考え過ぎておかしくなっちゃったのかしら?」
タカシ「ちがうよ。僕はここにいるよ」
 
ミホは上を見た。
タカシがトイレの壁に突っ張り棒みたいに手足を押し付けて貼りついていた。しかも服装はブリーフ一枚。
 
ミホ「ギャー!変態!たすけてー!」
 
そこへ同僚のマサシが現れた。マサシはトイレの天井を見た。
 
マサシ「む?変態め、許さんぞ」
タカシ「僕はミホさんを愛してるんだ」
マサシ「おまえのやっていることは痴漢行為だ。上司に報告する。おまえはクビだ!」
 
こうして、タカシは会社をクビになった。
 
 
 
 
 
TAKE4
 
 
夜、ミホは自宅の自室で読書をしている。そろそろ雨戸を閉めて寝ようかと思い、カーテンを開けると・・・。
 
ミホ「いやぁあああああああ!」
 
窓ガラスの外側に会社をクビになった全裸のタカシがヤモリみたいに貼りついていた。
 
ミホ「そんなとこで何してんだ、テメー、痴漢、変態、死ね!」
 
 
 
 
 
TAKE5
 
 
ミホは同寮のマサシと水族館デートをしている。
 
 
マサシ「見てごらん。ジンベエザメだよ。大きいねえ」
 
ミホは見た。
水槽の中を悠然と泳ぐジンベエザメの腹にコバンザメのように全裸のタカシが貼りついている。もはや意味すらない。
 
 
 
 
 
TAKE6
 
 
夜、ミホは自宅に帰り自室のドアを開け、電気をつけた。
 
ミホ「ギヤァァァーーーー!!」
 
タカシが天井からロープで首を吊って死んでいた。体がプラーンと垂れている。しかも体に付けているのはミホのパンティとブラジャーだけ、なぜか頭にもパンティをかぶっていた。
 
ミホ「どうやって入ったのよ?なんで首吊ってんのよ?なんで私の下着だけつけてんのよ?意味わかんない!アホなの?もう、いやだ!」
 
 
 
 
 *
こうしてタカシのどうでもいい人生は幕を閉じた。
これは他人ごとではない。次はあなたかもしれない。
世間にとってあなたの人生など、どうでもいいのだ。
さあ、告白をするための行動を起こそう!
そして、タカシのように自分の思いを伝えるために全力を尽くそう。
それでこそ人生じゃないか?
さあ、生きろ。
タカシのように。

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