國光さんから若手スタートアップへ「コロナは短くない。とにかく生き延びろ。」
先日zoomでオンライン開催したイベント「gumi國光さんから学ぶ『2020年に挑戦すべき事業テーマとは』」は前日に告知を始めたにもかかわらず、
なんと50人もの方が参加してくださいました!
國光さんからとても参考になるお話がどんどん出てきていたので、今回レポとしてnoteに残していきたいと思います。
この内容は起業したい若者へのアドバイスとしてはもちろんですが、今後の社会「withコロナ・afterコロナ」を考えるきっかけになると思います。
まず國光さんはイベントの初めにこんなことをおっしゃっていました。
今の若者はどちらかというと安定した経済の中を生きてきたんじゃないかなと思いますが、コロナで今世界は大きく変わってきています。
アメリカで2兆ドル、日本で100兆円の借金を作って経済政策を打っている。それに伴い、人類史上味わったことのない金融緩和が起きています。
NYダウでも千ドルくらい、大恐慌の時のような変動が毎朝起こっています。
幕末・戦国・キングダムとは違った地味な時代から、今コロナで世界が変革してきているんです。
イベント概要
・zoomにてオンライン開催
・随時参加者からの質問を受け付けながら、國光さんに「2020年に挑戦すべき事業テーマとは」についてお話しいただきました!
≪登壇者≫
・gumi取締役会長の國光さん
〔スペシャルゲスト〕
・株式会社ティルス代表取締役社長の大冨さん
・マイネット代表取締役社長の上原さん
≪対象参加者≫
・XR領域で事業を作りたい起業家、起業志望者
・向こう数年で大きな事業を作りたい起業家、起業志望者
・事業が決まってない・ピボットしたい起業家、起業志望者
國光さんプロフィール
1974年生まれ。米国Santa Monica College卒業後、2004年5月株式会社アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当する。
2007年6月、株式会社gumiを設立し、代表取締役社長に就任。
現在は取締役会長として、XR事業やブロックチェーン事業等の新規事業領域を統括し、当該事業領域の早期収益化に向けた取組みを実施。
≪國光さんが今力を入れているもの≫
【今の若手起業家に伝えたいこと】
それは2つ。
① 生き延びろ!
1年半から2年間は調達できなくなる可能性がある。
会社が生き延びるには、調達する・粗利を上げる・コストを下げるという方法しかない。
② リアルファーストからバーチャルファーストへの変化を読め!
これは若者のチャンス。Zoom世代・リモートネイティブだからこそ作れるものがある。
これからの資金調達は難しくなる
コロナで経済状況が不安定な中、VCからの資金調達は次のことが予測できる。
①金融・大学系VC
あくまでもサラリーマンなのでリスクをとる可能性がない。投資しなくなるだろう。
②CVC
事業会社の本体出資の場合は自分たちが潰れるリスクがあるので今後の投資は止まる。
子会社など本体と切り分けた予算で出資をしている場合は、とりあえず出せるかもしれないが、CVCの投資はきわめて少なくなるだろう。
③独立系VC
すでに出資資金を集めているので投資はできる。ただ、自分のイケてる会社(メイン)のポートフォーリオをつぶさないことが最優先になってくる。そのため今後新規より既存に向く可能性がある。
これにより、日本のユニコーン企業も衰退する危険性がある。
現在時価総額ランキング上位の会社は大きい利益が出ているわけではなくてもCVCからは出資を受けることができた会社が多い。こういうところは今後資金調達ができなくなるだろう。
これから1年半から2年間は生き延びろ
コロナウイルスから克服されるには、ある程度集団免疫が付くかワクチンが開発されるかの二択しかない。
短期間で感染者数が減ってコロナを克服したようなタイミングが来たとしても、一定期間はまた感染者数が増えてくるだろう。数か月で終わる話ではない。
また、終息時期は人々の行動変容や政府の政策、ワクチンや治療薬の開発によるので予測ができない。
なので、保守的にみて終息するまで1年半と考えたほうがいいだろう。
ただ、不況などの経済環境は永遠に続かない。インターネットバブルなども1年だった。2年間続くことはない。
ただ、リーマンショック時も資金調達がかなり厳しかった。
資金調達が難しい時は投資家たちがえげつないレベルの交渉を仕掛けてくる。投資家が談合してバリュエーションを下げてくることもあった。
リーマンを経験していない人も多く、今後をわかっていない人も多いが、これからの資金調達はどんどん難しくなる。
現状のスタートアップに対しては急いで資金調達をして、1年半から2年間は頑張って生き延びることを考えたほうがいい。
もしくは粗利を増やすかコスト削減をして、月のバーンレートをできるだけ下げて1年半生き残れる状況を作るべき。
また、売上をあげて何とか持たすよりはコストを下げるほうが現実的だろう。
なんといってもこの状況では安全だと思われるような受注先でもつぶれる可能性がある。
(学生の「安全・安定」という意識感覚からすると、文系大学生が入りたい就職先ランキングの上位には航空会社や旅行会社が多いけど、いまつぶれかけているところばかり!)
実体経済は戻らない
現在、外出自粛によって働き方がリモートワークになったり、人と話すにもオンラインになったり、様々な行動変容が半ば強制的に実践されてきている。
これにより、以前から問われてきていた「モノの必要性」が感覚によるものから実践で理解できるようになってくるのではないか。
リモートで働けるならオフィスを借りる必要性がない。家で済んでしまうのならわざわざ移動する必要もない。
Wework、oyo、airbnbはこれから本当に必要か?工場のオートメーションは必要?自動走行車はほんとに必要なのか?
実質的な「モノの必要性」に気が付いたとき、物質的豊かさから精神的豊かさへ大きく変化していくだろう。
そしてこの変化が一度起きてしまうと、beforeコロナの状態に戻ることはない。実体経済は戻らない。
『Withコロナ・Afterコロナ』でのビジネスチャンス
足元で起こっているものはWithコロナ。
このリアルに集まりにくい現状で違和感を感じることはたくさんあるだろう。
zoomって使いにくくない?今退屈じゃない?
この違和感が大きなビジネスチャンスになる。
例えば
・zoom→ツールの使いにくさ
・リモートワーク→オフィスの必要性
・大学・施設に行けない→オンライン授業、オンライン診療など
そして、若者だからこそ有利なのがAfterコロナ。
古い人たちが考えるのは「鉄の馬」なのだと思う。
昔、蒸気機関が出てきたとき「いま馬があるから、それを鉄にして蒸気機関で動かせばいい」と考えた人がいた。でも結局必要なのは自動車だったわけで。
本当に必要とされている目的から考えたら「鉄の馬」ではないはずだし、今の若者だからこそ「自動車」が考えられる。
zoomも「鉄の馬」な可能性があるしね。
Withコロナやafterコロナにおける、新しい働き方やコミュニケーションの仕方、移動の仕方だったり人のつながり方は、今自分たちが見えていることの延長線上ではないはず。
アーリーアダプターは今の若者たち。だから若者が変革していくべき。自分たちがターゲットなのだから。
今始めるのであれば「リアルファーストではなくバーチャルファースト」
今までの中心は、リアルをどうテクノロジーで変えていくか(デジタルトランスフォーメーション)だった。
しかし、リアルを効率化するだけでは限界があるとAfterコロナでわかるようになってくる。
となると、これからはバーチャルの中で何をやっていくかに変わってくるだろう。
例えばフェス会場がVRになる。リアルな施設がバーチャルになる。その中でどんなコンテンツがいいのかという考え方だ。
10年前はスマホ利用者は5%に満たなかった。20年前はインターネット利用者が5%に満たなかった。
デバイスがAR・VRになるのもそう遅くない。
ただ、その一方でVR・ARは作るの難しい。
そしてこのテクノロジーファーストの部分だとおじさんのほうが強いかもしれない。
スマホを作っていた人のほうがVR・ARも分かるし、クラウドを作っていた人のほうがAIが分かる、そしてソーシャルを分かっている人のほうがブロックチェーンを理解できる。
ただ、おじさんは行動変容が難しい。
だからこそWithコロナ・Afterコロナの大きい行動変容は若者にとって大きいビジネスチャンスだと思う。
俺らもPCからガラケー、そしてスマホになる時代に一度死んでいる。
ただ、このような環境の変化ってピンチじゃなくてチャンスで、そこで適応できれば下克上になる。
飲食店だってそう。国に頼るなんてもってのほか。今やるべきことは嘆くんじゃなくてデリバリーのアカウント作ることだと思う。
俺も必死にもがいてここまで来た。
起業家に対してのアドバイスであれば、今がチャンスだよと。
飲食店・イベント・移動をバーチャルファーストで変革するという手がある。
今こそ若者にとって最大のチャンスになる。
(おまけ)参加者の質問を抜粋してご紹介
【質問】VRとARではどちらが大きい領域?
ここに関してはマークザッカーバーグが良い回答をしていた。人間の可視分時間は変わらないので、可視分時間をとったほうが勝つ。
そしてどちらが大きいという問いは少し観点がずれていると思う。VRはリビングルームの置き換えに、ARスマートグラスはスマホの置き換えになってくる。
【質問】既存企業だと全部バーチャルにするというのは抵抗があるのではないか?既存の経営資源と拮抗してしまうので10年はバーチャル化は来ないと言われてしまったことがある。
そこがafterコロナで一番変わってくるのだと思う。
一番厳しいと思われていたオンライン診療でもあっさりOKになった。
そういった規制緩和が一気に進んでいるから、古い考えの人も新しい考えに適応していかないといけない空気ができるのでは。
【質問】1ー2年くらい不況となると広告出稿が激減すると思うのですが、GoogleやFacebookが一時的に弱体化すると思いますか?また、弱体化した時にXR業界への影響はありますか?
まさにGoogle・Faceookの業績は落ちると思う。次の決算は絶望的だろうね。
そしてGAFAMの中ではMicrosoftの一人勝ちだと思う。
AmazonはAWSは伸びているがECが落ちるから結果的に少し落ちるし、Appleはサブスクはうまくいっているが、5GのiPhoneが予定通りには出ないはず。スマホの売り上げが下がるので落ちる。
ただ、どんだけ落ち込んでもキャッシュが赤字になるまでは落ちないと思うので、XRに対する投資は変わらないと思うよ。
【質問】現状で新規の採用をするのは控えるべき?
いい人に絞って採用すべき。
景気がいい時はスタートアップがイケてる人材を採用しずらいが、今なら大手も採用を絞ってくるし、お金を出して採ろうとしないからこそ、ビジョンで人が集まりやすい。
無駄に社員を増やすのは推奨しないけど、本当にいい人材は今だからこそ株とかSOを渡して採用したほうがいいんじゃないかな。
また、リストラ=敗北という考えは今も持ったほうがいい。
とはいえ、会社の存続を考えると、今まで必ずしも適切な人材を採用できているとは言えないだろうし、このタイミングで自分と同じ夢・ビジョンを共有できる人だけを残して切っていくというのもあるとは思う。
Skyland Venturesでは今後も積極的にイベントを開催していく予定です。
私たちが開催するからこそ若手起業家の方にとってためになる・役に立つイベントをしたいと思っております。
よろしければ、今後やってほしいイベントに関するアンケートのご協力をお願いいたします!
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