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やっぱり、統合失調症って治るぞ!

最近、自分が統合失調症を患った精神障害者であると言っても、悲劇的な感じを持たなくなった。
いや、障害者なのかなぁ?というのが本音だ。
しかし、統合失調症があるという自覚はある。
それが障害になっているかというと現在の生活ではほとんどない。
ただ、介護の仕事で夜勤を免除してもらっているところはやはり障害者であることを自覚するところである。
私は十六歳で統合失調症に罹り、現在四十六歳で、ちょうど三十年この病気と関わっていることになるのだが、三十年前と比べ、明らかに良くなっている。
あの悲劇の主人公はなんだったのか?
初診を受けたのは二十一歳の時だ。
つまり五年間は無治療で過ごしていた。
その間に大学の哲学科で学んだことが良かった。
哲学は物の考え方を学ぶ学問だ。
私は統合失調症を患った主観から自分なりの思想を作り上げていった。
初診を受けたときは「他力」という仏教用語を意識し、医師が脳を外科手術すると言えば、従うだけの覚悟を持って受診した。しかし、医師が出したのは錠剤を何粒か、食後と就寝前に服用するという処方箋一枚だった。
私は医師の処方を信じた。
あの頃は、毎日死ぬか生きるかの戦いだった。
家でテレビを見たりゲームをしたりしているだけだった。
ニートだ、だらしない、と世間から見られる生活だが、そんな風な外観の生活でも内面は生きるか死ぬかの切羽詰まった状況だった。
あれから二十五年経った。
職歴は二十代の肉体労働からスタートし、三十四歳で介護職に就き、現在四十六歳でその仕事を続けている。ずっとパート職員だったが九年目にして正規職員になれた。なれたと言っても、仕事内容に変化はなかった。
正規職員にはボーナスがつく。
パート職員では三万円のボーナスだったが、正規職員は二ヶ月分である。
パートと正規ではどこが違うのか?
呼び名だけだと思う。
私はパート扱いで毎日八時間労働をして九年目に正規職員になった。
それゆえ、日本の社会に正規非正規があること自体がおかしいと思う。
百三万円の壁などと言うが、正規非正規をなくして、全員から所得税を取ればいいと思う。そして、ボーナスはいらないと思う。基本給をその分アップすればいいだけの話じゃないのか?正規職員のボーナスは非正規職員からの搾取だ。
などと、社会のことを自分の経験から批判できるのも、私の心にゆとりがある証拠だと思う。若干の経済力が、病状に良い影響を与えていることはあきらかである。
しかし、カネがあれば統合失調症が治るわけではない。
普通の収入を得られるように努力した課程があるからこそ自分に自信が持てるのだと思う。
だから、統合失調症の精神障害者という迂回路を通ってきたことが、なんとなく誇らしくも思うのである。
統合失調症に罹った人ならばわかるだろうが、あの尋常じゃない苦しみだぜ?乗り越えて誇りに思わない方がおかしいよ。
私は今、そんな誇りを持って生きている。


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