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統合失調症はピアスの穴

私が大学生の頃、今から二十年も前のことだが、ピアスが流行った。耳だけではなくいろんなところにピアスの穴を開けるのだ。耳など当たり前だった。しかし、私はピアスに興味がなかった。それでも私は統合失調症を患っていたこともあって、「ピアスをすれば変われる」など他人の言葉を半信半疑で聞いて、「ピアスも経験だ」「同時代人として」などと考えて右耳の耳たぶにピアスを開けた。

一か月くらいリングを付けていたが、常に右耳に何か付いているというのは邪魔くさく、外してしまった。
しかし、その後も右の耳たぶにはあとが残った。二十年経った今でも湿度の高い日などは少しだけじくじくする。
一度あけた穴の痕は消えない。でも、私はなぜか後悔はまったくしていない。

それと同じように統合失調症に一度かかったら元には戻らないのではないかと思う。
つまり回復はしない。
だが、よく考えてみれば、人間は過去には戻らないというのは当たり前のことだ。
統合失調症とはたいへん辛いものだが、成長へのひとつのステップと見なせないだろうか?
しかも、このひとつのステップは非常に大きなステップだと思う。

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